ラッカ県でイラク・シャーム・イスラーム国が地元評議会のメンバー22人全員を逮捕、2ヶ月前にアフガニスタン・ターリバーンの使節団が「ジハード支援」を目的としてシリアを訪問していたことが明らかに(2013年7月13日)

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反体制勢力の動き

『ハヤート』(7月14日付)などによると、対トルコ国境に面するラッカ県タッル・アブヤド市で、イラク・シャーム・イスラーム国の戦闘員が、地元評議会のメンバー22人全員を逮捕した。

同報道によると、評議会メンバー逮捕は、イラク・シャーム・イスラーム国の戦闘員が外国によって供与された発電設備をタッル・アブヤド経由でシリア領内に持ち込もうとしたことに評議会が反対したことがきっかけだったという。

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地元調整委員会は声明を出し、イドリブ県やラタキア県での自由シリア軍司令官殺害、ラッカ県タッル・アブヤド市の地元評議会メンバーの拘束などを行うイラク・シャーム・イスラーム国を批判、アサド政権に奉仕している、と指弾した。

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シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、9日にアレッポ市ブスターン・カスル地区で起きた検問所開放を求める住民のデモ排除に関して、関与を否定する一方、シャリーア委員会に、政府支配地域からの食糧品などの搬入を行う検問所の監督を要請した。

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クッルナー・シュラカー(7月13日付)は、ハサカ県アームーダー市で民主統一党のアサーイシュが身柄拘束中だった活動家8人のうち7人を釈放した。

釈放されたのはシリア・クルド・イェキーティー党のムハンマド・ハイル・バンクー、同じくアブドゥッラー・アウジーら。

アブドゥッラー・タハウウビーは依然として身柄拘束中。

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クッルナー・シュラカー(7月13日付)は、アレッポ県の国家治安局政党課長のムハンマド・バシール・ダアブール中佐が離反し、トルコのガズィアンテップ市に避難したと報じた。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区、バルザ区に対して、軍が激しい砲撃・空爆を加えた。

一方、SANA(7月13日付)によると、カーブーン区、バルザ区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市、ライーバ市、ムウダミーヤト・シャーム市、タッル市、ドゥーマー市、ドゥマイル市で、軍が砲撃を加え、反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(7月13日付)によると、ハラスター市、ドゥーマー市郊外、リーハーン農場、アルバイン市、フジャイラ村、ダーライヤー市、ドゥマイル市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ザーラ村に、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(7月13日付)によると、ザーラ村、カルアト・ヒスン市、ヒムス市クスール地区、バーブ・フード地区、バイト・スワイス地区、マルワハ村、アッバースィーヤ村、ラスタン市、タルビーサ市、ヒルブナフサ村、ウユーン・フサイン市、キースィーン市などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市各所に、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(7月13日付)によると、ダルアー市国立病院周辺などで、軍が反体制武装集団と交戦し、タウヒード旅団戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市のフルースィーヤ地区などで、軍が逮捕摘発活動を行った。

またサラミーヤ市の国際幹線道路で反体制武装集団が軍の車列を襲撃し、複数の兵士を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ザーウィヤ山に軍が砲撃を加えた。

また軍は、ブサンクール村などアレッポ・ラタキア街道各所を空爆、また反体制武装集団が制圧している検問所周辺で、軍と反体制武装集団が交戦した。これにより、反体制武装集団の戦闘員11人が死亡したという。

一方、SANA(7月13日付)によると、ビンニシュ市北東部で、軍が反体制武装集団を攻撃、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マイダーン地区、アシュラフィーヤ地区、バヤーヌーン町などが軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(7月13日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、ダーラト・イッザ市、マンナグ航空基地周辺、タッル・リフアト市、ハーン・アサル村周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市では、ラーシディーン地区、サラーフッディーン地区、スッカリー地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、アレッポ市スライマーニーヤ地区に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、4人が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市の旧空港地区、ラサーファ地区、ハウィーカ地区、カバージブ村が軍の砲撃を受けた。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、アイン・イーサー市の第93旅団本部などが反体制武装集団の砲撃を受けた。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(7月13日付)によると、カーミシュリー市の軍住宅機構の警備員2人が頭を切断されるなどして殺害された。

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ラタキア県では、SANA(7月13日付)によると、ハーン・ジャウズ村、カサブ村、ドゥッラ村、ワーディー・シャイハーン村、カサーティル・シャムスィーヤ村、アティーマ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、サウジ人、パキスタン人など外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

諸外国の動き

CNN(7月13日付)は米高官3人からの情報として、イスラエル軍戦闘機が7月5日にラタキア県を空爆し、ロシア製のヤコント対艦ミサイルを破壊していた、と報じた。

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BBC(7月13日付)は、アフガニスタンのターリバーンの使節団が2ヶ月前に、シリアを訪問していたと報じた。

使節団は12人の専門家・戦闘員からなり、シリア国内での拠点の設置と「ジハード支援」を行うことが目的だったという。

ターリバーンのシリア本部調整役のムハンマド・アミーンは「ジハードへの参加を志願するパキスタン人数十人が、シリアでの反体制武装活動に参加するのを待っている。しかし、現時点で我々が得たアドバイスは、シリアには充分な戦闘員がいる、というものだった」と述べた。

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赤十字国際委員会は、人道支援配給のため、軍による制圧作戦本格化を受けて戦闘が激化しているヒムス県ヒムス市での「休戦」を呼びかけた。

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アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は声明を出し、エジプト当局がシリア人に入国ビザの取得を義務づけたことに関して懸念を表明、難民としての受け入れを要請するすべてのシリア人を受け入れ、保護するよう求めた。

AFP, July 13, 2013、BBC, July 13, 2013、CNN, July 13, 2013、al-Hayat, July 14, 2013、Kull-na Shuraka’, July 13, 2013、Kurdonline, July 13, 2013、Naharnet, July 13, 2013、Reuters, July 13, 2013、SANA, July 13, 2013、UPI, July 13, 2013などをもとに作成。

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