2013年6月28日のシリア情勢

反体制勢力の動き

パリを活動拠点とする自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官のルワイユ・ミクダードは、『ハヤート』(6月28日付)に対して、「自らの土地のために戦う革命家と英雄がいるなか、シリア国民は、兵器、食糧、資金、薬など、マンパワー以外のあらゆる支援を必要としている…。問題は装備であって、数ではない」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立を脱会したアフマド・マアーッズ・ハティーブ前議長は『ハヤート』(6月29日付)に対して、NATO軍によるパトリオット・ミサイルの配備を増強することで「安全回廊」(飛行禁止空域)を設け、シリア国民の保護を拡充すべきだと述べた。

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シリア人権監視団は声明を出し、27日のダマスカス県バーブ・トゥーマー地区で発生した自爆テロに関して、調査の結果、爆発は仕掛け爆弾によるもので、自爆犯だと思われていた男性は犠牲者だったと発表した。

また爆発の直後に、現場に迫撃砲弾が2発撃ち込まれたことも明らかにした。

国内の暴力

ハサカ県では、『ハヤート』(6月29日付)などによると、アームーダー市で、民主連合党が拘束中の逮捕者の釈放を求める座り込みに対して、治安部隊(アサーイシュ)が発砲し、3人が死亡した。

これに関して、アサーイシュは、座り込みに参加したシリア・クルド・イェキーティー党とシリア・クルド・アーザーディー党の支持者が、人民防衛部隊を襲撃し、部隊が応戦を余儀なくされたと非難した。

一方、シリア・クルド国民評議会は声明を出し、評議会加盟政党の事務所を襲撃したアサーイシュとデモ参加者が衝突し、死者が出たと発表した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、カラク村が軍の砲撃を受け、女性6人と子供4人の合わせて10人が死亡した。

またブスラー・シャーム市、ダルアー市各所、ワーディー・ヤルムークに対して軍が砲撃を加えたほか、ジャースィム市などで軍と反体制武装集団が交戦した。

さらに、同監視団によると、ダルアー市内にあるビナーヤート検問所を反体制武装集団が2週間におよぶ包囲の末に制圧した。

制圧に際して、反体制武装集団は、検問所前で爆弾を積んだ車を爆発させ、兵士多数を死傷させた。

なお、反体制武装集団は、インヒル市でも爆弾を仕掛けた車を爆発させ、複数の軍兵士を死傷させた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハラスター市、ドゥーマー市、ザマルカー町、ダイル・サルマーン市、ムウダミーヤト・シャーム市、サイイダ・ザイナブ町、などを軍が砲撃した。

また、同監視団によると、ハラスター市の男性16人が、軍刑務所での拷問を受けて死亡、家族が遺体を引き取りに来るよう連絡を受けた。

一方、SANA(6月28日付)によると、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、フジャイラ村、バフダリーヤ市郊外、シャイフーニーヤ村、ワーディー・アイン・タルマー、カフルバトナー町、ザマルカー町、アルバイン市、ダイル・サルマーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、使徒末裔大隊メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ジャバター・ハシャブ市、タルナジャ村を軍が砲撃した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市、ダミーヤ市、ジャルニーヤ市で、軍が反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(6月28日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、カラービース地区、タルビーサ市、ガントゥー市、バイト・ハッジュー市、カルア・ヒスン市、キースィーン市で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、キンサバー村、サルマー町などが軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(6月28日付)によると、フルワ村、グナイミーヤ村、ラビーア町で、軍がシャームの民のヌスラ戦線の拠点を攻撃・破壊、戦闘員を殲滅した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がヌッブル市、ザフラー町にある軍の拠点を攻撃する一方、軍はサフィーラ市、サービキーヤ村、ワディーヒー村、マンナグ航空基地周辺を砲撃・空爆した。

一方、SANA(6月28日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、バービース村、マンスーラ村、アンダーン市、ハイヤーン町、マンナグ市、アルカミーヤ村、カフル・アントゥーン市、ニブル市、マンナグ航空基地周辺、タッル・リフアト市、フライターン市、マーイル町で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、ラーシディーン地区周辺で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タブカ航空基地周辺の反体制武装集団が軍の砲撃を受けた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市ラサーファ地区、ムーハサン市などで軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

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ダマスカス県では、SANA(6月28日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(6月28日付)によると、ジャーヌーディーヤ町、ミシュミシャーン市、バスラ-ムーン市、アルバイーン山、ラーム・ハムダーン市、ムウタリム村、サラーキブ市、マアッラト・ニウマーン市、カフルナブル市、カフルルーマー村、ハイシュー市、カトルーン村で、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、反体制勢力への武器供与に関して「(ジュネーブ2)大会の趣旨に反する」と述べ、西側諸国を批判する一方、「西側などが支援する反体制勢力はシリア政府が降伏に同意しない限り会議に出席しないと述べた」とし、アサド政権の退任を対話の前提条件としている反体制勢力の姿勢を非難した。

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『ル・モンド』(6月28日付)は、同紙記者2人がシリア国内から持ち出したとされる尿、毛髪、衣服のサンプルの分析により、2013年4月と5月にダマスカス県ジャウバル区とダマスカス郊外県グータ地方で、サリンガスが使用されたとの最終結果が出たと報じた。

同紙によると、これにより、少なくとも13人が負傷したという。

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ドイツの支援団体、グリューンヘルメ(Gruenhelme、緑のヘルメット)の創設者、ルパート・ヌーデック氏は、同団体の職員3人がイドリブ県で5月中旬に誘拐され、現在も行方不明であることを明らかにした。

ヌーデック氏が発表した声明によると、5月14日の深夜から15日未明にかけて、トルコとの国境に近いイドリブ県ハーリム市で、団体の職員3人が誘拐されたという。

ヌーデック氏はまた、「ドイツ国内のメディアが(事件を)一切報道していないことに、非常に驚いている。だが、これ以上黙っているわけにはいかない」と語っている。

同団体は、シリア北部のインフラ再建と医療活動を支援するため、数か月前からこの地域に職員を派遣している。

AFP, June 28, 2013、al-Ḥayāt, June 28, 2013、June 29, 2013、Kull-nā Shurakā’, June 28, 2013、Kurdonline, June 28, 2013、Le Monde, June 28, 2013、Naharnet, June 28, 2013、Reuters, June 28, 2013、SANA, June 28, 2013、UPI, June 28, 2013などをもとに作成。

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