ミドル・イースト・アイ:ロシア軍を支援するためにウクライナに派遣されたシリア人将兵500人強のうち、これまでに少なくとも50人が戦闘で死亡(2022年11月9日)

ミドル・イースト・アイ(11月9日付)は、ロシア軍を支援するためにウクライナに派遣された500人以上のシリア人将兵のうち、これまでに少なくとも50人が戦闘で死亡したと発表した。

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同サイトは、複数筋から得た情報として、ロシアの支援や教練を受け、反体制派やダーイシュ(イスラーム国)との戦闘で経験を積んだ親政権の複数の部隊、具体的には、シリア軍第25師団特殊部隊(スハイル・ハサン准将指揮)、第5軍団、パレスチナ人民兵組織のクドス旅団が、ウクライナに派遣されおり、その数は500人以上に達している。

ロシアは、シリアに駐留している特殊部隊やワグネル・グループ社を介して、元反体制武装集団のメンバーを募集し、ウクライナに送り込んでいるという。

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シリア政府高官が同サイトに明らかにしたところによると、約1,000人の戦闘員がロシアに派遣され、教練を受けたが、そのうちウクライナに送られたのは約半数の500人強で、ルハンスク(ルガンスク)州やドネスク州でワグネル・グループ社などが管理する地域で治安任務にあたっており、緊急事態、あるいは必要が生じた場合に、前線に派遣される可能性があるとされていた。

理由として、派遣されたシリア軍将兵がロシア語を介さないため、前線でロシア軍の攻撃を受けかねないためだとされた。

しかし、その後、シリア人権監視団が彼らがヘルソン州やドネスク州の前線に派遣され、死者が出たと発表していた。

また、シリア政府高官も同サイトに対して、これまでの戦闘で少なくとも50人が死亡していることを認めた。

AFP, November 10, 2022、ANHA, November 10, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 10, 2022、Miiddle East Eye, November 9, 2022、Reuters, November 10, 2022、SANA, November 10, 2022、SOHR, November 10, 2022などをもとに作成。

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シャーム自由人イスラーム運動の内紛が激しさをますなか、精鋭部隊が現指導部に反発し、活動停止を宣言(2022年11月9日)

国民解放戦線やその上部組織であるシリア国民軍に参加するアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動に所属する4つの武装集団が声明を出し、活動を停止すると発表した。

活動停止を宣言したのは、イドリブ県で活動するウマル・ファルーク旅団(イドリブ)、アンサール・ハック大隊(マアッラトヌウマーン)、アフマド・アッサーフ大隊(ビンニシュ)、イスラームの暁旅団(カフルルーマ)の4組織。

 

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シャーム自由人イスラーム運動は9月に、アーミル・シャイフ総司令官(アブー・ウバイダ)が率いる指導部に反発するイーマーン旅団(ハマー)、ハッターブ旅団(ガーブ)、アーディーヤート旅団精鋭部隊(ガーブ)、シャーム旅団(ダマスカス)、ハムザ大隊(イドリブ)が同司令官の解任を一方的に宣言し、ユースフ・ハマウィー氏(アブー・スライマーン)を新たに総司令官に任命していた。

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活動停止を表明した4組織は、シャーム自由人イスラーム運動の精鋭部隊で、300人あまりの戦闘員を擁し、いずれもハマウィー氏を支持しているという。

また、これにより、既に活動を停止していた戦闘員と合わせて、シャーム自由人イスラーム運動の精鋭部隊の戦闘員80%あまりが活動を停止したという。

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なお、シャイフ総司令官が率いる指導部は11月初め、ジャービル・アリー・バーシャー前総司令官ら元幹部3人を含む司令官6人を除名し、組織内での対立が深まっていた。

シャイフ総司令官、アフマド・ダーラーティー副司令官ら現指導部の背後には、シャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者に近いハサン・スーファーン元総司令官がおり、彼らは10月のシャーム解放機構によるアレッポ県「オリーブの枝」地域、「ユーフラテスの盾」地域への進行に参加している。

活動を停止した4組織は、イドリブ県ザーウィヤ山地方でシリア軍と対峙している南部旅団に属していた。

4組織が活動を停止したことで、南部旅団の兵力は200人あまりとなったという。

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シリア・テレビ(11月2日付)などが伝えた。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、SOHR, November 9, 2022、Syria TV, November 2, 2022などをもとに作成。

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シリア政府支配下のダイル・ザウル県ブーカマール市近郊で、所属不明のドローンの攻撃によると思われる大きな爆発が複数回発生(2022年11月9日)

ダイル・ザウル県では、スーマリーヤ・テレビ(11月9日付)によると、シリア政府の支配下にあるブーカマール市近郊で、所属不明の無人航空機(ドローン)の攻撃によると思われる大きな爆発が複数回発生した。

爆発は、イランの石油トレーラー多数がイラクからシリア領内に入った直後に発生した。

トレーラーはレバノンに向かう途中で、爆発により25人が死亡、多数が負傷したという。

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ナフル・メディア(11月9日付)は、所属不明の無人航空機(ドローン)が午後11時45分頃、ブーカマール・カーイム国境通行所近くで石油トレーラーや貨物トレーラーからなる車列を複数回にわたって爆撃したと伝えた。

車列の積み荷は不明。

爆撃はブーカマール市近くに設置されている「イランの軍用ゲート」に対して最初に3回、続いて4回行われ、その後2回、レバノンのヒズブッラーの車輌複数輌の護衛を受けていた石油トレーラーと貨物トレーラーからなる車列が爆撃を受けた。

ナフル・メディアはまた、シリア領内に入る直前の車列の映像を公開した。

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イランのプレスTV(11月10日付)は、米軍所属と見られる無人航空機(ドローン)が燃料を積んでレバノンに向かっていた22輌のトレーラーからなる車列をシリア・イラク国境で爆撃した。

爆撃は車列がシリア領内に入ったのを狙って行われたという。

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『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月10日付)は、爆撃に関して、イスラエル軍がイラン製の武器を密輸しようとしていた車列を狙って行ったと伝えた。

同誌によると、この爆撃で、イラン・イスラーム革命防衛隊とつながりがある民兵のメンバー少なくとも10人が死亡、車輌複数輌が破壊され、死者のなかにはイラン人も含まれているという。

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シリア人権監視団によると、この爆撃でブーカマール・カーイム国境通行所は一時閉鎖されたが、10日に再開された。

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『シャルク・アウサト』(11月11日付)は、イスラエルの複数の軍事筋の話として、標的となった車列は武器弾薬を積んでいたと伝えた。

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なお、米軍、イスラエル軍はともに爆撃への関与を認めていない。

また、「イランの民兵」も死者が発生したことを認めていない。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Nahermedia, November 9, 2022、Press TV, November 10, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、al-Sharq al-Awsat, November 11, 2022、SOHR, November 9, 2022、November 10, 2022、al-Sumariya TV, November 9, 2022、The Wall Street Journal, November 10, 2022などをもとに作成。

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自由シリア軍(旧革命特殊任務軍)のカースィム司令官がルクバーン・キャンプ内の学校を視察(2022年11月9日)

ヒムス県のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)で活動する自由シリア軍(Jaysh Suriya al-Hurra、旧革命特殊任務軍)のムハンマド・ファリード・カースィム司令官が、ルクバーン・キャンプを訪れ、キャンプ内の学校を視察、児童らにプレゼントを送った。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、SOHR, November 9, 2022などをもとに作成。

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米軍の車列がシリア民主軍の護衛を受けてアレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市に入る(2022年11月9日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、米軍の車輌8輌からなる車列が、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の護衛を受け、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるハサカ県から、ラッカ県を経由してアイン・アラブ(コバネ)市に入った。

同地の情勢を協議するための会合を行うのが目的と見られる。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、SOHR, November 9, 2022などをもとに作成。

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ロシア軍戦闘機がラッカ県ラサーファ砂漠のダーイシュの潜伏先などを狙って爆撃(2022年11月9日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機が、ラサーファ砂漠の洞窟に設置されているダーイシュ(イスラーム国)のスリーパーセルの潜伏先などを狙って爆撃を実施した。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、SOHR, November 9, 2022などをもとに作成。

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シリア軍と「決戦」作戦司令室がイドリブ県、ラタキア県で交戦(2022年11月9日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるナイラブ村一帯、ザーウィヤ山地方のバイニーン村、フライフィル村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍と「決戦」作戦司令室がクルド山地方のカッバーナ村一帯で砲撃戦を行った。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市ハマーディーン地区で、シリア軍第5軍団や地元民兵と、ダーイシュ(イスラーム国)のスリーパーセルとの間で続く散発的戦闘で死亡した男性の遺体を収容しようとした住民らが銃撃を受け、高齢の男性1人が死亡、若い男性2人が負傷した。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、SOHR, November 9, 2022などをもとに作成。

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シリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会はPYD、YPGを支援する意思がないとするスウェーデンのビルストロム外務大臣の発言を非難(2022年11月9日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会は声明を出し、スウェーデンのトビアス・ビルストロム外務大臣が5日に、民主統一党(PYD)や人民防衛隊(YPG)を支援する意思がないと発言したことに関して、驚きと不満を示したうえで、スウェーデン国民と同国のすべての民主的な政党、勢力に対して、こうした姿勢に抵抗し、これを頓挫させるよう要請した。

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スウェーデンのトビアス・ビルストロム外務大臣は、スウェーデン・ラジオ(11月5日付)のインタビューのなかで、PYDやYPGが「トルコのクルディスタン労働者党(PKK)とあまりに密接に関係している…。それは我々とトルコの関係にとって良いことではない…。スウェーデンがNATOに加盟するのが主要な目的だ」などと述べていた。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、SOHR, November 9, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアブー・ラースィーン町一帯を砲撃し、シリア軍兵士1人を含む2人が負傷、シリア国民軍戦闘員2人もシリア民主軍の攻撃で死亡(2022年11月9日)

ハサカ県では、SANA(11月9日付)によると、トルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアブー・ラースィーン(ザルカーン)町を砲撃した。

ANHA(11月9日付)によると、砲撃はアブー・ラースィーン町南のアラブ・ハーン村に及び、シリア軍兵士1人が負傷した。

トルコ軍はまた、シリア国民軍とともに、アブー・ラースィーン町近郊のルバイアート村、シュール村に対しても砲撃を行ったほか、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・タムル町近郊のタッル・タウィール村、タッル・シャンナーン村、ウンム・ハイル村、タッル・カラービート村、タッル・ジュムア村、ダルダーラ村、アッブーシュ村、マスラタ村、シャイフ・アリー村を砲撃し、65歳の男性1人が負傷した。

シリア人権監視団によると、これに対して、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍もタッル・タムル町近郊のアリーシャ村一帯に設置されているシリア国民軍の拠点を砲撃、戦闘員2人を殺害、3人を負傷させた。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、SOHR, November 9, 2022などをもとに作成。

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外務在外居住者省公式筋は6日にシリア・ロシア軍がイドリブ県で行ったシャーム解放機構に対する大規模攻撃を非難したフランス外務省の声明に反論(2022年11月9日)

外務在外居住者省公式筋は声明を出し、6日にシリア・ロシア軍がイドリブ県で行ったシャーム解放機構に対する大規模攻撃を非難したフランス外務省の声明を「嘘と誹謗中傷」に満ちており、「フランス政府の破壊的役割」と「シリアのテロ集団への支援」を暴露するものだと非難した。

https://www.facebook.com/Mofaexsy/posts/pfbid02txb8kYiQqf29xZUZ6r3RDFt7k7RtE1ZK2gKKDGH5hTqhoq7m6K5B1b4RLtMZqr5Gl

SANA(11月9日付)が伝えた。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、SOHR, November 9, 2022などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で2人(2022年11月9日)

保健省は政府支配地域で新たに2人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者2人が完治したと発表した。

これにより、11月9日現在のシリア国内での感染者数は計57,374人、うち死亡したのは3,163人、回復したのは54,205人となった。

https://www.facebook.com/MinistryOfHealthSYR/posts/pfbid025nz6svMn7L5TC6gXajHYmWqC87YQMwV2JnHip4BJYuDWwB6QDdbFae2pmMLd3Ncvl

AFP, November 9, 2022、ACU, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、SOHR, November 9, 2022などをもとに作成。

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ロシア当事者和解調整センターは米占領下の55キロ地帯のルクバーン・キャンプで革命特殊任務軍(現自由シリア軍)が2,000人以上のIDPsを人間の盾として拘束していると主張(2022年11月9日)

ロシア当事者和解調整センターのオレグ・エゴロフ副センター長は、米軍(有志連合)の占領下にあるヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)で活動する革命特殊任務軍(現在の組織名は自由シリア軍)が、2,000人以上の国内避難民(IDPs)を人間の盾としてルクバーン・キャンプに拘束し続けている、と発表、米主導の有志連合が国連安保理決議第2254号に違反して、ロシアの専門家や国際機関の代表らが、ルクバーン・キャンプに対する人道支援の準備と実施を妨害し続けていると批判した。

RIAノーヴォスチ通信(11月9日付)が伝えた。

RIA Novosti, November 9, 2022をもとに作成。

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