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シリア政府の動き
ハルキー内閣の危機解決政治プログラム実施閣僚委員会が会合を開き、国民対話大会への在外反体制政治組織・活動家の参加を促進・補償するための具体的措置に関して審議を行った。
また鉄道網などを通じた被災者への人道支援の配給、避難民の帰国支援などを審議した。
SANA(1月19日付)が伝えた。
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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、シリア・アラブ・テレビ(1月20日放映予定)のインタビューに応じ、そのなかでカタール、サウジアラビア、トルコが米国の指示のもと、シリア国内のテロリストに武器と資金を供与している、と非難した。
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変革解放人民戦線と人民意思党は声明を出し、国内通商消費者保護省による灯油の公定価格の40%引き上げ決定が「現下の危機をより複雑にする」と批判、変革解放人民戦線代表と人民意思党党首を兼務するカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護省に決定の撤回を求めた。
国内の暴力
ハサカ県では、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊(YPG)が、サラフィー主義者戦闘員や自由シリア軍と激しく交戦した。
『ハヤート』(1月20日付)は、サラフィー主義者戦闘員や自由シリア軍の側にシャームの民のヌスラ戦線は含まれていないとしながらも、彼らがトルコ領から進入し、ラアス・アイン市を攻撃していると報じた。
シリア人権監視団によると、両者の戦闘で過去48時間に33人が死亡した。うち28人が自由シリア軍・サラフィー主義者戦闘員。
一方、『ハヤート』(1月20日付)は、ルマイラーン町とカルズィールー村間の軍拠点周辺で、軍と民主統一党人民防衛隊(YPG)が交戦し、軍が同地帯から撤退したとの情報が伝えられている、と報じた。
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ダルアー県では、『ハヤート』(1月20日付)によると、県の国民和解委員会メンバーを務めていたシャイフ、ハーリド・ヒラールがシュハイブ市・タッル・アスファル市間の街道で反体制武装勢力に襲撃され、同行していた3人とともに殺害された。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市、ジュダイダ・アルトゥーズ町郊外の農園などを軍が空爆した。
またアルバイン市、ザバダーニー市などが砲撃を受けた他、スバイナ町、アクラバー村、ムライハ市、ハーン・シャイフ(パレスチナ難民キャンプ)周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。
一方、SANA(1月19日付)によると、アルバイン市、ムライハ市、シャイフーニーヤ村郊外、ダーライヤー市、ヤブルード市、ザバダーニー市、ナブク市などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、アンサール・イスラームのメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区を軍が空爆した。
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イドリブ県では、『ハヤート』(1月20日付)によると、ヒーシュ村とハーン・シャイフーン市を結ぶ国際幹線道路沿いで、反体制武装勢力が軍を襲撃した。
シリア人権監視団によると、この襲撃は、ワーディー・ダイフ軍事基地、ハーミディーヤ航空基地への兵站を絶つことが目的だという。
一方、SANA(1月19日付)によると、サルキーン市などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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アレッポ県では、SANA(1月19日付)によると、マーリア市、アナダーン市、タームーラ村、バヤーヌーン町、ラスム・アッブード村、クシャイシュ市、マーイル町、ハイヤーン町、フライターン市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。
またアレッポ市では、ブスターン・カスル地区、マイサル地区、カッラーサ地区、スッカリー地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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ヒムス県では、『ハヤート』(1月20日付)によると、ヒムス市ジャウバル区、バーブ・アムル地区などが軍の砲撃を受けた。
一方、SANA(1月19日付)によると、東ブワイダ市近郊、マスウーディーヤ村、アービル村、タッルドゥー市などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。
反体制勢力の動き
1月16日からトルコのイスタンブールで続けられているシリア革命反体制諸勢力国民連立の会合に関して、出席者の一人は、『ハヤート』(1月20日付)に対して、暫定内閣発足をめぐる審議が、発足時期、閣僚人事をめぐって紛糾していると語った。
同出席者によると、暫定内閣首班候補者としてリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相やアスアド・ムスタファー元農業大臣の名前があがる一方、暫定内閣への国際社会の承認や、組閣前にシリア国内の解放区に拠点を設置する必要があるとの意見が出ている、という。
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シリア革命反体制勢力国民連立は、カタールから供与された800万ドルを傘下組織に配分したと発表し、その内訳を公表した。
同発表によると、配分先の詳細(地元評議会を名乗る在外活動家)は以下の通り:
ダルアー県地元評議会:ムハンマド・カッダーフに70万ドル支給。
イドリブ県地元評議会:アドナーン・ラフムーンに80万ドル支給。
ハマー県地元評議会:サラーフッディーン・ハマウィーに70万ドル支給。
ヒムス県地元評議会:アブドゥルイラーフ・ファフドに80万ドル支給。
アレッポ市および郊外地元評議会:ジャラールッディーン・ハーンジーに100万ドル支給。
ダマスカス郊外県地元評議会:ジャワード・アブー・ハトブに60万ドル支給。
ダマスカス県地元評議会:ムハンマド・ヤフヤー・マクタビーに60万ドル支給。
タルトゥース県地元評議会:アブドゥルカリーム(フルネーム不明)に60万ドル支給。
クナイトラ県地元評議会:アフマド・アワド・ムハンマドに20万ドル支給。
スワイダー県地元評議会:リーマー・フライハーンに10万ドル支給。
ラッカ県地元評議会:ムスタファー・ナウワーフ・アリーに20万ドル支給。
ハサカ県地元評議会:ムハンマド・ムスタファー・ムハンマドに20万ドル支給。
ラタキア県地元評議会:ズィヤード・ライイスに60万ドル支給。
ダイル・ザウル県地元評議会:リヤード・ハサンに70万ドル支給。
シリア革命最高評議会:リーマー・フライハーンに20万ドル支給。
シリア革命総合委員会:20万ドル支給予定。
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シリア国民評議会は声明を出し、ラアス・アイン市での民主統一党と自由シリア軍・サラフィー主義者の戦闘に関して、住民に対して不和を解消し、すべての社会勢力からなる委員会を設置し、体制およびその手先の支配を排除するために同市を監督するよう呼びかけた。
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『ハヤート』(1月20日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市の地元評議会が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立と自由シリア軍に対して、「シリア革命の原則と目標を貶める犯罪的な戦争を停止するよう武装集団に圧力をかける」ことを求めた。
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シャームの民のヌスラ戦線が声明を出し、アレッポ県タッル・ハースィル村に位置する第559防空大隊基地を制圧したと発表した。
基地制圧には、シャーム自由人大隊に属するシャフバー大隊、ムハージリーン大隊も参加した。
第559防空大隊基地はアレッポ国際空港から5キロの地点に位置し、同空港の防衛にあたっていた、という。
レバノンの動き
UNHCRは、レバノン国内のシリア人・パレスチナ人避難民の数が21万2000人以上に達する、と発表した。
県別の内訳は、北部県が73,970人、ベカーア県が56,284人、ベイルート県と南部県が合わせて17,404人。
避難民のうち難民登録が完了したのが147,000人で、64,000人は申請中だという。
諸外国の動き
ユニセフの中東・北アフリカ地域事務所のマリア・マリビス代表は声明を出し、ヒムス市ハサウィーヤ地区での「虐殺」やダマスカス郊外県フサイニーヤ町のパレスチナ人居住区への空爆を「もっとも厳しい表現で非難」、「すべての当事者に民間人、とりわけ子供を保護し、紛争の被害から回避させることを保証するよう改めて呼びかける」と述べた。
AFP, January 19, 2013、Akhbar al-Sharq, January 19, 2013、‘Aks al-Sayr, January 19, 2013、al-Hayat, January 20, 2013、Kull-na Shuraka’, January 19, 2013、al-Kurdiya News,
January 19, 2013、Naharnet, January 19, 2013、Reuters, January 19, 2013、SANA,
January 19, 2013などをもとに作成。
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