2013年6月25日のシリア情勢

シリア政府の動き

アサド大統領は、シリア国内に不法入国するすべての者を、禁固1~5年の実刑ないしは500万~1,000万シリア・ポンドの罰金刑に処することを定めた2013年法律第9号を施行した。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立は、カタールのハマド・ビン・ハリーファ首長の退位とタミーム・ビン・ハマド皇太子の新首長就任に合わせて声明を出し、新首長誕生への祝辞を述べるとともに、「アラブ諸国民の権利を支援するカタールの原則姿勢の継続においてさらなる成功を収める」ことを望むと発表し、支援の継続を要請した。

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ザマーン・ワスル(6月25日付)は、シリア・ムスリム同胞団の一部活動家がイスタンブールで「民主的」で「穏健」な政党の結成を準備していると報じた。

同報道によると、新党結成の動きは、ムハンマド・ワリードが、キリスト教徒のライムーン・マアジューンらとともに推し進めているという。

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自由シリア軍のアブドゥルハミード・ウマル・ザカリヤー大佐は、ムスタクバル・チャンネル(6月25日付)に対して、「自由シリア軍参謀委員会は、数ヶ月前に声明を出し、バッサーム・ダーダーとの関係を否定している」と述べ、レバノン南部県サイダー郡アドラー市のサラフィー主義者シャイフ、アフマド・アスィールが自由シリア軍の保護を受け、シリア領内に逃走したとのダーダーの発言を否定した。

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『ハヤート』(6月25日付)は、アレッポ県で、女子大学生らが「我らが母アーイシャ大隊」と名のる反体制武装集団を結成し、自由シリア軍の戦闘員とともに戦闘に参加すると発表したと報じた。

「我らが母アーイシャ大隊」の参加者によると、同大隊はいかなる反体制武装集団にも属さないが、自由シリア軍参謀委員会とともに戦うという。

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反体制活動家のリーバール・アサド(アサド大統領のいとこ)は、ニューヨークでの『ハアレツ』(6月25日付)記者とのインタビューで、シリアのサラフィー主義武装勢力を「ナチスよりも極悪」と非難、米国などが反体制勢力に武器供与を行えば、トルコやイスラエルをも巻き込んだ「地域戦争」に発展すると警鐘を鳴らした。

リーバール・アサドは「彼ら(サラフィー主義者)は、中東各地に反乱を拡散しようとしている。彼らを止めることができなければ、結果として地域戦争が生じ、トルコやイスラエルに及ぶだろう…。ワシントンはこの宗派戦争のいかなる勢力にも与するべきではない…。過激派に武器を供与するのではなく、米国はロシア、中国と協力し、挙国一致政府樹立に向けた国際合意を結ぶべきだ」と述べた。

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『テレグラフ』(6月25日付)は、アサド大統領のおじで反体制活動家のリフアト・アサド前副大統領が、パリの邸宅を7,000万ユーロで売却したと報じた。

この邸宅はパリの一等地に位置し、7階建てで資産価値は1億ユーロ。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区に軍が砲撃を行う一方、アダウィー地区に迫撃砲弾が着弾し、複数の市民が負傷した。

また複数の反体制消息筋によると、ダマスカス大学医学部に治安部隊が突入し、複数の学生を逮捕、連行した。

一方、SANA(6月25日付)によると、ジャウバル区、バルザ区、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団で複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、ダイルハビーヤ市、ドゥーマー市、アルバイン市、ヤルダー市、アドラー市、ヤブルード市郊外、ハルブーン市、ハムーリーヤ市、ザバダーニー市などで軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃・空爆を加えた。

またバイト・スィヒム市、シャブアー町近くで大きな爆発が2度発生した。

一方、SANA(6月25日付)によると、ハラスター市、ドゥーマー市、アドラー市、アルバイン市、ナバク市、ハルブーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団で複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、インヒル市、第15旅団基地周辺、ダルアー市で軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月25日付)によると、ダルアー市各所、シャブラク村、ムザイラア市、ナーフィア村、ハイト村、スィヒム・ジャウラーン市、ジャニーン市で、軍が反体制武装集団と交戦し、タウヒード旅団で複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、タルナジャ市、ジャバーター・ハシャブ市、カフターニーヤ市、ハミーディーヤ市、バアス市で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダイル・フール村、ラスタン市、カルヤタイン市、ダーラ・カビーラ市、スッカリーヤ町、タッルカラフ市で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月25日付)によると、タッルドゥー市、カフルラーハー市、タイバ村、カルヤタイン市、タルビーサ市、バイト・スワイス市、タドムル市南部、タッルカラフ市郊外、スッカリー村、ラスタン市、タッルダハブ市、ダイル・フール村、ウンム・ダワーリー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ラーミー村、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、ハーミディーヤ軍事基地周辺で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月25日付)によると、ジャーヌーディーヤ町、カストゥーン村、ダルクーシュ町、アリーハー市、カフルナーヤー市、アウラム・ジャウズ市、ラーミー村、イドリブ中央刑務所周辺、マアッラトミスリーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、チェチェン人戦闘員など複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区、マアーディー地区、ラーシディーン地区、アシュラフィーヤ地区で、軍と反体制武装集団が交戦した。

またアレッポ中央刑務所周辺でも、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(6月25日付)によると、マンナグ航空基地、アイン・ダクナー市・アアザール市間の街道、マンスーラ村、フライターン市、アレッポ市ラーシディーン地区、ハイダリーヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、第17師団基地で、軍と反体制武装集団が交戦した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、マリーイーヤ村で、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(6月25日付)によると、ダイル・ザウル市サイフ・ヤースィーン地区、工業地区、ハウィーカ地区、マリーイーヤ村、ムーハサン市で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(6月25日付)によると、スライジーヤ村、ファトラーウィー村、ラスム・ティーナ村、ジャズダーニーヤ村、カフルヌブーダ町、ラスム・ワルド市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(6月25日付)によると、シャフルーラ村、ズワイク村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

諸外国の動き

サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、ジェッダでジョン・ケリー米国務長官と会談し、シリア情勢などについて協議した。

会談後の記者会見で、サウード・ファイサル外務大臣はシリアを「占領地以外の何ものともみなしえない」と形容し、「イランとヒズブッラーの介入に対して沈黙するわけにはいかない」と述べた。

またアサド政権が「正統性を失っているがゆえ」に、同政権がシリアの現在、そして未来に参与することをサウジアラビアは拒否する、と述べた。

そのうえで国際社会が「シリア政府の武器が増強されることを阻止する」必要があると強調する一方、「シリア国民に対する国際社会の保護、あるいは彼らの自衛を可能とするような軍事的支援の評価をめぐって手をこまねく」べきではないとの見解を示した。

これに対して、ケリー米国防長官は、米国が反体制勢力に対して実質的な支援を拡充するべく行動していると述べつつ、支援内容の詳細についての言及を避けた。

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バラク・オバマ米大統領はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相と約1時間にわたり電話会談を行い、シリア情勢について協議した。

ホワイトハウスによると、この会談で、オバマ大統領は、シリア革命反体制勢力国民連立および自由シリア軍参謀委員会への追加支援の必要を強調したという。

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イスラエル軍報道官は、負傷したシリア人男性2人がゴラン高原のクナイトラ国境通行所を経由し、イスラエル領内に入国、サファド市の病院に搬送されたと発表した。

同報道官によると、この2人は脚を撃たれており、民間人なのか、反体制武装集団の戦闘員なのかは分からないという。

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イラクのハーディー・アーミリー運輸大臣は、ダイル・ザウル県ハトラ村でのシーア派虐殺と同様の事件が再発したら、イラクを含む世界中のシーア派の若者数千人がシリアでの戦闘に赴くことになるだろう、と述べた。

アーミリー運輸大臣はイラク・イスラーム最高評議会の軍事部門であるバドル機構の書記長。

ロイター(6月25日付)が報じた。

AFP, June 25, 2013、Haaretz, June 25, 2013、al-Ḥayāt, June 26, 2013、Kull-nā Shurakā’, June 25, 2013, June 26, 2013、Kurdonline,
June 25, 2013、al-Mustaqbal Channel, June 25, 2013、Naharnet, June 25, 2013、Reuters,
June 25, 2013、SANA, June 25, 2013、The Telegraph, June 25, 2013、UPI, June 25, 2013、Zamān al-Waṣl, June 25, 2013などをもとに作成。

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