ダマスカス郊外革命指導評議会が発足が目指される「シリア国民軍中核」に対する拒否の意を表明するなか、民主統一党のムスリム共同党首は西クルディスタンに「移行政府」ではなく「移行期民政局」の設置するための協議を開始したことを明らかに(2013年8月13日)

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反体制勢力の動き

ダマスカス郊外革命指導評議会は声明を出し、「シリア国民軍中核」を新たに発足するとしたシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー代表の発言に「シリア以外の土地での新たな軍の創設をめざすとした声明に懸念、非難、拒否」の意を示し、「反体制武装集団の隊列を弱化させる」としたうえで、「国際社会に自由シリア軍に充分な武器を供与するよう」求めた。

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シリア革命反体制勢力国民連立で治安・防衛問題を担当するカマール・ルブワーニーは『ハヤート』(8月14日付)に、連立が近く結成を発表する予定の「シリア国民軍中核」に関して、ヨルダン、レバノン、トルコに逃れた離反兵約7,000人が参加する、と述べた。

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民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は、トルコ高官との会談のため訪問したイスタンブールで『ハヤート』(8月14日付)に対して、党幹部が西クルディスタンに「移行政府」でなく、「移行期民政局」の設置するための協議を開始したと述べた。

ムスリム共同党首によると、「移行期民政局」は、各組織代表5人から構成される100~120人規模の組織になる予定で、西クルディスタンの市民生活の運営と、議会選挙のための法整備などを目的としている、という。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長はUPI(8月13日付)に対して「世界中のクルド人がクルディスタンを夢見るのは当然だが…歴史は一日たりともそのように描かれてはいない」と述べた。

そのうえで「我々は、(西クルディスタンの)自治民政局を支持しており、新たなシリアを建設するなかで分権制を支持している。この点において、(民主的変革諸勢力国民調整)委員会結成時に民主統一党を含むクルド政党5党と合意している」と付言した。

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クッルナー・シュラカー(8月14日付)は、アレッポ県北部において、自由シリア軍とクルド最高委員会による停戦合意を、アレッポ県アイン・アラブ市などで活動するマガーイル・シュユーフ旅団など一部の武装集団が拒否したと報じた。

ラッカ県タッル・アブヤド市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍との停戦が明記されていないのが拒否の理由だという。

シリア政府の動き

シリア・アラブ・テレビ(8月13日付)は、シャームの民のヌスラ戦線のアミーラだという「サーラ」(当局が逮捕)を名のる女性らが反体制武装集団と行動を共にし「結婚ジハード」(性的「慰安」)を行っていたと証言する映像を放映した。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=AFOqmJsbla0

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アサド大統領は2013年政令第56号を発し、予備役期間中の国営銀行利用者への分割返済を延期・猶予することを定めた。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市内のイラク・シャーム・イスラーム国の本部前で、市民が抗議デモを行った。

デモ参加者は、イラク・シャーム・イスラーム国が逮捕した住民の釈放、イタリア人宣教師パウロ・ダルリオ氏(ダイル・マール・ムーサー修道院修道長)の解放を要求した。

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同じくアレッポ県では、シリア人権監視団によると、ハナースィル市での地雷の爆発で、軍兵士5人が死亡した。

またクワイリス航空基地、バヤーヌーン町、マーイル町、ダイル・ハーフィル市で、軍と反体制武装集団が交戦し、10人以上が死亡した。

アレッポ市では、ブスターン・バーシャー地区、シャイフ・サイード地区で、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、クッルナー・シュラカー(8月13日付)は、イスラーム旅団に属すアッラーの剣自由人大隊が、アレッポ市イザーア地区、サイフ・ダウラ地区の軍作戦司令部副官のギヤース・ラヒーバ大尉を殺害した、と報じた。

他方、SANA(8月13日付)によると、クワイリス村近郊、アレッポ中央刑務所周辺、ハーン・アサル村、ラスム・アッブード村、アターリブ市、ガーブ市、ダッル・アイユーブ村、アレッポ市ジュダイダ地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、アレッポ市サラーフッディーン地区、スライマーン・ハラビー地区、スワイカ地区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がナスィーブ村の対ヨルダン国境の第29監視所を占拠したのを受け、軍が同市を空爆した。

また軍は、タスィール町、タファス市を砲撃した。

一方、SANA(8月13日付)によると、ハーッラ市、ダルアー市、ジッリーン村、タファス市、ダーイル町、タスィール町、アイン・フライジャ市、アイン・ズィクル村、サイダー市、カルカス市、ラフィード市、ウンム・マヤーズィン町、バスラ-・シャーム市で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がナビー・ユーヌス山頂の軍の拠点複数カ所を攻撃、対する軍もサルマー町、ドゥーリーン村、ブタータ村を「樽爆弾」などで砲撃・空爆し、反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(8月13日付)によると、オービーン村、ナビー・イシュアヤー山、ハンブーシーヤ村周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、モロッコ人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カスティン市、マアッラト・ヌウマーン市、サラーキブ市、アウラム・ジャウズ市を砲撃した。

これに対し、反体制武装集団は、アリーハー市とイドリブ市間のマストゥーマ軍事基地に向かっていた軍の装甲車の車列を襲撃した。

一方、SANA(8月13日付)によると、アイン・ラールード村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ムーリク市近くで、軍と反体制武装集団が交戦し、戦闘員18人が死亡した。

また、ラスム・ワルド村、カスル・イブン・ワルダーン村を軍が砲撃、さらにアムキーヤ町では軍の砲撃で子供1人が死亡、10人が負傷した。

一方、SANA(8月13日付)によると、ハルダーナー村で、爆弾が仕掛けられた車が誤爆し、反体制武装集団戦闘員多数が死亡した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タブカ航空基地近くで、軍と反体制武装集団が交戦し、軍がサフサーフ農場を空爆した。

またラッカ・ヒムス街道で、爆弾が爆発し、軍兵士3人が死亡、4人が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区などで、軍と反体制武装集団が交戦した。

またスカイニュース・アラビック(8月13日付)によると、ダイル・ザウル市ムマイイズィーン地区の軍の拠点(学校)に、反体制武装集団が砲撃を加えた。

一方、SANA(8月13日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区、シャイフ・ヤースィーン地区、工業地区、ウルフィー地区、シュハイル市、ブサイラ市、ヒサーン村、マリーイーヤ村で、軍が反体制武装集団と交戦し、外国時人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区、カーブーン区、ヤルムーク区を軍が砲撃した。

一方、SANA(8月13日付)によると、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アドラー市の第55旅団本部を、反体制武装集団が襲撃し、軍と交戦した。

またフジャイラ村、ミスラーバー市、マディーラー市、ドゥーマー市、ハラスター市、カースィミーヤ市で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(8月13日付)によると、アルバイン市、ダイル・サルマーン市、フタイタト・トゥルクマーン市、ヤブルード市、ズィヤービーヤ町、ヤルダー市で、軍がシャームの民のヌスラ戦線の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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一方、SANA(8月13日付)によると、タッルアダーイ村、ハルファ村、アイン・フサイン村、ダイル・フール村、ラスタン市、タッルドゥー市、ザアフラーナ村、キースィーン市、カルアト・ヒスン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

諸外国の動き

トルコの匿名外交筋は、4月にアレッポ県カフルダーイル村で拉致されたシリア正教会のグレゴリウス・ヨハネ・イブラーヒーム・アレッポ主教とギリシャ正教会のブールス・ヤーズジー・アレッポ主教が、シリア国民評議会とつながりのある組織によってトルコ領内で監禁されているとの一部報道に関して「主教2人はトルコ領内にいない…。我々が解放を望んでいる2人に関する情報は、事実無根だ」と否定した。

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マーティン・デンプスィー米陸軍参謀長は訪問先のイスラエルで記者団に対し、シリアの穏健な反体制勢力について、イスラーム過激派との一時的な協力関係がいつ実質的な同盟関係になるかを監視している、と述べた。

またシリア問題をめぐる米国、イスラエル、ヨルダンの協力における最重要点が、アサド政権が保有する化学兵器の脅威だと述べた。

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NNA(8月13日付)によると、ゴラン高原のブルー・ラインを越え、イスラエル占領下のレバノン領シャブアー農場に避難したシリア人羊飼いのムハマンマド・バダウィー氏(ダマスカス郊外県バイト・ジン村出身)が、イスラエル軍に身柄を拘束された。

AFP, August 13, 2013、al-Hayat, August 14, 2013、Kull-na Shuraka’, August 13, 2013、Kurdonline, August
13, 2013、Naharnet, August 13, 2013、Reuters, August 13, 2013、SANA, August
13, 2013、Sky News Arabic, August 13, 2013、UPI, August 13, 2013などをもとに作成。

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