ベイルート郊外のダーヒヤ区で自爆テロが発生し「アーイシャ・イスラーム教徒の母中隊」を名乗る団体が犯行声明、トルコ軍がシリア領内から潜入しようとした「密輸業者ら」を阻止するために対シリア国境に向け発砲(2013年8月15日)

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国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国がヌッブル市で数日前に拉致した若者2人(政権支持者)を処刑した。

イラク・シャーム・イスラーム国は声明を出し、処刑が「双方の人質交換プロセスが遵守されなかったことへの報復」と述べた。

またマンビジュ市では、大モスクのイマーム、ムハンマド・サイード・ディーブー師が何者かに撃たれて即死した。

さらにザマーン・ワスル(8月15日付)は、マンビジュ市近郊で、記者のムハンド・ウマル氏と女性活動家のサムル・サーリフ氏が拉致されたと報じ、住民らと良好な関係にあった2人の拉致がイラク・シャーム・イスラーム国による犯行だと推定した。

一方、SANA(8月15日付)によると、アイン・ジャマージマ村、ジャービリーヤ市、クワイリス村、クワイリス航空基地周辺、ダーラ・イッザ・アレッポ街道、アターリブ・アレッポ街道で、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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『ハヤート』(8月16日付)は複数の活動家からの情報として、ラッカ市、タブカ市で使徒末裔大隊を掃討したイラク・シャーム・イスラーム国が、ラッカ市内での爆発の映像を撮影していたムハンマド・マタル氏(活動家)を逮捕した、と報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、サイイダ・ザイナブ町、同市郊外のズィヤービーヤ町で、軍がヒズブッラー戦闘員の支援のもと、反体制武装集団と交戦し、シャーミヤ村に迫撃砲弾が着弾した。

一方、SANA(8月15日付)によると、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、フジャイラ村、ハラスター市、アルバイン市、ムライハ市、バハーリーヤ農場、アフマディーヤ農場、アドラー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区に軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(8月15日付)によると、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またティシュリーン公園に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民2人が負傷した。

他方、イスラーム旅団は、シリア・アラブ・テレビが結婚ジハードに関する証言を放映したことの「報復」として、ダマスカス県ウマウィーイーン広場のラジオ・テレビ機構に107mm迫撃砲2発を発射したと主張した。クッルナー・シュラカー(8月15日付)が報じた。

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ヒムス県では、SANA(8月15日付)によると、ヒムス市クスール地区、バーブ・フード地区、カラービース地区、ジャウラト・シヤーフ地区、タルビーサ市、ガントゥー市、ダール・カビーラ村、ラスタン市、ラスタン湖、カフルアブド村、サアン村、ファルハーニーヤ村、カルアト・ヒスン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、タウヒード旅団戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月15日付)によると、ナワー市、タスィール町、バサーラ市、サフム・ジャウラーン村、タファス市、ハーッラ市、ダルアー県ダム街道地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(8月15日付)によると、トゥワイニー村、アームーダー・ダルバースィーヤ街道、マズルーマ村、ビジャーリーヤ村、スィーハ村、マシュタル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月15日付)によると、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区、ハウィーカ地区、アブー・ハマーム市、ムーハサン市、シュハイル市、クーリーヤ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(8月15日付)によると、アブー・ハナーヤー村、アブー・フバイラート村、ムカイマン村、ハルダーナー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷・拘束、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(8月15日付)によると、クライア村で軍が反体制武装集団の掃討を完了し、同村の治安を回復した。

またサルマー町、ドゥーリーン村、カビール村、バイト・シュウーヒー村、スランファ村郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(8月15日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺、アルバイーン山、ムラーニー村、ビダーマー町で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

反体制勢力の動き

ザマーン・ワスル(8月15日付)は、各地の複数の活動家からの情報として、シャームの民のヌスラ戦線がアレッポ県、ハマー県に、自爆作戦(自爆テロ)の実行を志願する地元の若者を登録するための窓口を開設したと報じた。

同報道によると、ヌスラ戦線は自爆テロを志願する22歳以下の若者に対して手厚い謝金を支払うとしており、すでに60人が志願したという。

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クッルナー・シュラカー(8月15日付)は、南アフリカ共和国の駐シリア大使が、ダマスカスで民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表、ラジャー・ナースィル書記長と会談した、と報じた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、エジプト情勢に関して「憲法、シューラー議会、ムハンマド・ムルスィー大統領に代表される…エジプトの正統性に対する軍事クーデタ」を非難、「国際的、地域的な陰謀があり、そこでは敵国イスラエルと国内の手先の存在が欠かせない…。殺戮の手はシャームからエジプトに伸びている…。シリアと…エジプトで起きていることから、我々の民族は一つで、敵も一つだとみなが考えるようになっている」と指摘したうえで、「腐敗と独裁に対するジハード」への支持を表明した。

シリア政府の動き

ウムラーン・ズウビー情報大臣は、ベイルート郊外のダーヒヤで発生した爆弾テロを「臆病で不実で敵国イスラエルに奉仕する」行為と非難した。

SANA(8月15日付)が報じた。

レバノンの動き

NNA(8月15日付)などによると、ベイルート郊外のダーヒヤで爆弾テロが発生し、少なくとも14人が死亡、212人が負傷した。

爆発は、ベイル・アブド地区・ルワイス地区間で発生、MTV、マナール・チャンネルによると、自動車爆弾による自爆攻撃だった。

またジャディード・チャンネルによると、爆発現場で銃声が聞こえたという。

その後、「アーイシャ・イスラーム教徒の母中隊」を名乗る集団が、ユーチューブ(http://www.youtube.com/watch?v=gbF5DJ3_EKs&feature=player_embedded)を通じて犯行声明を出した。

声明で同集団は「我々はハサン・ナスルッラーのブタにメッセージを…送った」と述べた。

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ミシェル・スライマーン大統領は声明を出し、ダーヒヤでの自爆テロに関して「爆発には、テロとイスラエルの刻印が押されており、政治的メッセージを伝えるため、民間人と無実の人々を狙ったものだ」と非難した。

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ナビーフ・ビッリー国民議会議長は声明を出し、ダーヒヤでの自爆テロに関して「疑う余地なく、イスラエルの黒い手」によるもので「この犯罪は敵国イスラエルに資するだけ」だと非難した。

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進歩社会主義党党首のワリード・ジュンブラート議員はLBCI(8月15日付)に「ダーヒヤでの爆破事件の背後にいるイスラエルを非難する…。イスラエルだけが事件で得をしている」と述べた。

諸外国の動き

ロイター通信(8月15日付)は、トルコ軍がシリア領内(イドリブ県)から潜入しようとした「密輸業者」ら約2,000人の入国を阻止するため、対シリア国境に向けて発砲したと報じた。

トルコ軍によると、馬に乗った約150人と約40台の車輌とともに、750人から1,000人が300メートルにわたる列をなして徒歩でハタイ県レインヒル市郊外のクシャクル村の国境地帯に接近したのを受け、軍が潜入を阻止するために装甲車、戦車を展開させ、トルコ語とアラビア語で警告を発したという。

その際、クシャクル村から15~20発の発砲があり、トルコ軍が応戦したという。

ただし、この発砲が「密輸業者」なのか村人によるものなのかについて、軍は特定しなかった。

トルコ軍による威嚇射撃を受け、「密輸業者」は退散、その後現場で石油が入ったドラム缶35本が発見されたという。

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ザマーン・ワスル(8月15日付)は、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員としてシリア国内で活動している子息を連れ戻すため、湾岸諸国から複数の家族がシリア入りしたと報じた。

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クッルナー・シュラカー(8月15日付)は、イラク・クルディスタン地域政府が、ハサカ県マーリキーヤ(ダイリーク)市郊外のスィーマールカーとティグリス川対岸のフィーシュハーブールの間の国境通行所を再開し、シリアのクルド人の帰国と人道支援物資の搬出を認めたと報じた。

ただし、シリアからのクルド人避難民の受入は行わないという。

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マーティン・デンプスィー米陸軍参謀長は、訪問先のヨルダンの首都アンマン郊外にある米軍基地で約100人の米兵を前に演説を行った。

演説のなかで、デンプスィー参謀長は「数年間にわたって」ヨルダン駐留を継続するとしたうえで、「我々の活動が終わる日付を明言しない…。なぜなら、事態はシリア情勢がどう進展するかによっており…、(シリアの紛争に関係する)これらの問題への対応力をヨルダンのパートナーが評価するかによっているからだ」と述べた。

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UNRWAは声明を出し、8月7日に失踪していた職員(イマード・アブドゥルハフィーズ氏)が遺体で発見されたと発表、殺害を厳しく非難した。

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『ワシントン・ポスト』紙は、同紙のインターネット・サイトが、「シリア電子軍」のサイバー攻撃を受けた、と発表した。

AFP, August 15, 2013、al-Hayat, August 16, 2013、Kull-na Shuraka’, August 15, 2013、Kurdonline, August
15, 2013、al-Jadeed, August 15, 2013、LBCI, August 15, 2013、al-Manar, August
15, 2013、MTV, August 15, 2013、Naharnet, August 15, 2013、NNA, August 15,
2013、Reuters, August 15, 2013、SANA, August 15, 2013、UPI, August 15, 2013、Zaman
al-Wasl, August 15, 2013などをもとに作成。

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