トルコ領内で米軍の教練を受け、シリア潜入直後にシャームの民のヌスラ戦線によって司令官らを拉致された「穏健な反体制派」の第30師団は、インターネットを通じて声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)とシリア政府と戦うために結成されており、ヌスラ戦線を含むそれ以外のいかなる武装集団とも戦闘は行わないと表明し、ヌスラ戦線に事実上の降伏宣言を行うとともに、活動方針をダーイシュ掃討から、ダーイシュおよびシリア政府との戦いへと転換した。
「自由シリア軍第30歩兵師団」司令部の名で出されたこの声明のなかで、第30師団は、「ヌスラ戦線の攻撃後も活動を継続する」としたうえで、「第30師団は、高潔なシリア人によって設立され、アサドの悪党とダーイシュから国を解放することをめざす」としたうえで、「第30師団は、ヌスラ戦線、それ以外のいかなる名称、方針の組織とも戦ったことはなく、今後も戦わない」と表明した。
米国が主導する有志連合が、第30師団を援護するため、アレッポ県アアザーズ市一帯のヌスラ戦線の拠点に対して空爆を行ったことに関しては、「自由アレッポ県で最近設置された最高司法評議会において、いかなる容疑であっても審理を受ける用意がある」と述べた。
なお、米軍の軍事教練プログラムは、ダーイシュとシリア政府の双方ではなく、ダーイシュのみとの戦闘を目的として施されている。
AFP, August 5, 2015、AP, August 5, 2015、ARA News, August 5, 2015、Champress, August 5, 2015、al-Hayat, August 6, 2015、Iraqi News, August 5, 2015、Kull-na Shuraka’, August 5, 2015、al-Mada Press, August 5, 2015、Naharnet, August 5, 2015、NNA, August 5, 2015、Reuters, August 5, 2015、SANA, August 5, 2015、UPI, August 5, 2015などをもとに作成。
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