ダイル・ザウル県で米軍がダイル・ザウル市の「イランの民兵」の拠点などへの爆撃を継続、「イランの民兵」が同県とハサカ県の米軍基地を報復として攻撃、シリア民主軍との砲撃戦も続く(2023年11月13日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、米軍所属と見られる戦闘機がシリア政府の支配下にあるユーフラテス川西岸のブーカマール市近郊のハスラート村にある武器弾薬庫複数棟を爆撃し、1棟が完全に破壊され、備蓄されていた武器弾薬が炎上、複数回の爆発が確認された。

爆撃はマヤーディーン市近郊のハイダリーヤ村にある砲台に対しても行われた。

一方、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるユーフラテス川東岸にあるウマル油田に米軍が違法に設置されている「グリーン・ヴィレッジ」基地一帯にも迫撃ロケット弾複数発が着弾、無人航空機(ドローン)も同地を爆撃した。

RIAノーヴォスチ(11月13日付)によると、ウマル油田の米軍基地に対してロケット弾6発が撃ち込まれた。

マヤーディーン・チャンネル(11月13日付)によると、前日のマヤーディーン市やブーカマール市一帯への米軍の爆撃への報復として、CONOCOガス田に違法に設置されている米軍基地に対して、「イランの民兵」がロケット弾15発を発射した。

シリア人権監視団によると、12日深夜からの一連の爆撃で、「イランの民兵」のメンバー8人が死亡、多数が負傷した。

死者の内訳はシリア人1人、イラク人7人。

マヤーディーン・チャンネルは、情報筋の話として、CONOCOガス田への砲撃により、米軍関係者1人が死亡したと速報で伝えたが、シリア人権監視団によると、米軍(有志連合)側に人的被害はなかった。

ナフル・メディア(11月13日付)によると、米軍戦闘機はこれ以外にもダイル・ザウル市のハラービシュ地区やダイル・ザウル航空基地一帯に設置されているイラン・イスラーム革命防衛隊所属の民兵(「イランの民兵」)の指揮所複数ヶ所を爆撃した。

標的となったのは、ハラービシュ地区のパン製造所の脇にあるイラン・イスラーム革命防衛隊の管理機構本部や調理施設、ダイル・ザウル航空基地近くの信号塔。

この爆撃で「イランの民兵」6人が死亡、4人が負傷した。

同サイトによると、ダイル・ザウル市のブール・サイード通り一帯でも複数の煙柱が立ち上り、救急車輌が駆けつける音が確認された。

このほか、シリア人権監視団によると、シュハイル村に展開する人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と、マヤーディーン市に展開する「イランの民兵」がユーフラテス川を挟んで砲撃戦を行い、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が発射した迫撃砲弾がマヤーディーン市に着弾、住民1人が死亡した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるシャッダーディー市に違法に設置されている米軍基地でも「イランの民兵」による攻撃により、複数回の爆発が確認された。

マヤーディーン・チャンネルによると、シャダーディー市の基地への攻撃に使用されたのは無人航空機(ドローン)3機。

また、シリア人権監視団によると、ルマイラーン町近郊のハッラーブ・ジール村にある米軍基地も無人航空機(ドローン)による攻撃を受け、2回の爆発が確認された。

米軍(有志連合)はドローンを撃墜したと見られる。

この攻撃の数時間後にも、ドローンがハッラーブ・ジール村の基地への攻撃を試み、米軍が対戦車ミサイルで撃墜した。

AFP, November 13, 2023、ANHA, November 13, 2023、‘Inab Baladi, November 13, 2023、Naher Media, November 13, 2023、Qanat al-Mayadin, November 13, 2023、Reuters, November 13, 2023、RIA Novosti, November 13, 2023、SANA, November 13, 2023、SOHR, November 13, 2023などをもとに作成。

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