ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯で再び戦闘激化(2015年4月16日)

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ内で、アクナーフ・バイト・マクディス大隊などジハード主義武装集団が、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線と交戦する一方、シリア軍が同地各所を重火器で攻撃した。

キャンプ内の信頼できる複数の消息筋によると、ダーイシュがキャンプから撤退し、ヌスラ戦線に拠点を明け渡したとの15日の情報は誤報で、「ダーイシュとヌスラ戦線は依然として、キャンプ内の約80%を占拠し続けている」という。

残る20%は、アクナーフ・バイト・マクディス大隊などからなるジハード主義武装集団と、シリア政府と連携する諸派(PFLP-GC、ファタハ・インティファーダ)などが掌握しているという。

**

シリア人権監視団などによると、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプに隣接するタダームン区では、シリア軍、国防隊が、ジハード主義武装集団と交戦した。

クッルナー・シュラカー(4月16日付)によると、この戦闘で武装集団はシリア軍を撃退、兵士15人を殺害したという。

**

ドゥラル・シャーミーヤ(4月16日付)によると、反体制武装集団が、カーブーン区、ティシュリーン地区、バサーティーン・バルザ区内のダーイシュ拠点を攻撃し、戦闘によってダーイシュ戦闘員4人が死亡、数十人が負傷したという。

これに先だって、第1旅団を名乗る反体制武装集団が、ティシュリーン地区、カーブーン区、バルザ区でのダーイシュ掃討作戦の開始を宣言していた。

**

一方、『ハヤート』(4月17日付)は、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプでの戦闘をめぐるシリア政府との同盟や、シリア情勢への不干渉や中立の維持の是非をめぐって、パレスチナ自治区内だけでなく、シリア国内のパレスチナ諸派間、さらにはシリアとパレスチナとの間で意見の対立が見られている、と伝えた。

AFP, April 16, 2015、AP, April 16, 2015、ARA News, April 16, 2015、Champress, April 16, 2015、al-Durar al-Shamiya, April 16, 2015、al-Hayat, April 17, 2015、Iraqi News, April 16, 2015、Kull-na Shuraka’, April 16, 2015、al-Mada Press, April 16, 2015、Naharnet, April 16, 2015、NNA, April 16, 2015、Reuters, April 16, 2015、SANA, April 16, 2015、UPI, April 16, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.