サイフ元人民議会議員が「シリア国民イニシアチブ委員会」プロジェクトと題した声明のなかで暫定政府構想を示す、米国務長官「シリア国民評議会はもはや反体制勢力の明らかなリーダーとは言えない」(2012年11月1日)

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国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タッルミンス村、マアッル・シャマーリーン村が軍の空爆を受け、ワスターニー村も砲撃に曝された。

またワーディ・ダイーフ基地周辺では、シャームの民のヌスラ戦線と自由シリア軍が合同で砲撃を行った。

一方、サラーキブ市北西部の軍・治安部隊の検問所3カ所を反体制武装勢力が襲撃し、28人の兵士を殺害した。

殺された28人の多くが反体制勢力に捕捉されたのち、処刑され、その映像はユーチューブなどに公開された。

なお、シリア人権監視団のアリー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(11月1日付)に対して、軍・治安部隊がサラーキブ市を掌握しておらず、5つの反体制武装集団が駐留していると述べた。

これに対し、SANA(11月1日付)は、ムハムバル村、タルナバ村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した、と報じた。

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ダマスカス県・ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハジャル・アスワド市、ハラスター市などが空爆を受け、複数が負傷した。

一方、SANA(11月1日付)によると、ダマスカス郊外県のザマルカー町、サイイダ・ザイナブ町、ダイル・アサーフィール市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦・追撃し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月1日付)によると、ティーム地方で反体制武装勢力が石油パイプラインを破壊した。

またダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺害した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市スッカリー地区、ダイル・ハーフィル市、サフィーラ市、タッル・ハドヤー村に軍・治安部隊が砲撃を加え、複数が負傷した。

またアレッポ市内各所で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(11月1日付)によると、アレッポ市ライラムーン交差点、スッカリー地区、ブスターン・カスル地区、サーリヒーン地区、カルム・ジャバル地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力への特殊作戦を行い、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市郊外のアウラム・クブラー町、ハーン・アサル村・アターリブ市間、アターリブ市、カフルハムラ村、マーリア市、カスィーバ村、アナダーン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃するなどして交戦、多数の戦闘員を殺害した。

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ラタキア県では、SANA(11月1日付)によると、バッカース村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、戦闘員を殲滅した。

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ハマー県では、SANA(11月1日付)によると、ガーブ地方のジャイイド村、アズィーズィーヤ村、ジスル・ジスル・バイト・ラースなどで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺害、逮捕した。

反体制勢力の動き

11月8日にカタールのドーハで開催予定の反体制勢力の大会で発足予定の亡命政府の首班候補であるリヤード・サイフ元人民議会議員は、「シリア国民イニシアチブ委員会」プロジェクトと題した声明を発表し、暫定政府構想を示した。

同プロジェクトの骨子は以下の通り。

1. 「強力な指導部の発足という祖国の火急の必要」に応えるべく、シリア国民イニシアチブ委員会の名で亡命政府を発足する国民的義務を果たす。
2. 同委員会は民主主義を基礎とし、カイロでの7月の反体制勢力大会での合意に従う。
3. 国内との連絡、国際社会、地域各国との連絡。
4. 主権、自決権、国民統合の維持、および領土保全をめざす。
5. アサド大統領および政権を象徴する幹部の退任をもってのみ政治的解決を始動する。
6. 市民的、多元的、民主的なシリアを建設する。
7. シリア国民支援基金の創設。
8. 自由シリア軍の支援。
9. 解放区の自治。
10. 暫定政府構想の案出。
11. 国際社会における(新政権の)承認

そのうえで、自由シリア軍、軍事評議会、革命運動、地元評議会、各県の代表にプロジェクトへの参加を求めた。

またプロジェクトをもとに以下4つの機関を設置するとのビジョンを示した。

1. イニシアチブ委員会および、政治諸勢力の代表
2. 最高軍事評議会
3. 司法委員会
4. テクノクラートからなる暫定政府

最後にこのプログラムをドーハでの大会で審議することを求めた。

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反体制活動家のファーイク・ミールはフェイスブック(11月1日付)で、リヤード・サイフが発表したプログラムに基づき11月8日にカタールで結成予定のシリア国民イニシアチブ委員会の構成の内訳をリークした。

同リークによると、委員会のメンバーは以下の通り:

シリア国民評議会(アブドゥルバースィト・スィーダー事務局長ほか14人)
地元行政諸評議会(14人)
シリア・クルド国民評議会(3人)
ビラード・シャーム・ウラマー連盟(ウサーマ・リファーイー)
アラブ社会主義連合民主党(ハサン・アブドゥルアズィーム)
共産主義行動等(アブドゥルアズィーズ・ハイイル)
シリア民主フォーラム(ミシェル・キールー)
市民権運動(ハーリス・ナッバハーン)
自由民主シリアのための「ともに」潮流(バッサーム・ユースフ)
シリア革命評議会(ハイサム・マーリフ)
離反政治家(リヤード・ファリード・ヒジャーブ)
革命作家連合連盟(サーディク・ジャラール・アズム)
シリア革命総合委員会(スハイル・アタースィー)
シリア・ビジネス・フォーラム(ムスタファー・サッバーグ)
シリア部族革命評議会(アフマド・アースィー・ジャルバー)
愛国主義者(カマール・ルブワーニー)
愛国主義者(ワリード・ブンニー)
愛国主義者(ハーリド・アブー・サラーフ)
愛国主義者2名(ラッザーナ・ザイトゥーナ、フィダー・ハウラーニー、アーリフ・ダリーラ、アブドゥルマジード・マンジューナ、ムンタハー・アトラシュのうちの2名)

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自由シリア軍国内合同司令部は声明(ファフド・ミスリー)を出し、アレッポ県でのクルド人ヤズィーディー派への襲撃に関して、「組織に属さない」としたうえで、「革命と自由シリア軍の敵」と批判した。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、滞在先のベイルートで、シリア国民評議会の見限り、サラフィー主義者の外国人戦闘員への反体制勢力の対応を批判したクリントン米国務長官の発言(後述)に対して、「国際社会は、自己批判し、シリア国民に何を提供したかを問い直すべきだ。国際社会は、シリアでの狂気の殺戮を止めるため、シリア人にどう支援したというのか?」と反論した。

スィーダー事務局長はまた「解放区」がアサド政権による攻撃にさらされ続け、混乱状態にあるなかで、「一部の勢力が…過激化することは当然だ」と述べ、「過激化は国際社会が働きかけを行わないことが理由だ…。シリア国民評議会は国際社会からの物的支援が不足している」と窮状を訴えた。

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ウマル・シャウワーフが声明を出し、シリア国民評議会からの脱会を宣言した。

努力にふさわしい成果が得られなかった、のが脱会の理由。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(11月1日付)は、匿名クルド筋の話として、アレッポ県アイン・アラブ市での民主統一党による加盟政党事務所突入を受け、シリア・クルド国民評議会が緊急会合を開き、民主統一党に謝罪とアサド政権支持停止を求めることを決定したと報じた。

レバノンの動き

ベカーア県バアルベック郡アルサール地方フマイド渓谷検問所で、シリア領から潜入しようとした武装集団とレバノンの内務治安軍総局が交戦し、NNA(11月1日付)によると、シリア人1人が死亡、10人が負傷した。

戦闘は、負傷者をレバノン領内に搬送しようとした武装集団がレバノン警察の入国許可を得るように求めたフマイド渓谷検問所の内務治安軍総局の指示を無視して入国しようとしたために発生した。

内務治安軍総局が2日に出した声明によると、戦闘発生を受け、70人以上の戦闘員が検問所を襲撃し、内務治安軍総局の12人が負傷した。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、「私たちが必要としているのは、シリア革命を乗っ取ろうとする過激派に強行に抵抗した経歴を持つ反体制勢力だ」と述べ、既存の反体制勢力の対応を不十分だと非難したヒラリー・クリントン米国務長官の発言に対して、反体制勢力への全面支援を国際社会が躊躇したことがシリア情勢悪化の主な理由だと批判した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、クロアチアの首都ザグレブで記者会見し、シリア国民評議会について、もはや反体制勢力の「明らかなリーダー」とは言えないと述べた。

クリントン長官は、同評議会がシリア国内に活動拠点を持たない亡命活動家の寄り合い所帯であることを踏まえ、「求められているのは今現在、(シリア国内の)前線で戦い、死に瀕している人々の代表だ」と述べた。

また「米政府は、新たな政治体制に入るべき人や組織を推挙した。我々はシリア国民評議会を反体制勢力の明白なリーダーと見なすことはできない」との考え方を示した。

さらに「反体制派の一部にはなり得るが、反体制派にはシリア国内にいる人や、耳を傾けるべき正当な意見を持つ人々も含まれるべきだ」と付言した。

一方、サラフィー主義者の外国人戦闘員の台頭に関しては、懸念を表明しつつ、「私たちが必要としているのは、シリア革命を乗っ取ろうとする過激派に強行に抵抗した経歴を持つ反体制勢力だ」と述べ、既存の反体制勢力の対応を不十分だと非難し、「アサド政権に断固として対抗するための反体制勢力の統合を支援する」との意思を示した。

クリントン長官の発言は、11月8日にカタールのドーハで予定されている反体制勢力の大会準備を踏まえたもの。

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在エジプト中国大使館が声明を出し、10月31日のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と楊潔チ外相の北京での会談に関して、中国側が4項目からなる提案を行ったと発表した。

同声明によると、4項目とは以下の通り:

1. シリアの関係当事者による停戦努力とブラーヒーミー共同特別特使のミッションへの協力。
2. 関係手当事者による早急な交渉代表者の任命を通じたブラーヒーミー共同特別特使と国際社会の活動を支援と、対話を通じた政治的転換のための行程表作成。広範は基盤を持つ暫定統治機構の発足。早急な危機収拾のための政治的転換の実施。
3. 国際社会によるブラーヒーミー共同特別特使の仲介努力への協力。
4. 関係当事者による人道危機軽減のための具体的な措置の実施。

この提案において、中国は、アサド政権の退任の是非を明言しなかったが、「政治的転換」、「暫定統治機構の発足」という言葉でその可能性に含みを持たせた。

AFP, November 1, 2012、Akhbar al-Sharq, November 1, 2012, November 2, 2012、Facebook, November 1, 2012、al-Hayat, November 1, 2012、Kull-na Shuraka’, November 1, 2012、al-Kurdiya News,
November 1, 2012、Naharnet, November 1, 2012, November 2, 2012、Reuters,
November 1, 2012、SANA, November 1, 2012などをもとに作成。

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