ロシア軍戦闘機がシリア軍戦闘機とともにシリア中部のダーイシュ(イスラーム国)とヌスラ戦線の拠点に対して爆撃を開始(2015年9月30日)

SANA(9月30日付)は、シリア軍消息筋の話として、テロとの戦いとダーイシュ(イスラーム国)根絶にかかるシリアとロシアの合意を実施するかたちで、ロシア空軍がシリア空軍の支援を受け、シリア中部のダーイシュ拠点複数カ所に正確な空爆を行った、と伝えた。

SANA, September 30, 2015

SANA, September 30, 2015

同消息筋によると、空爆は、ヒムス県のラスタン市、タルビーサ市、ザアフラーナ村、ダイル・フール村、ハマー県のトゥルール・ハムル村、アイドゥーン村、サラミーヤ市一帯のダーイシュ拠点に及んだ。

このうちラスタン市、タルビーサ市、ザアフラーナ村、ダイル・フール村は、ダーイシュではなく、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の支配地域である。

これに関して、ロシア国防省のイゴール・コナシンコフ報道官はスプートニク通信(9月30日付)に対して、「ロシア軍戦闘機は今日(30日)、シリア領内のダーイシュ拠点8カ所に対して、約20回の空爆を行い、テロ組織の司令拠点…、武器弾薬燃料庫を破壊した」ことを明らかにした。

コナシンコフ報道官によると、「すべての空爆は、航空偵察とシリア軍参謀委員会のデータ照会後に実施された」という。

コナシンコフ報道官はこの発表に先立って、ロシア航空宇宙防衛軍の航空機が、シリア領内でのダーイシュ拠点に対する空爆を行うための作戦(偵察活動)を開始したことを明らかにしていた。

なお、20回という空爆回数は、2014年9月に米国がシリア領内で開始した空爆回数(1日平均3~5回程度)に比べ、4~6倍の規模。

一方、『ハヤート』(10月1日付)は、シリアの治安機関高官筋の話として、「ロシア空軍とシリア空軍の戦闘機は水曜日(29日)、複数回の空爆を行い、ハマー県、ヒムス県、ラタキア県のテロリストの拠点複数カ所を攻撃した」と伝えた。

同消息筋によると、両国空軍が空爆を行ったのは、ラタキア県のガマーム村、ズワイド山、ダイル・ハンナー村、ハマー県のラターミナ町、カフルズィーター市、ヒムス県のラスタン市、タルビーサ市。

これらの地域はいずれも、アル=カーイダ系組織のヌスラ戦線や、同じくアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動、ジュンド・アクサー機構などからなるファトフ軍の活動地域。

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クッルナー・シュラカー(9月30日付)は、反体制活動家らが撮影した空爆の動画(https://youtu.be/UXsH50NrF1Ehttps://youtu.be/oqJPVlDdLek)、写真を転載した。

Kull-na Shuraka', September 30, 2015

Kull-na Shuraka’, September 30, 2015

Kull-na Shuraka', September 30, 2015

Kull-na Shuraka’, September 30, 2015

Kull-na Shuraka', September 30, 2015

Kull-na Shuraka’, September 30, 2015

Youtube, September 30, 2015

Youtube, September 30, 2015



シリア人権監視団は、ロシア空軍が攻撃を行ったタルビーサ市で、子供1人と女性2人を含む27人が空爆によって死亡したと発表した。

またドゥラル・シャーミーヤ(9月30日付)も、ロシア軍による攻撃が行われたザアフラーナ村で、住民8人が死亡したと伝えた。

さらに、トルコのイスタンブールでシリア革命反体制勢力国民連立のハーリド・ハウジャ代表は訪問先の米ニューヨークからツイッターで、「ロシア軍はダーイシュ、アル=カーイダとつながりのある組織が存在しない地域を標的とし、少なくとも36人が死亡した」とつぶやいた。

ハウジャ代表によると「今日、ロシア軍の標的となったヒムス県内の地域は、1年前にダーイシュが敗退した地域」なのだという。

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SANA(9月30日付)はまた、ロシア軍による空爆と並行して、シリア軍がヒムス県郊外のダーイシュとヌスラ戦線の拠点、車列に対して空爆を行ったと伝えた。

シリア軍が空爆を実施したのは、ダーイシュの支配下にあるシャーイル・ガス採掘所一帯、ハンヌーラ村、カルヤタイン市、ヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の支配下にあるカンヌ山一帯(ラスタン市郊外)で、これにより拠点などを破壊、複数の戦闘員を殺傷したという。

一方、ハマー県では、シリア軍がラターミナ町、カフルズィーター市・ザカート村間の街道でシャームの民のヌスラ戦線などからなるファトフ軍の拠点、車列を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、バリーギート村、ムーリク市東部に対しても空爆を行った。

シリア人権監視団によると、ラターミナ町の空爆では死傷者はなかった。

なお、シリア人権監視団によると、シリア軍はマンスーラ村、タッル・ワースィト村に対しても空爆・砲撃を行った。

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このほか、SANA(9月30日付)によると、ヒムス県ヒムス市のマハッタ(鉄道駅)地区、アルメニア地区、ワーディー・ザハブ地区、警察住宅地区など(いずれもシリア政府支配地域)に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾11発が着弾し、1人が死亡、19人が負傷した。

一方、シリア人権監視団は、ヌスラ戦線とともにヒムス県ラスタン市一帯で活動するタウヒード軍の司令官(第313旅団司令官)の一人ハサン・ハシュファ氏、ザフラーナ村法廷のアブドゥルムハイミン・アーガー裁判長が25日に何者かに暗殺されたと発表した。

AFP, September 30, 2015、AP, September 30, 2015、ARA News, September 30, 2015、Champress, September 30, 2015、al-Durar al-Shamiya, September 30, 2015、al-Hayat, October 1, 2015、Iraqi News, September 30, 2015、Kull-na Shuraka’, September 30, 2015、al-Mada Press, September 30, 2015、Naharnet, September 30, 2015、NNA, September 30, 2015、Reuters, September 30, 2015、SANA, September 30, 2015、Sputnik News, September 30, 2015、UPI, September 30, 2015などをもとに作成。

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