ダーイシュ(イスラーム国)は米トルコ両政府が設置合意した「安全保障地帯」で新たに勢力拡大(2015年10月9日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(10月9日付)などによると、ダーイシュ(イスラーム国)が、アレッポ市北部のファーフィーン村、タッル・カッラーフ村、ハリーサ村、カフル・カーリス村、タッル・スースィーン村、アフダース刑務所、自由貿易地区など、反体制武装集団の支配地域に侵攻し、同地を制圧した。

ダーイシュが新たに勢力を拡大した地域は、米トルコ両政府が設置合意した「安全保障地域」に含まれている。

また、SANA(10月9日付)によると、サブイーン丘、ナアーム丘一帯、ジャディーダ村、バクジーヤ村、フワイジーナ村、カスィール・ワルド村、シャイフ・アフマド村で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、シャーム戦線は、ダーイシュ(イスラーム国)によるタッル・カッラーフ村襲撃で、同戦線シャリーア局長のムハンマド・タブシュー氏が死亡したと発表した。

他方、アナトリア通信(10月10日付)は、同通信のシリア人記者サーリフ・マフムード・ライラー氏(27歳)が8日、アレッポ県フライターン市内の市場で爆弾が仕掛けられた車の爆発に巻き込まれて死亡したと伝えた。

この爆発では、ライラー氏のほか20人が死亡した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市内で空爆によると思われる大きな爆発が発生し、ダーイシュ(イスラーム国)メンバー少なくとも14人が死亡、20人以上が負傷した。

爆発が、有志連合、ロシア軍、シリア軍のいずれの空爆によるものかは不明だという。

また、ラッカ市内のマシュラブ地区では、戦闘機(所属不明)がダーイシュの司令官の乗った車を空爆、この司令官は死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がウカイリバート町一帯を空爆した。

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ヒムス県では、SANA(10月9日付)によると、シリア軍がシャーイル・ガス採掘所一帯、イッズッディーン村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、ARA News(10月9日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がタドムル市で、住民3人を国防隊に従軍していたとの罪で斬首した。

また、ARA News(10月10日付)によると、スィッリーン町一帯で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(10月9日付)によると、シリア軍がマリーイーヤ村、ジャフラ村、マヤーディーン市、ダイル・ザウル航空基地一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、クッルナー・シュラカー(10月9日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)ハイル州衛生局が数日前に、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区のファールマクス病院を接収し、医療機器などを応酬、ダーイシュ戦闘員のための軍事病院施設への搬出した、と伝えた。

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米中央軍(CENTCOM)は、10月9日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して25回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は5回におよび、ハサカ市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(1回)、マーリア市近郊(1回)、タドムル市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, October 9, 2015、Anadolu Ajansı, October 9, 2015、AP, October 9, 2015、ARA News, October 9, 2015、Champress, October 9, 2015、al-Hayat, October 10, 2015、Iraqi News, October 9, 2015、Kull-na Shuraka’, October 9, 2015、October 10, 2015、al-Mada Press, October 9, 2015、Naharnet, October 9, 2015、NNA, October 9, 2015、Reuters, October 9, 2015、SANA, October 9, 2015、UPI, October 9, 2015などをもとに作成。

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