2013年3月29日のシリア情勢

国内の暴力

ダマスカス県では、ジャウバル区にあるユダヤ教の教会が略奪・焼き討ちに遭い、クッルナー・シュラカー(3月28日付)は、政府支持者の犯行と断じる一方、ダマス・ポスト(3月29日付)は自由シリア軍が略奪を行ったと報じた。

Kull-nā Shurakā', March 28, 2013

Kull-nā Shurakā’, March 28, 2013

『ハヤート』(3月30日付)によると、インターネットでは、自由シリア軍兵士がユダヤ教の教会に侵入する映像がアップされた。

また、SANA(3月29日付)によると、ジャウバル区で軍が反体制武装集団の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、第155旅団本部(ダマスカス郊外県)から発射されたスカッド・ミサイルがフライターン市に着弾し、20人が死亡、多数が死傷した、と反体制勢力がインターネットにアップした映像などで発表した。

またアレッポ市では、AFP(3月29日付)によると、シャイフ・マクスード地区に迫撃砲が複数発着弾し、子供2人を含む市民5人が死亡、約30人が負傷した。

一方、SANA(3月29日付)によると、アリーターン市、ハリーバル市・ハーン・トゥーマーン村分岐点、カフルハーシル村、アルカミーヤ村、マッルアナーズ市、ムスリミーヤ村、ワディーヒー村などで、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市で軍が住民の協力のもと、シャイフ・マクスード地区に侵入しようとした反体制武装集団を撃退した。

さらにアレッポ市シャイフ・サイード地区、ブスターン・バーシャー地区、マサーキン・ハナーヌー地区、シャッアール地区などで、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

SANA(3月30日付)は、アレッポ市シャイフ・マクスード地区のハサン・モスクのイマーム、ハサン・サイフッディーン師が反体制武装集団に惨殺されたと報じた。

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ダルアー県では、28日から開始された「解放作戦」で、反体制武装集団がダーイル町の軍検問所3カ所を制圧、これに対して軍が同市を迫撃・空爆した、と反体制勢力が発表した。

インターネットにアップされたビデオなどによると、この作戦には、シャイフ・ウンス・ジャームースが指揮するクライシュの鷹大隊(イスラームの暁旅団)などが参加している。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラー代表はAFP(3月29日付)に関して、ダマスカス・ダルアー間の国際幹線道路沿いに位置するダーイル町の制圧が、「ダルアー市を周辺地域やダマスカス完全に孤立させるためのステップの一つ」だと評した。

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イドリブ県では、反体制勢力によると、ビンニシュ市が軍の砲撃を受け、女性1人が死亡した。

一方、SANA(3月29日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市、ナイラブ村で、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

またマアッル・シャムシー市では、軍が反体制武装集団のロケット弾基地を破壊した。

さらにアームーディーヤ村、ヒーシュ村などで、軍がシャームの鷹旅団、ハドラー大隊、タウヒード旅団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

このほか、カスタル・ブルジュ市、ガッサーニーヤ村、アブー・ズフール市、タッル・サラムー市、ハミーディーヤ市、ハーミディーヤ市、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、サルミーン市で、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、『ハヤート』(3月30日付)によると、第17師団本部周辺で軍と反体制武装集団の戦闘が激化した。

反体制武装集団は第17師団を包囲しており、これに対して軍は第93旅団を派遣している。

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ダマスカス郊外県では、SANA(3月29日付)によると、アッブ農場郊外、ウタイバ村、カーラ市、ヤブルード市、アドラー市、ナバク市、アルバイン市、ハラスター市などで、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またジャルマーナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲が着弾し、市民1人が死亡、2人が負傷した。

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ヒムス県では、SANA(3月29日付)によると、ダブア市、東ブワイダ市、ラドワーニーヤ市、カーディシュ市、タッル・ナビー市、タドムル市郊外の第三石油ポンプ近く、アスアディーヤ市、ジャウワーディーヤ市、アルジューン市、ブラーク市、カルアト・ヒスン市、タッルドゥー市、ヒムス市ハーリディーヤ地区、バーブ・フード地区、ジャウラト・シヤーフ地区などで、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(3月29日付)によると、マールーニーヤート村、ラフマリーヤ村、スッカリーヤ町で軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦、戦闘員を殲滅、拠点を破壊した。

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ハマー県では、SANA(3月29日付)によると、ジュッブ・アフマル村などで、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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『ハヤート』(3月30日付)は、イドリブ県カフルナブル市、ビンニシュ市、ハーッス村、キッリー市、ラッカ県ラッカ市などで、午後の礼拝後に反体制デモを行い、反体制勢力の統合を訴えたと報じた。

「耐える者たちに勝利を告げよ」と銘打たれたデモには、自由シリア軍やサラフィー主義者が参加し、キッリー市では軍服をまとったシャイフが説教を行ったという。

シリア政府の動き

マフムード・ズウビー情報大臣は、シリア・アラブ・テレビ(3月29日付)に対して、ダマスカス大学建築工学部テラス式食堂など、ダマスカス県への反体制武装集団の迫撃砲による攻撃に関して、「外国の命令を受けて実行された」と断じ、カタール、トルコなどを非難した。

反体制勢力の動き

ダマスカス革命軍事評議会(自由シリア軍)のバクール・サリーム大佐がフェイスブック(3月29日付)を通じて声明を出し、ダマスカス大学建築工学部テラス式食堂など、県内複数箇所に対して迫撃砲で砲撃したことを認めた。

同声明によると、ダマスカス革命軍事評議会(自由シリア軍)はダマスカス県内の治安機関の拠点しか標的にしていないという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ラマダーンはDPA(3月29日付)に対して、民主的変革諸勢力国民調整委員会などシリア国内で活動する反体制勢力の連立への参加など通じた組織改編の試みが、「連立と暫定政府そのものに有害だ」と述べ、反体制勢力の統合に消極的な姿勢を示した。

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クッルナー・シュラカー(3月29日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立のガッサーン・ヒートゥー暫定政府首班は、暫定政府がシリア国内で活動し、解放区約10万平方キロメートルを実効支配する「だろう」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長は、ドーハでの在留シリア人との対話のなかで、アラウィー派に関して「シリア人である…。彼らのなかの悪しき者のみを裁く法がある…。私はあなた(アラウィー派)がイスラム教徒なのなら拒否しない。私が信じるものを信じなくとも、あなたは祖国の同胞だ」と述べた。

フェイスブック(3月29日付)を通じて明らかにされた。

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クッルナー・シュラカー(3月29日付)は、ダーライヤー市の複数の医師が、化学兵器による中道症状だと思われる負傷者複数が市内の病院に搬送されたと主張している、と報じた。

諸外国の動き

米法務省は声明を出し、FBIが、シリアでシャームの民のヌスラ戦線に加わっていた元米兵のエリック・ハロン(30歳、2000年入隊、2003年に負傷して除隊)を、ワシントンのダラス空港を逮捕したと発表した。

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ヴィクトリア・ヌーランド米ホワイトハウス報道官は、辞任を発表したシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長に関して、「我々は、彼が責任を果たすと今言っていると理解している。彼は6ヶ月の任期で議長に選出された」と述べ、議長の辞任を認めない意向を示した。

またダマスカス大学建築工学部のテラス式食堂への迫撃砲着弾に関して、「実行犯を特定する情報を得ていない」としつつ、自由シリア軍に対して、過激な勢力(サラフィー主義者)と連携しないよう警告した。

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エジプトの「女性民族評議会」は声明を出し、「エジプト人青年と「結婚」したシリア人女性避難民の数が1年で12,000人に達している」と発表し、こうした結婚を「人身売買(買春)」だと厳しく非難した。

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ロイター(3月29日付)は、トルコ治安当局が対シリア国境のアクチャカレ市周辺の村々を捜索し、武器庫から5千丁以上のライフルや銃弾を押収したと報じた。

同報道によると、これらの武器弾薬はシリアに運ばれる予定だったという。

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イスラエル国防軍国内戦線司令官のエヤル・アイゼンベルグ少将は、『ハアレツ』(3月29日付)に対して、アサド政権が保有するとされる化学兵器が「誤った者の手」に渡り、イスラエルに対して使用される可能性に関して、「我々に化学兵器戦争が行われるとは思っていない」と述べた。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は、英国のチャンネル4(3月29日付)に対して、シリアの反体制勢力への武器供与が紛争の解決策ではない、と述べ、批判した。

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ドイツのARDテレビ(3月30日付)は、アレッポ市での取材中に、ヨルグ・アームブルスター(Joerg Armbruster)記者が銃で撃たれ負傷した、と報じた。

負傷した記者はトルコ領内に搬送され、治療を受けたという。

AFP, March 29, 2013、Akhbār al-Sharq, March 29, 2013、Damas Post, March 29, 2013、DPA, March 29, 2013、al-Ḥayāt, March 30, 2013, April 1, 2013、Kull-nā Shurakā’, March 29, 2013、Naharnet,
March 29, 2013、Reuters, March 29, 2013、SANA, March 29, 2013、UPI, March
29, 2013などをもとに作成。

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