『ハヤート』(5月10日付)は、ヨルダン政府がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘のためにシリアの部族への軍事教練を領内で開始したと発表(7日)ことに関連して、シリアの複数の部族消息筋の話として、「シリア南部および東部の部族が、ヨルダンから子息数千人を教練するとの確約を得た」と伝えた。
この教練に関して、ヨルダン政府は「有志連合の関係者から近く詳細は発表されるだろう」と述べ、内容を明らかにしていない。
しかし、反体制組織「シリア部族評議会」のアリー・マズゥード・ジャースィム代表は『ハヤート』の電話取材に対して、「最近、部族の若者約400人が(ヨルダンで)教練を受けた…。彼らの任務は過激派に対抗することにあるが、シリア軍と対峙することも無視しない」と述べた。
ジャースィム代表によると「シリアの部族は現在、5個師団、1万5,000人を擁し、シャーム地域(ダマスカス県、ダマスカス郊外県)、イドリブ地域、ハマー地域、ラタキア地域に配備されている。またダルアーには2個師団がおり、うちシリア部族師団は2,500人の戦闘員を擁する。もう一つは特殊任務師団で、数百人からなり、正確な諜報活動を行っている」という。
一方、ヨルダンの複数の政治家らは「シリアの穏健な反体制派」への信頼が喪失されたと感じるようになっているという。
彼らによると、「ヨルダン領内で4年間にわたって自由シリア軍を教練、支援してきたにもかかわらず、過激派が台頭したことで、彼らに対するヨルダンの信頼は失われ…、一部の政治家は、自由シリア軍が…ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線に接近していると疑い、彼らの忠誠に疑義を呈している」という。
AFP, May 9, 2015、AP, May 9, 2015、ARA News, May 9, 2015、Champress, May 9, 2015、al-Hayat, May 10, 2015、Iraqi News, May 9, 2015、Kull-na Shuraka’, May 9, 2015、al-Mada Press, May 9, 2015、Naharnet, May 9, 2015、NNA, May 9, 2015、Reuters, May 9, 2015、SANA, May 9, 2015、UPI, May 9, 2015などをもとに作成。
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