ダマスカス郊外県では、AFP(8月12日付)によると、ザバダーニー市一帯で戦闘を続けるシリア軍(第4師団)、ヒズブッラー戦闘員と、シャーム自由人イスラーム運動などからなるジハード主義武装集団および地元の武装集団の間で、72時間の一時停戦が発効した。
ムハンマドを名乗る地元住民によると、一時停戦を受け、ザバダーニー市での戦闘は12日早朝には収束し、銃声、砲声などはほとんど聞こえないという。
シリア人権監視団によると、一時停戦は11日晩に合意され、当初の停戦期間は12日午前6時から14日午前6時までの48時間と設定されていたが、12日昼に、15日午前6時まで延長することで再度合意がなされたという。
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これに関して、『ハヤート』(8月13日付)は、複数の活動家やシリア人権監視団の情報として、トルコの仲介で行われたアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動とイランの使節団の折衝の結果、一時停戦合意が成立したと伝えた。
交渉は現在も続いており、ファトフ軍が包囲するイドリブ県フーア市、カファルヤー町(いずれもシリア政府支配下のシーア派の町)への食糧物資搬入を条件に、シリア軍とヒズブッラーと攻勢を受ける反体制武装集団のザバダーニー市からの安全な退去を認めることなどが協議されているという。
シャーム自由人イスラーム運動とイランの交渉は一端中断していたが、数日前に再開されていたという。
シリア政府に近い高官もまた、停戦が、トルコとイランの仲介の結果として成立したと述べているという。
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一方、野党の団結党(シリア・アラブ団結党、http://syriaarabspring.info/?page_id=942)のムハンマド・アブー・カースィム書記長は、AFPに対して、自身がザバダーニー市内で活動する活動家らを代表して、シリア政府側と交渉を行い、停戦を実現したと語った。
アブー・カースィム書記長は「団結党は、新たな合意に向けシリア政府と交渉する権限を(反体制武装集団から)与えられた…。(ザバダーニー市で)軍事作戦が始まって以来、我々はザバダーニー市での危機の解決策を模索してきた…。我々(反体制活動家側)は、犠牲者を可能な限り最小限に食い止めるため戦闘を停止したいと考え、停戦を受け入れた…。我々は今後、武装集団がザバダーニーにとどまることは受け入れない」と述べた。
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なお、『ハヤート』(8月14日付)によると、この停戦合意では、イドリブ県のフーア市、カファルヤー町一帯での戦闘停止も含まれているという。
AFP, August 12, 2015、AP, August 12, 2015、ARA News, August 12, 2015、Champress, August 12, 2015、al-Hayat, August 13, 2015、August 14, 2015、Iraqi News, August 12, 2015、Kull-na Shuraka’, August 12, 2015、al-Mada Press, August 12, 2015、Naharnet, August 12, 2015、NNA, August 12, 2015、Reuters, August 12, 2015、SANA, August 12, 2015、UPI, August 12, 2015などをもとに作成。
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