自由シリア軍合同司令部が「反体制勢力の分裂をもたらしている」としてシリア・ムスリム同胞団を非難するなか、サラフィー主義武装集団がアレッポ市にクルド人戦闘員とともに侵攻し人民防衛隊メンバー14人を殺害(2013年3月30日)

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国内の暴力

ダルアー県では、反体制勢力筋によると、武装集団が制圧したダーイル町、ヒルバト・ガザーラ町、ヤードゥーダ地方とタッル・シハーブ町周辺の村々、第38旅団本部周辺に対して、軍が空爆を行った。

一方、SANA(3月30日付)によると、ダルアー市各所および避難民キャンプ、ウンム・マヤーズィン町、シャウマラ市、タファス市、ダーイル町などで軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、反体制勢力筋によると、カーブーン区、ジャウバル区に対して、軍が空爆を行った。

一方、SANA(3月30日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団に対する追撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(3月30日付)によると、シャイフーニーヤ村郊外、ウタイバ村、カーラ市、アドラー市、ヤブルード市、ダーライヤー市、ザバダーニー市、ハジャル・アスワド市などで、軍が反体制武装集団に対する追撃を行い、カアカーウ大隊メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、クッルナー・シュラカー(3月30日付)によると、ザーキヤ町、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外・キスワ市間の街道に対して、軍の空爆を行ったほか、ムウダミーヤト・シャーム市で軍と反体制武装集団が交戦した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のクルド人が多く住むシャイフ・マクスード地区や、ブスターン・バーシャー地区に、サラフィー主義武装集団がクルド人戦闘員とともに侵攻し、民間人10人と民主統一党人民防衛隊メンバー14人を殺害した。

反体制武装集団側にも少なくとも7人の死者が出たという。

またシャイフ・マクスード地区防衛のため、軍が周辺に展開しているという。

一方、SANA(3月30日付)によると、ハンダラート・キャンプ、ムスリミーヤ村、ハーン・トゥーマーン村などで軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、シャイフ・サイード地区、スッカリー地区、ブスターン・バーシャー地区、ジュバイラ地区などで軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、反体制勢力筋によると、第93旅団本部に駐留する軍がアイン・イーサー市を砲撃、また同旅団本部周辺、第17師団本部周辺、タブカ航空基地では軍と反体制武装集団が交戦しているという。

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ハマー県では、SANA(3月30日付)によると、カルアト・マディーク町、カフルヌブーダ町・カルアト・マディーク町間で、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを含む複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(3月30日付)によると、ブーカマール市の第2石油備蓄基地を襲撃しようとした反体制武装集団を警備部隊が撃退した。

またダイル・ザウル市内各所で軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(3月30日付)によると、ワーディー・マハーミール市、トゥウーム村、カフルジャーリス市、マアッラトミスリーン市、ビンニシュ市、マアッラト・ヌウマーン市、ジダール・ブカルフーン市、アナブ村などで軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍合同司令部中央広報局((ファフド・ミスリー)が声明を出し、シリア・ムスリム同胞団が「革命の勝利を遅らせ、反体制勢力の分裂をもたらしていることの責任を負っている」と非難した。

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反体制組織「民主主義のためのシリア人」は声明を出し、シリア・ムスリム同胞団の独断主義的行動を非難した自由シリア軍合同司令部中央広報局の声明を支持すると発表した。

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シリア・ムスリム同胞団広報局(ウマル・ムシャウウィフ)は声明を出し、自由シリア軍合同司令部中央広報局による同胞団非難声明に関して、「自由シリア軍の見解を代表しておらず、同胞団は同軍と常に連絡を取り合っている」と反論した。

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自由シリア軍のサーリヒーヤ・ムジャーヒドゥーン大隊をなのる武装集団が声明を出し、ダマスカス県サーリヒーヤ区住民に対して、3日以内に避難するよう呼びかけ、テロを予告した。

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『シャルク・アウサト』(3月30日付)は、ブルハーン・ガルユーンの話として、離反者が相次ぐシリア革命反体制勢力国民連立が勢力拡大のための「組織改編」を準備している、と報じた。

諸外国の動き

トルコのアンカラで、シリア・トルクメン評議会なる(第2回)会合が開催され、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相、アフメト・ダウトオール外務大臣、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー議長が出席した。

主催者が発表した声明によると、評議会はシリアのトルクメン人の権利保護を目的とする、という。

エルドアン首相は会場で「シリアの反体制勢力は過去数ヶ月の間に統合が進み、現地でより強力になり、国際社会においてこれまで以上に正統性を享受している」と理解不能な発言を行った。

Syria News(3月31日付)によると、この会合には、350人の代表が出席し、内規を採択、評議員メンバー39人を選出した。名誉議長にはトルコ国会議員のメフメト・シャンドゥルが就任した。

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イスラエル軍報道官は、シリアの反体制武装集団の負傷者1人がゴラン高原を経てイスラエル国内の病院に搬送された、と発表した。

AFP, March 30, 2013、Akhbar al-Sharq, March 30, 2013、al-Hayat, March 31, 2013、Kull-na Shuraka’, March 30, 2013、Naharnet, March 30, 2013、Reuters, March 30, 2013、SANA, March 03, 2013、al-Sharq al-Awsat, March 30, 2013、Syria News, March 31, 2013、UPI, March 03, 2013などをもとに作成。

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