ダマスカス郊外県やアレッポ県などで軍・治安部隊による激しい浄化作戦が続くなか、米国人のジェームズ・フォーリー記者が昨年11月にタフタナーズ市付近で武装勢力によって拉致されていたことが判明(2013年1月2日)

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国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市郊外の燃料スタンドを軍が空爆し、少なくとも30人が死亡し、ユーチューブなどに空爆による死傷者を搬送しているとされる映像(https://www.youtube.com/watch?v=GIDws69VwcA)がアップされた。

またムウダミーヤト・シャーム市でも空爆によって一家12人が死亡したほか、シャブアー町、ダイル・アサーフィール市、ドゥーマー市郊外とハラスター市郊外の農園に対しても軍は空爆を行った。

一方、反体制武装勢力はダーヒヤ・アサド市周辺の軍の検問所に攻撃を集中させた、という。

これに対して、SANA(1月2日付)は、ダーライヤー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、バフダリーヤ村、アクラバー村、ドゥーマー市郊外、ハラスター市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人大隊などがタフタナーズ空軍基地に着陸していたヘリコプターを砲撃、またワーディー・ダイフ軍事基地周辺で軍と戦闘を続けた。

一方、SANA(1月2日付)によると、軍がビンニシュ市の反体制武装勢力の武器庫を攻撃・破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がマンナグ航空基地周辺で軍と激しく交戦した。

一方、SANA(1月2日付)によると、サフィーラ市、ハイヤーン町、マンナグ村、ラスム・アッブード村、マフドゥーム市、ウワイジャ地区、アズィーザ市、タッル・シュガイブ村、ハーン・トゥーマーン村、アレッポ市スッカリー地区、インザーラート地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、フサイニーヤ町、ヒサーン村、シハーバート市などが軍の砲撃を受けた

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ヒムス県では、SANA(1月2日付)によると、サアン地方で軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(1月2日付)によると、ブスル・ハリール市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅した。

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ハサカ県では、SANA(1月2日付)によると、タッル・アルウ地方で反体制武装勢力が穀物庫を襲撃、略奪を試みたが住民が応戦、撃退した。

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地中海岸の方言を話す民兵戦闘員が男性2人に暴行を加え、殺害するシーンだとされる映像がユーチューブ(1月2日付)で公開された。

http://www.youtube.com/watch?v=X6HjDf9OC8Y

反体制勢力の動き

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(1月2日付)に対して、シャームの民のヌスラ戦線などによるワーディー・ダイフ軍事基地攻略に参加していた「アブー・ワリード」を名乗るオーストラリア人が12月30日にしていたと発表した。

諸外国の動き

国連のナバネセム・ピレイ人権高等弁務官は、複数の専門家が行った分析の結果、2012年11月末までにシリアで59,648人が死亡しており、「2013年初めまでには、死者数は60,000人を越えているだろう」と述べた。

この数値はシリア人権監視団が12月31日に発表した、45,000人以上という数値を大きく上回っているが、同監視団が発表する死者数には、「シャッビーハ、アサド政権を支持する民兵」がなぜか含まれていない。

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米国人ジャーナリストでAFPに記事を提供していたジェームズ・フォーリー(39歳)の家族は、同記者が11月22日にタフタナーズ市近くで、カラシニコフで武装した4人組に誘拐されていた、と発表した。

家族によると、これまで釈放を期待して誘拐の事実を伏せてきたが、公表に踏み切ったという。

AFP, January 2, 2013、Akhbar al-Sharq, January 2, 2013、al-Hayat, January 3, 2013、Kull-na Shuraka’, January 2, 2013、al-Kurdiya News, January
2, 2013、Naharnet, January 2, 2013、Reuters, January 2, 2013、SANA, January
2, 2013などをもとに作成。

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