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国内の暴力
ダマスカス県では、SANA(3月28日付)によると、ダマスカス大学建築工学部のテラス式食堂に迫撃砲複数発が着弾し、学生15人が死亡、約30人が負傷した。
シリア人権監視団によると、着弾した迫撃砲は3発だという。
また同監視団によると、カーブーン区、ヤルムーク区とダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市を結ぶ街道、カダム区で、軍と反体制武装集団が交戦した。
一方、シリア革命総合委員会執行委員会を名乗るアフマド・ハティーブは、アッバースィーイーン広場周辺で軍と反体制武装集団の交戦が続いていると述べた。
また、複数の活動家によると、アッバースィーイーン地区の中距離バス乗り場が反体制武装集団に制圧された(未確認)という。
これに対し、SANA(3月28日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、複数の活動家によると、フバイト村、ハーン・シャイフーン市、アリーハー市などで、軍が迫撃を行い、反体制武装集団と交戦した。
一方、SANA(3月28日付)によると、ヒーシュ村で軍がシャームの民のヌスラ戦線の拠点を攻撃、複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
またマアッラトミスリーン市、サルミーン市、ビンニシュ市、トゥウーム村、タフタナーズ市、ナイラブ村、ハルブヌーシュ村、フサイニーヤ村、ジュダイダ市、サラーキブ市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、『ハヤート』(3月29日付)によると、自由シリア軍アレッポ県軍事評議会メンバーのアンマール・ワーウィー大尉の家が軍の砲撃を受け、大尉と妻子が負傷した。
一方、SANA(3月28日付)によると、アナダーン市、ハンダラート・キャンプ、ハーン・アサル村、ハーン・トゥーマーン村などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またアレッポ市では、カッラーサ地区、スッカリー地区、ブスターン・バーシャー地区、シャイフ・サイード地区、アレッポ城周辺などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス郊外県では、反体制勢力のSANA革命通信(3月28日付)によると、イスラームの楯旅団が、ダマスカス国際空港に着陸しようとしていたイランの航空機を攻撃、撃墜したと発表した(未確認情報)。
同報道によると、この航空機は「武器弾薬」を積んでおり、撃墜を受け、当局はダマスカス国際空港を閉鎖し、イランの航空機の着陸先をバッリー空港に変更した、という。
しかしSANA(3月29日付)は、この発表を否定し、ダマスカス国際空港は通常通り運営されている、と報じた。
また、SANA(3月28日付)によると、タッル・クルディー町、ウタイバ村、アドラー市、バフダリーヤ村、ダーライヤー市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、イスラーム旅団、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またジュダイダト・アルトゥーズ町では、反体制武装集団の発砲で子供1人を含む2人が死亡した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(3月28日付)によると、ダイル・ザウル市各所で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(3月28日付)によると、ラスタン市郊外の村々、ダブア市、カーディシュ市などクサイル市郊外、ダール・カビーラ村、カルアト・ヒスン市、マヌーフ市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、SANA(3月28日付)によると、カフルヌブーダ町で、軍がシャームの民のヌスラ戦線の武器製造工場を攻撃、破壊、またカサービーヤ村、ハウワーシュ村、ジャービリーヤ村で同戦線戦闘員を殺傷した。
シリア政府の動き
SANA(3月28日付)によると、アサド大統領はムハンマド・ズアール・アリー氏のハサカ県知事の任命式を行った。
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シリア人民議会のワリード・ズウビー議員は、反体制武装集団が、ダルアー県南部の対ヨルダン国境地帯、とりわけダマスカス県に至る国際幹線道路などを広範囲に占拠している、と議会で証言した。
ズウビー議員によると、国際幹線道路はヒルバト・ガザーラ町・ヌサイブ国境通行所間が反体制武装集団によって完全に占拠されているという。
議員はそのうえで「我々のこの言葉が関係当局に届くことを希望する。20日前から、私は関係当局に、県内の複数地点に武装集団がいると言っているが、我々は何の結論も得ていない」と述べ、窮状を訴えた。
反体制勢力の動き
自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官のルワイユ・ミクダードは、ダマスカス大学建築工学部に対する迫撃砲着弾に関して、ドゥンマル区(ダマスカス県)郊外の軍事拠点から「市民を脅迫」するため政府側が迫撃砲を撃ったと断じ、反体制武装集団の犯行を否定した。
しかし、ミクダードは、反体制武装集団が、「ダマスカス県解放を開始する前に体制を衰弱させるため」、県内の治安機関施設や大統領宮殿に対する「外科手術」などからなる「明確な計画」を準備したと付言した。
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シリア革命反体制勢力国民連立のアディーブ・シーシャクリーは、アナトリア通信(3月28日付)に対して、ドーハでのアラブ連盟首脳会議後、湾岸アラブ諸国、西欧諸国が自由シリア軍への武器供与の確約を受けたとしたうえで、3週間以内にシリア情勢は大幅に変化するだろう、と述べた。
諸外国の動き
ロイター通信(3月28日付)は、トルコ高官の話として、アクチャカレ市の避難民キャンプでの暴動を受け、当局がシリア人避難民600から700人をトルコから追放した、と報じた。
同高官によると、国外追放となったシリア人は、アクチャカレ市での暴動で投石などを行った暴徒で、監視カメラの映像から身元を特定したという。
これに関して、トルコ内務省は、シリア人避難民の追放は行われてないとしたうえで、「50~60人のシリア人が自発的にシリアに戻っただけだ」と発表した。
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国連難民高等弁務官事務所の報道官は、トルコ当局によるシリア人避難民600~700人の国外追放に関して、「大きな懸念を感じる」と発表し、情報収集を行っていることを明らかにした。
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RT(3月28日付)は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が、アラブ連盟首脳会議によるドーハ宣言を「決定の本質はシリアでの平和的な事態の正常化を拒否するものだ」と非難したと報じた。
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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、シリアの反体制勢力に国連でのシリア・アラブ共和国の代表の地位を与えるいかなる試みにも「断固として反対する」としたうえで、こうした動きが「国連の名声を貶める」と非難した。
AFP(3月28日付)が報じた。
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フランスのフランソワ・オランド大統領は、国営のフランス2チャンネル(3月28日付)で、シリア情勢が、シリアの反体制武装勢力への武器供与増加開始を妨げるほどに不確実だと述べ、慎重な姿勢を示した。
オランド大統領は、「反体制勢力が事態を完全に掌握することが確認できない限りは、それ(武器供与増加)は行わないだろう」と述べた。
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国連安保理は声明を出し、ゴラン高原の「兵力引き離し地域に反体制武装集団が存在することに大きな懸念を表明する」と発表し、「反体制武装集団を含むすべての当時者に、UNDOFの移動の自由を尊重し、隊員の安全を確保する」よう呼びかけた。
AFP, March 28, 2013、Akhbar al-Sharq, March 28, 2013、al-Hayat, March 29, 2013、Kull-na Shuraka’, March 28, 2013、Naharnet, March 28, 2013、Reuters,
March 28, 2013、SANA, March 28, 2013などをもとに作成。
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