2013年5月15日のシリア情勢

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(5月15日付)によると、ジャルバー市、バハーリーヤ市で、軍が反体制武装集団の掃討を完了し、両市の治安を回復した。

またドゥーマー市、ジャルバー市、ムライハ氏、ハルブーン市、タッル市、アドラー市、イバーダ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ウマウィーイーン広場で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、男性1人が死亡、複数が負傷した。

治安筋によると、車は参謀本部近くの軍検問所付近に駐車していた車に仕掛けられていたという。

またヤルムーク区では、軍の砲撃により、4人が死亡、12人が負傷し、アサーリーリク地区では軍と反体制武装集団が交戦したという。

一方、SANA(5月15日付)は、ウマウィーイーン広場ではなく、マッザ区(ヴィーラート・マッザ)で、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、車の持ち主の医師1人が負傷したと報じた。

ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ中央刑務所内で軍と反体制武装集団が交戦した。

戦闘は、反体制武装集団が刑務所に突入したことを受けて発生し、軍が刑務所周辺を砲撃・空爆したという。

一方、SANA(5月15日付)によると、高官筋が、アレッポ中央刑務所の大部分を反体制武装集団が制圧したとの一部報道を否定した。

またハーン・アサル市、ドゥワイリーナ市、アレッポ市シャイフ・サイード地区、シャイフ・マクスード地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市周辺で軍と反体制武装集団が交戦を続けた。

一方、SANA(5月15日付)によると、ヒムス市・ミスヤーフ市間の街道で、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、市民3人が死亡した。

またヒムス市バーブ・フード地区、キースィーン市、ウンム・シャルシューフ村、クサイル市、タルビーサ市、ドゥワイル市で、軍が反体制武装集団を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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シリア軍報道官によると、イスラエル占領下のシャイフ山(ヘルモン山)で、爆発が2度発生した。

同報道官によると、シリア領内から爆発は目視でき、「シリア内政の結果だと思う」という。

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イドリブ県では、SANA(5月15日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(5月15日付)によると、ズワイク村、ムライジュ村、サルマー町などで、軍がシャームの民の案=ヌスラ戦線の拠点を攻撃・破壊、リビア人戦闘員らを殺傷した。

反体制勢力の動き

ダマスカス県南部で活動を行う反体制武装集団が声明を出し、自由シリア軍参謀委員会の指揮下に第2師団を結成したと発表した。

第2師団は以下の武装集団から構成されるという。

アバービール・ハウラーン旅団
ヒッティーン旅団
ダマスカス殉教者旅団
アブドゥッラー・ブン・マスウード旅団
アフダ・ウムリーヤ旅団
ザイド・ブン・サービト旅団
ウマイヤ末裔旅団
ウマル・ブン・アブドゥルアズィーズ大隊

司令官にはアバービール・ハウラーン師団のアブー・タウフィーク・スーリーを名のる指導者が選出されたという。

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ファールーク大隊は声明を出し、シリア軍兵士の臓器を食べたとされるハーリド・ハマド(アブー・サッカール)と大隊は無関係だと主張した。

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シリア革命反体制勢力国民連立は国連総会決議に関して「野蛮な弾圧の停止を求める最後のメッセージ」と高く評価した。

諸外国の動き

国連総会で、シリア革命反体制勢力国民連立を「政治的移行に必要な実質的対話者」として広く国際的に承認する」ことを定めた総会決議(A/RES/67/262)が採択された。

決議はまた、アサド政権による重火器の使用、人権侵害を非難した。

決議は、カタール、サウジアラビアなどが共同提案し、107カ国が賛成、12カ国が反対、59カ国が棄権した。2012年8月のシリアに関する国連総会決議(賛成133カ国、反対12カ国、棄権31カ国)に比して、賛成の立場を表明した国は減少した。

賛成票を投じたのは、西側諸国、湾岸アラブ諸国、トルコなど。

反対票を投じたのは、キューバ、ヴェネズエラ、ニカラグア、エクアドル、ボリビア、ジンバブエ、ベラルーシ、ロシア、シリア、中国、イラン、北朝鮮。

他方、ウクライナ、アルメニア、アルジェリア、南アフリカ、ナイジェリア、スーダン、南スーダン、エチオピア、コンゴ共和国、まり、ケニア、アンゴラ、ガーナ、ウガンダ、座ビア、モザンビーク、タンザニア、インド、イラク、ベトナム、レバノン、インドネシア、カザフスタン、フィリピン、バングラデシュ、ウズベキスタン、トルクメニスタン、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ジャマイカ、エルサルバドルは棄権した。

決議案に関して、アルゼンチンは反体制勢力による暴力を非難する文言の追加を求めたが、シリア国内のテロを支援してきたカタールがこれを拒否した。

シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、採決に際して決議が「反体制勢力への武器供与を正当化し、反体制勢力の一組織をシリア国民の正統な代表として不当に承認することで、シリアの危機をエスカレートさせ、暴力に油を注いでいる」と非難した。

そのうえで「シリア政府はシリア主導のもと、武装集団を含むすべての政治勢力との国民対話について真剣に考えている」と強調した。

これに対して、サウジアラビアのアブドゥッラー・ムアッリミー国連代表は、ジャアファリー国連代表の発言に対して「問題をシリアとカタール、サウジアラビアの紛争にすり替えようとしているが、紛争はシリア政府と国民の間で起きている」と非難した。

一方、ローズマリー・ディカルロ米国連代表大使は、決議に関して、「シリア人が主導する平和的な政治的移行を我々は明らかに必要としている」と述べ、決議への支持を表明した。

他方、ロシアのアレクサンデル・パンキン国連代表大使は、「武装集団の違法な活動を無視している」と述べ、決議案を「非常に有害で破壊的」としたうえで、「米国と露西亜が非常に重要な合意を行い、統一的なアプローチが必要なときに、こうしたことを推し進めるのは無責任で非生産的だ」と非難した。

イランのモハンマド・フザーイー国連代表大使は、決議が「政治的解決に向けた外交努力に資さない」と非難した。

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クッルナー・シュラカー(5月15日付)は、ヨルダン軍がジャラシュ、アジュルーン両県でシリア軍からの発砲に対して迫撃砲などで応戦し、シリア軍兵士1人を殺害した、と報じた(未確認情報)。

ジャラシュ、アルジューン県は、イルビド県南部に位置しており、シリア領と接していない。

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イタルタス(5月15日付)によると、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣は、「ジュネーブ2」大会に関して、「我々は強力なイニシアチブを発揮している…。我々はこの大会にむけて支援を動員せねばならない。すべての外国の参加者とシリアのすべての勢力を動員せねばならない」と述べた。

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UPI(5月15日付)によると、トルコの首都アンカラで大学生らがレジェップ・タイイップ・エルドアン内閣の対シリア政策に反対するデモを行ったが、警察が強制排除、15人を逮捕した。

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AFP(5月15日付)は、サウジアラビア政府がヨルダンのザアタリー避難民キャンプで避難生活を送るシリア人避難民のために、仮設住宅1,000棟を提供したと報じた。

AFP, May 15, 2013、al-Ḥayāt, May 16, 2013、Kull-nā Shurakā’, May 15, 2013、Kurdonline, May 15, 2013、Naharnet, May 15, 2013、Reuters, May 15, 2013、SANA, May 15, 2013、UPI, May 15, 2013などをもとに作成。

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