ヌスラ戦線がダマスカス郊外県サアサア町で爆弾テロを実行し兵士8名が死亡、ラアス・アイン市では人民防衛隊が複数の拠点を自由シリア軍・サラフィー主義者らから奪還(2013年1月25日)

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国内の動き

SANA(1月25日付)などによると、宗教関係大臣の呼びかけを受け、シリア各地で多数の市民が、サラート・ハージャが行い、国内での治安と安全の回復を祈願した。

SANA, January 25, 2013

SANA, January 25, 2013

ダマスカス県では、旧市街中心に位置するウマイヤ・モスクで、ビラード・シャーム・ウラマー連合代表のムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティーが礼拝の導師を務めた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団などによると、サアサア町の軍事情報局施設の近くで、シャームの民のヌスラ戦線が爆弾を仕掛けた車を爆発させ、これにより少なくとも兵士8人が死亡、複数名が負傷した。

この爆弾テロを受けるかたちで、軍は同市を含む県東部に空爆を行った。

また、ドゥーマー市の軍検問所近くで、5人の男性の遺体が発見された。

一方、SANA(1月25日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、フサイニーヤ町、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、アクラバー村、ムライハ市などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍・サラフィー主義者が交戦した。

『ハヤート』(1月26日付)などによると、この交戦の結果、人民防衛隊は市内のヒラーバート地区、国立病院などを奪還、自由シリア軍・サラフィー主義者は市内の複数の拠点を放棄し、トルコに撤退した。

一方、クッルナー・シュラカー(1月27日付)は、民主統一党の治安部隊が、ハサカ県ラアス・アイン市、アームーダー市、カーミシュリー市での青年らによる反体制デモを強制排除したと報じた。

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AFP(1月26日付)は、スワイダー県ドゥルーズ山山頂を1月16日に反体制武装勢力の戦闘員約100人が占拠したことを受け、同県住民と軍が奪還に攻防を続けている、と報じた。

同報道によると、反体制武装勢力は、ダルアー県出身者などからなり、スワイダー市攻略のため、避暑地として使用されている山頂のコテージ7棟を占拠し、住民の要請を受けて当局が派遣した兵士4人を殺害したことを受け、戦闘が激化した。

両者の戦闘は、ハルドゥーン・ザインッディーン(ドゥルーズ派の離反士官)と彼が率いていた反体制武装集団の戦闘員7人が殺害されたことで決着したという。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区、タダームン区で軍が反体制武装勢力と交戦した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ジャウラ・シヤーフ地区、スルターニーヤ地区、ジャウバル区などで軍が反体制武装勢力と交戦した。

またヒムス市各所、タドムル市周辺、クサイル市、東ブワイダ市などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月25日付)によると、ハイダリーヤ村、タッルドゥー市、ラスタン市郊外、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区などで軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市中央刑務所周辺で、軍がシャーム自由人大隊、シャームの鷹旅団と交戦した。

複数の反体制活動家によると、シャーム自由人大隊、シャームの鷹旅団は刑務所内への突入に成功したという。

一方、SANA(1月25日付)によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、マアッラト・ヌウマーン市、ジスル・シュグール市郊外、イドリブ市・サルキーン市街道などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月25日付)によると、タッル・シュガイブ村、サクラーヤー村、タッル・ジブリーン市、クワイリス市などで軍が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、バーブ・ハディード、バーブ・ナイラブ、カースティールー地区、シャイフ・サイード地区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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一方、SANA(1月25日付)によると、反体制武装勢力がダルアー市内の検問所を襲撃、占拠を試みたが、軍が撃退、多数の戦闘員を殺傷した。

またタファス市、タスィール町、ブスラー・シャーム市、ブスル・ハリール市、ハイト村、アービディーン市、ダーイル町などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制武装勢力の動き

『ハヤート』(1月26日付)などによると、サウジアラビアのジェッダに駐在し、シリア軍徴兵局高官を務めていたという反体制活動家のイマード・マイーン・ヒラークは、シリア政府がハッジ期間中にメッカでの爆破テロを計画していた、と暴露した。発言の真偽は定かでない。

Akhbar al-Sharq, January 25, 2013

Akhbar al-Sharq, January 25, 2013

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アフバール・シャルク(1月25日付)は、24日のアサド大統領が参加した集団礼拝の映像に、2012年12月に殺害されたザイン・アービディーン・ビッリーの映像が映り込んでおり、過去の映像が用いられていたと報じた。

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自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)メンバー(ヒムス地区)のカースィム・サアドッディーン空軍大佐は、『ハヤート』(1月26日付)に対して、ヒムス県に対する軍の攻撃激化に関して、「ヒムスでの民族浄化を行おうとしている」と述べた。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は預言者聖誕祭を祝してテレビ演説を行い、そのなかでシリア情勢に触れ、「軍事情勢や地域・国際情勢の進展のすべてが、多くの党派の夢が実現しないことを示している」と述べ、欧米諸国、湾岸アラブ諸国、トルコ、レバノンの野党、シリアの反体制武装勢力、外国人サラフィー主義戦闘員によるアサド政権打倒の試みが失敗に終わることを示唆した。

諸外国の動き

ヨルダン国王アブドゥッラー2世は、第43回世界経済フォーラム(ダボス会議)で、ヨルダン国内のシリア人避難民流入に対処するためのさらなる支援を国際社会に求めた。

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AFP(1月25日付)は、英国警察当局がテロ活動支援のためにシリアに渡航しようとした男性(31歳)を逮捕・起訴したと報じた。

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『ハヤート』(1月25日付)は、ジハード・マクデイスィー外務在外居住者省報道官が米国にいるとのロバート・フォード駐シリア米大使の発言を米国務省高官が否定した、と報じた。

AFP, January 25, 2013、Akhbar al-Sharq, January 25, 2013、al-Hayat, January 25, 2013, January 26, 2013、Kull-na Shuraka’, January 25, 2013,
January 27, 2013、al-Kurdiya News, January 25, 2013、Naharnet, January 25,
2013、Reuters, January 25, 2013、SANA, January 25, 2013などをもとに作成。

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