シリア・クルド国民評議会がイスタンブールで会合を開きシリア革命反体制勢力国民連立を含む反体制組織との関係を強化することで合意、国連では米英が「シリア政府によって10回化学兵器が使用された」と主張していたことが明らかに(2013年6月26日)

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反体制勢力の動き

ロンドンで活動する反体制組織のシリア人権監視団は、2013年3月以降のシリアでの紛争による死者数が、100,191人に達したと発表した。

死者の内訳は以下の通り:

民間人:50,200人(うち児童は5,144人、18歳以上の女性は3,330人、反体制武装集団の戦闘員は13,539人)
離反兵:2,015人
軍兵士:25,407人
人民諸委員会、国防隊、「シャッビーハ」、親政権の諜報工作員:17,311人
身元不明者:2,571人
シリア人以外の外国人戦闘員および身元不明の戦闘員:2,518人
ヒズブッラーの戦闘員:169人

シリア人権監視団による死者数の分類は、反体制武装組織の戦闘員を民間人に分類する一方、政権支配地域での互助会・自警団である人民諸組織と犯罪集団であるシャッビーハをまとめて集計するなどといった偏りが見られる。

しかしこの分類からは、反体制勢力の死者数に対して、民間人とアサド政権支持者の死者数が多いことが分かる。

なお上記の死者数には、10,000人以上の逮捕者・行方不明者、さらには軍兵士および親政権武装集団の死者2,500人以上は含まれていない。

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シリア・クルド国民評議会の国民渉外関係委員会がイスタンブールで会合を開き、シリア革命反体制勢力国民連立をはじめとする国内外の反体制組織との関係を強化することで合意した。

シリア・クルド進歩民主党のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ書記長が『ハヤート』(6月27日付)に対して明らかにした。

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元共和国護衛隊准将のフィラース・トゥラースはフェイスブック(6月26日付)で、「アブー・バナート」が率いるチェチェン人武装集団を「反革命的」と断じ、アレッポ県で武装闘争を指導するアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐(自由シリア軍アレッポ軍事評議会前議長)、アブドゥルカーディル・サーリフ(タウヒード旅団司令官)、アブー・バクル(ファトフ旅団司令官)に対して彼らを追放するよう呼びかけた。

「アブー・バナート」は2013年4月にアレッポ県でキリスト教主教2人を誘拐・拉致した実行犯と目されている。

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『クドス・アラビー』(6月26日付)は、軍を離反したザイド・トゥラース空軍大佐の情報として、シリア政府には戦闘可能な戦闘機が90機しか残っていない(未確認情報)、と報じた。

トゥラース大佐によると、シリア政府はかつては350機以上の戦闘機を保有していたという。

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民主的市民国家のためのシリア人外交官連合は24日と26日に声明を出し、ラマー・イスカンダル、ハイサム・フマイダーンの2人が外務在外居住者省を「離反」したと発表した。

クッルナー・シュラカー(6月26日付)が報じた。

国内の政治勢力の動き

シリアの与野党使節団がイランを訪問し、サイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記、アミーン・ホセイン・アミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣らと会談した。

使節団は、野党のファーティフ・ジャームース(平和的変革の道潮流)、マーヒル・ムルヒジュ(シリア国民青年党書記長)、与党のファイサル・アズーズ人民議会議員(バアス党)、フサイン・ラーギブ人民議会議員(無所属)、ターリフ・アフマド(シリア民族社会党)、アラー・アラファート(国民意思党)、マーリヤー・サアーダ人民議会議員(無所属)、バルウィーン・イブラーヒーム(国民青年公正成長党書記長)、アーディル・ナイーサ(変革解放人民戦線)、ムイハンマド・ムティーウ人民議会議員(バアス党)。

クッルナー・シュラカー(6月26日付)が報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ザバダーニー市、ムウダミーヤ・シャーム市、シャイフーニーヤ村、ズィヤービーヤ町、サイイダ・ザイナブ町、フサイニーヤ町、ドゥーマー市で、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を行った。

一方、SANA(6月26日付)によると、アドラー市および同市周辺、ザマルカー町、アルバイン市、ハラスター市、ダイル・サルマーン市、カーラ市、ナブク市、ハルブーン市郊外、ザバダーニー市、ダーライヤー市、ヤブルード市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市、タドムル市郊外のシャーイル・油田で、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(6月26日付)によると、ヒムス市カラービース地区、ハーリディーヤ地区、クスール地区、タドムル市郊外、キースィーン市、ラスタン市、タルビーサ市、ダイル・フール村、ウユーン・フサイン市、ガントゥー市、バイト・ハッジュー市、ガジャル村、サフワーニーヤ村、アブー・イーリーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(6月26日付)によると、ハサカ市南部で、軍がシャームの民のヌスラ戦線の拠点を攻撃、破壊し、複数の戦闘員を殲滅した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カルアト・マディーク町、ジュナイナ村、トゥッファーハ村、バイユード村、ハムダーニーヤ村、ジュッブ・ハンタ村などで、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(6月26日付)によると、サルジーヤ村、イーサー村、タルファーウィー村、ラスム・ワルド村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ジャーヌーディーヤ町、マアッラトミスリーン市、カニーヤ村、ハントゥーニーン村、ムアスラーン村、ラーミー村、ナフラ市、マアッラー市で、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(6月26日付)によると、ジャーヌーディーヤ町、ハーッジ・ハンムード農園、ダイル・ウスマーン市、カニーヤ村、マアッラ・ミスリーン市、タッル・トゥーカーン市、マアッラト・ヌウマーン市、ナフラ村、ラーミー村、ラウズ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ハーン・アサル市、ザフラー町周辺、バヤーヌーン町、ダービク村、アアザーズ市で、軍と反体制武装集団が交戦した。

アレッポ市シャイフ・マクスード地区、ハイダリーヤ地区、ザフラー地区、ラーシディーン地区、サラーフッディーン地区、アシュラフィーヤ地区、ライラムーン地区で、軍と反体制武装集団が交戦した。

またシリア人権監視団は、ハーン・アサル市だとされる場所で、アラビア語のフスハーを話すチェチェン人と思われる武装集団が、住民の前で男性2人を「体制に協力した」として処刑する映像が送られてきたと発表した。

一方、SANA(6月26日付)によると、マンスーラ村、マンナグ航空基地周辺、アルカミーヤ村、カフルアントゥーン市、マーリキーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市ではサーフール地区、ラーシディーン地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市の検問所などで、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(6月26日付)によると、ジャースィム市、タファス市、ダルアー市郊外の避難民キャンプで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、軍がカーブーン区を空爆、またバルザ区、カダム区で反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(6月26日付)によると、カーブーン区にあるカーブーン第3変電所が反体制武装集団の攻撃を受け、従業員1人が死亡、3人が負傷した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、第17師団基地周辺で、軍と反体制武装集団が交戦した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・ハミース市を軍が空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市工業地区で、軍と反体制武装集団が交戦した。

レバノンの動き

MTV(6月26日付)などレバノンの複数のメディアは、南部県サイダー郡アドラー市での軍によるサラフィー主義武装集団の掃討に関して、シリアへの逃走が一時報じられた指導者のアフマド・アスィールが依然としてサイダー郡内に潜伏していると報じた。

諸外国の動き

AP(6月27日付)は、複数の駐ニューヨーク外交官の話として、米国と英国が国連に「シリア政府によって10回化学兵器が使用された」と主張する一方、反体制勢力による化学兵器保有および使用に関する「いかなる証拠も発見できなかった」との報告を行ったと報じた。

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クウェートを訪問中のジョン・ケリー米国務長官は「過激派が強力になり、テロの可能性が増えれば、地域にとって事態はさらに危険なものになる」と述べたうえで、「シリア情勢において、軍事的解決はなく、我々は外交的解決をめざさねばならない」と強調した。

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ゴラン高原の占領地でのイスラエル軍の訓練を視察し、「我々がここで行っている訓練は、理論的なものではない。我々をめぐる情勢は急速に緊張している。事態は混乱、急変しており、我々はこれに対して備えなければならない」と述べた。

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ヨルダンの内務省が声明を出し、フサイン・マジャーリー内務大臣がアン・リチャード米国務次官補(人口・難民・移民担当)に対して、「人道的観点に基づき、ヨルダンは避難民に対して(対シリア)国境を封鎖することはない」と伝えたことを明らかにした。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、アレッポ県地元評議会の使節団と会談した。

使節団は、アレッポ県議会のヤフヤー・ナアナーア議長、アフマド・アズーズ県地元評議会議長、アブドゥルカリーム・アニースから構成されていた。

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ロシア日刊紙『ヴェドモスチ』(6月26日付)は国防省消息筋の話として、「タルトゥースには、軍人、国防省の民間職員のいずれも残っていない…。シリアの紛争に関連する危険を軽減するため職員の退避を決定した」と報じた。

AFP, June 26, 2013、al-Hayat, June 27, 2013、Kull-na Shuraka’, June 26, 2013、Kurdonline, June 26, 2013、Naharnet, June 26, 2013、al-Quds al-ʻArabi, June 26, 2013、Reuters, June 26, 2013、SANA, June 26, 2013、UPI, June 26, 2013などをもとに作成。

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