ダイル・ザウル県でヌスラ戦線のサウジアラビア人指導者が武装集団によって殺害される、オバマ大統領はエルドアン首相との会談後の記者会見でアサド大統領の退陣と移行期政府発足の必要を改めて強調(2013年5月16日)

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国内の暴力

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団が、2012年に男性11人を処刑したと証言していたシャームの民のヌスラ戦線指導者がムサッラブ村で武装集団によって殺害されたと発表した。

クスーラ・ジャズラ-ウィーを名のるこのサウジアラビア人男性は、ダイル・ザウル地域シャリーア法廷が、11人に対してシリア国内で虐殺に関与した罪で死刑判決を下し、これに従い処刑が行われたと証言していた。

http://www.youtube.com/watch?v=C0MkfYCrxm8

http://www.youtube.com/watch?v=M9Ghpa2Bl-E&feature=youtu.be

http://www.youtube.com/watch?v=j09GIs126pA&feature=youtu.be

一方、SANA(5月16日付)によると、マリーイーヤ村、ムーハサン市、ダイル・ザウル市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、アサル旅団、ブー・ウマル自由人大隊メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(5月16日付)によると、ジャルマーナー市で、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾4発が市街地に着弾し、市民4人が死亡、多数が負傷した。

また、カイサー市、ジャルバー市、バハーリーヤ市、ハラスター市、ムライハ市周辺、ザバダーニー市郊外、フサイニーヤ町、ブワイダ市、アドラー市などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(5月16日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(5月16日付)によると、ヒムス市ワーディー・サーイフ地区、ジャウラ・シヤーフ地区、ワアル地区、バーブ・フード地区、カラービース地区ハウラ地方、ラスタン市、タルビーサ市、ダール・カビーラ市、ガントゥー市、東ブワイダ市、キースィーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またMTV(5月16日付)は、レバノン治安筋の話として、シリア軍がレバノンの北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方に面するシリア領内の国境地帯に、車輌の進入を阻止する土坡を築いていると報じた。

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アレッポ県では、SANA(5月16日付)によると、ムスリミーヤ村、ハーン・アサル市、ジブリーン市、アレッポ中央刑務所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、シャイフ・マクスード地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(5月16日付)によると、ハーッジ・ハンムード市、タフタナーズ市、マアッラトミスリーン市、カフルルーマー村、タッル・サラムー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、アクス・サイル(5月16日付)は、イドリブ県バーブ・ハワー国境通行所を経由してシリア領内に不法入国したフランスのNPO(Free Syria Lyon)の支援車輌が国境通行所付近で爆破されたと報じた。

Free Syria Lyonはフェイスブックで発表した声明で、物資は幸いにも無事だったとしたうえで、今後も支援活動を続けるとの意思を示した。

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ダルアー県では、SANA(5月16日付)によると、西ムライハ村、カラク村、フラーク市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、『ハヤート』(5月18日付)が在アンマンの活動家からの情報として伝えたところによると、反体制武装集団がダルアー市奪還のため、市内の軍の基地および検問所複数カ所を攻撃した。

国内の動き

『ワタン』(5月16日付)は、シリア政府がガソリンの価格を1リットルあたり65ポンドから80ポンドに値上げすることを決定したと報じた。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(5月16日付)は、5月11、12日にカイロで開始された「民主的局」会合で、シリア・クルド国民評議会の参加者の一部が、民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首とシリア・クルド進歩民主党のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ書記長の2人をクルド最高委員会代表として参加させることに反対し、ムスリム共同党首の参加に反対する抗議書を提出していたと報じた。

2人の参加をクルド最高委員会が正式に認めていないというのが理由。

諸外国の動き

ロシア連邦保安庁(FSB)のアレクサンドル・ヴァシリエヴィチ・ボルトニコフ長官は訪問先のキルギスタンで、シリア国内でロシア人約200人が反体制武装集団に加わっていると発表、「彼らが本国に帰れば、当然、出身国に危機をもたらす」と述べ、帰国後に国内でテロ活動を行うことへの懸念を表明した。

またキルギスタンの治安機関長官も、シリア国内の反体制武装集団に多くのキルギス人戦闘員が参加していることを認めた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は「ジュネーブ2」大会に関して、「このプロセスからイランのような国を排除してはらない」と述べた。

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バラク・オバマ米大統領がトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相と会談し、シリア情勢などについて協議した。

会談後の記者会見で、オバマ大統領は、アサド大統領の退陣と移行期政府発足の必要を改めて強調する一方、「シリアの反体制勢力を強化し、すべてのシリア人をより代表させる」必要があると述べた。

オバマ大統領は「自衛のために戦う…現地の反体制勢力の能力を強化する措置」をとる用意があると述べ、武器供与の可能性を示唆したが、詳細については言及しなかった。

『ハヤート』(5月17日付)によると、米国はエルドアン首相に対して、自由シリア軍参謀委員会とのさらなる調整を要請したという。

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『ハヤート』(5月17日付)などは、ジョン・ブレナンCIA長官がシリア問題を協議するため、イスラエルを非公式に訪問した。

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ウェンディ・ルース・シャーマン米国務次官は、米議員に対して、「諜報機関は、様々なレベルの信用度をもって、化学兵器がシリアで少なくとも2度使用されたことを認めている」と述べた。

Kull-na Shuraka', May 16, 2013

Kull-na Shuraka’, May 16, 2013

反体制武装集団とアサド政権のいずれが使用したかは明言しなかった。

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イスラエルのチャンネル2(5月16日付)は、5月5日のダマスカス郊外県への越境空爆で破壊した武器庫(と思われる施設)の写真を公開したと報じた。

AFP, May 16, 2013、ʻAks al-Sayr, May 16, 2013、al-Hayat, May 17, 2013, May 18, 2013、Kull-na Shuraka’, May 16, 2013、Kurdonline,
May 16, 2013、MTV, May 16, 2012、Naharnet, May 16, 2013、Reuters, May 16,
2013、SANA, May 16, 2013、UPI, May 16, 2013、al-Watan, May 16, 2013などをもとに作成。

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