Contents
国内の暴力
ダマスカス郊外県では、SANA(10月31日付)によると、サイイダ・ザイナブ町で、ゴミ袋に入れられた爆弾が爆発し、11人が死亡、数十人が負傷した。
またムウダミーヤト・シャーム市では、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、複数の市民が負傷した。
一方、ハラスター市、ザマルカー町などでは、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡活動を継続し、複数の戦闘員を殺傷した。
**
ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区でシリア軍大佐の自動車に仕掛けられた爆弾が爆発した。死傷者は出なかった。
また、SANA(10月31日付)によると、マッザ区で「武装テロ集団」が仕掛けた爆弾3発が爆発し、1人が死亡、複数が負傷した。
**
アレッポ県では、SANA(10月31日付)によると、マアーッラト・アルティーク村、アレッポ市・ダイル・ハーフィル市間の街道、カーフィース村、フライターン市、カフルナーハー村、アレッポ市・バーブ市間の街道などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
またアレッポ市でも、カルム・マイサル地区、ブスターン・カスル地区、ダウワール・バーブ・ハディード、ブスターン・バーシャー地区、カルム・ジャバル地区、カフルハムラ地区・ザフラー地区間、ライラムーン地区などで、軍・治安部隊と反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。
**
ハマー県では、SANA(10月31日付)によると、ガーブ平野のジャイイド市、アズィーズィーヤ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
**
ヒムス県では、SANA(10月31日付)によると、アービル村、ムバーラキーヤ市、カフル・アーヤー村、サルーミーヤ市、ジャウバル市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
**
アクス・サイル(10月31日付)は、イドリブ県ハーリム市で、軍が反体制武装勢力の拠点に「誤って」補給物資を投下した、と報じた。
反体制勢力の動き
10月29日からトルコのイスタンブールで開かれていたシリア政治戦略研究センター主催の「シリアにおける移行期間運営、未来のためのビジョン構築」大会が閉幕した。
大会には、シリア・クルド国民評議会、シリア・クルド国民評議会、アッシリア民主機構、ダマスカス宣言、シリア・ムスリム同胞団、シリア革命総合委員会、地元調整諸委員会、シャーム・ウラマー委員会、自由シリア軍の代表らが出席していた。
閉幕声明において、大会参加者は「我々のイデオロギー的な意見の相違を保留し、亡命政府を樹立する必要がある点で合意した。暫定政府発足によって、アラブ諸国や国際社会による我々の革命へのさらなる政治的支援が得られるだろう」と表明した。
大会に出席したシリア政治戦略研究センターのラドワーン・ズィヤーダは記者団に関して、「亡命政府を選出するための総会を開くことで出席者は合意した」ことを明らかにした。
また「フランス、アラブ諸国、そして(大会に参加しなかった)ほかの反体制勢力に亡命政府を発足後ただちに承認するよう呼びかけた」と付言した。
**
シリア人権監視団は、ハマー航空基地が反体制活動家を収監するための空軍情報部の拘置所・刑務所として使用されていると発表した。
**
ハマー革命評議会のアブー・カースィム・ハマウィー報道官を名乗る活動家は、AFP(10月31日付)に対して、「自由シリア軍は、軍事力の不均衡ゆえに、ハマー市から撤退した。国の中心に位置する同市は軍事拠点と化し、そこから各県に戦闘機が送られている」と述べた。
また「体制は同市を制圧するため、逮捕活動を実行し…、6ヶ月で数千人が逮捕され、拷問を受けた。逮捕と拷問は死よりも過酷だ。想像を絶する…。私は毎日転々と逃げ回り、逮捕を免れている」と付言した。
クルド民族主義勢力の動き
シリアの反体制武装勢力を支援するジャズィーラ衛星テレビ(10月31日付)は、アレッポ県アフリーン市郊外で、反体制武装勢力と民主統一党の民兵が交戦したと報じた。
同報道によると、反体制武装勢力(自由シリア軍)には、クルド人離反兵からなるユースフ・アズマ大隊が参加し、アフリーン市郊外のシリア軍第137大隊本部を制圧した、という。
またユースフ・アズマ大隊は、民主統一党に対して、アサド政権への協力を止めるよう警告を発した。
アフリーン市一帯は民主統一党が主導する西クルディスタン人民議会およびクルド最高委員会が実効支配している。
**
民主統一党のサーリフ・ムスリム・ムハンマド書記長は『サフィール』(10月31日付)のインタビューに答え、そのなかでサラーフ・バドルッディーン一派を「トルコの手先」で「自由シリア軍」への武器供与を支援している、と批判した。
サラーフ・バドルッディーンはクルド民族主義活動家の重鎮で、西欧を活動拠点としており、2006年末にはアブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領、シリア・ムスリム同胞団とともにシリア国民救済戦線を結成、また2011年9月にはシリア国民評議会に参加した。
レバノンの動き
マルワーン・シルビル法務大臣は、シリアの反体制武装勢力に拉致されていたジャーナリストのフィダー・イーターニーが釈放され、トルコに到着した、と発表した。
パレスチナ人の動き
ロイター通信(10月31日付)は、ゴランの鷹大隊(自由シリア軍)の司令官の話として、パレスチナ人のみから構成される反体制武装組織「嵐(アースィファ)大隊」が結成された、と報じた。
同司令官によると、「嵐大隊」は、ダマスカス県ヤルムーク区(難民キャンプ)でアサド政権を支援するPFLP-GCなどの戦闘員との戦いに投入される、という。
諸外国の動き
アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は中国を訪問し、楊潔チ外交部長(外務大臣)らと会談した。
会談後の記者会見でブラーヒーミー共同特別代表は、シリアの危機解消に向け中国に「活発な役割」を期待すると述べた。
**
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣がパリでフランスのローラン・ファビウス外務大臣と会談した。
会談後の記者会見で、ファビウス外務大臣は、シリア問題の解決はアサド大統領が退任する以外にないとのこれまで通りの立場を示した。
一方、ラブロフ外務大臣は、ジュネーブでのシリア作業グループの合意が、シリア政府と反体制勢力が移行期間について合意することを求めていると反論し、アサド大統領の退任問題がフランスではなく、シリア国民が決すべき問題だと主張した。
**
ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、10月10日にトルコがシリア航空旅客機をアンカラ国際空港に強制着陸させ、積み荷を押収した問題で、積み荷の変換をめぐる交渉を行っている、と述べた。
両国間で具体的な合意には達していないという。
AFP, October 31, 2012、Akhbar al-Sharq, October 31, 2012、‘Aks al-Sayr, October 31, 2012、Aljazeera.net, October 31, 2012、al-Hayat, November 1, 2012、Kull-na Shuraka’, October 31, 2012、al-Kurdiya News,
October 31, 2012、Naharnet, October 31, 2012、Reuters, October 31, 2012、SANA,
October 31, 2012、al-Safir, October 31, 2012などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.