ヌスラ戦線、シャーム自由人が要衝ワーディー・ダイフ、ハーミディーヤ両軍事基地を制圧(2014年12月15日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイフ軍事基地、ハーミディーヤ航空基地に駐留するシリア軍将兵が未明、両基地を放棄し、ヘリコプターで退却、これを受け、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、ジュンド・アクサー機構などからなるジハード主義武装集団が両基地を相次いで制圧した。

両基地放棄後、シリア軍は、ワーディー・ダイフ軍事基地、ハーミディーヤ航空基地、そして両基地周辺を「樽爆弾」などで17回にわたり空爆したという。

AFP(12月15日付)によると、ヌスラ戦線らは、完全制圧したワーディー・ダイフ軍事基地でシリア軍士官1人を含む兵士15人を捕捉、また戦闘でシリア軍兵士31人、ヌスラ戦線側戦闘員12人が死亡したという。

『ハヤート』(12月16日付)などによると、ワーディー・ダイフ軍事基地とハーミディーヤ航空基地は、アレッポ市とハマー市を結ぶ幹線道路に位置するマアッラト・ヌウマーン市郊外の要衝で、約40の哨所、約70の検問所を含む長さ13キロ、幅3キロの広大な地域からなり、シリア軍将兵約1,500人が駐留していたとされる。

一方、SANA(12月15日付)によると、マルイヤーン村、カフルナジュド村、カフルバッティーフ村、マジュダリヤー村、タッル・ディーニート村、ファイルーン村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アルド・マッラーフ地区一帯で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、クドス旅団、イラン人・アフガン人戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などジハード主義武装集団と交戦した。

またアレッポ市ハイダリーヤ地区、カースティールー地区に対してシリア軍が「樽爆弾」で攻撃を加える一方、旧市街などでシリア軍と武装集団が交戦した。

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ダルアー県では、ムサイフィラ町、シャイフ・マスキーン市をシリア軍が砲撃した。

一方、SANA(12月15日付)によると、ムサイフラ町、フラーク市・東カラク村街道、ブスラー・シャーム市、シャイフ・マスキーン市、ダルアー市アバーズィード・モスク一帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、イスラーム軍などからなるジハード主義武装集団が、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓った武装集団と交戦の末、ビイル・カサブ村を制圧した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区をシリア軍が砲撃した。

一方、SANA(12月15日付)によると、ヒムス市ワアル地区、ウンク・ハワー村、マスアダ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム自由人イスラーム運動、ムハージリーン旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, December 15, 2014、AP, December 15, 2014、ARA News, December 15, 2014、Champress, December 15, 2014、al-Hayat, December 16, 2014、Kull-na Shuraka’, December 15, 2014、al-Mada Press, December 15, 2014、Naharnet, December 15, 2014、NNA, December 15, 2014、Reuters, December 15, 2014、SANA, December 15, 2014、UPI, December 15, 2014などをもとに作成。

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