ロシアのプーチン大統領「爆撃は合法的な政府の安定を維持し、政治的正常化に向けた状況を拡充するため」(2015年10月11日)

ロシアのヴラジミール・プーチン大統領はRT(10月11日付)のインタビューに応じ、ロシア軍地上部隊のシリアへの派遣の可能性に関して「我々はそれを行うつもりはない。シリアの友人らはそのことを知っている」と述べるとともに、ロシア軍の空爆が「合法的な政府の安定を維持し、政治的正常化に向けた状況を拡充すること」が目的だと述べた。

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プーチン大統領はまた、モスクワを訪問中のサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と会談し、シリア情勢への対応などについて協議した。

ロシアの複数の消息筋が『ハヤート』(10月12日付)に明らかにしたところによると、会談でムハンマド皇太子は、「アサド大統領の退陣と穏健な反体制派支援」に固執したという。

一方、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子とともに、ロシアを訪問したサウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務大臣は、セルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

会談後ジュバイル外務大臣は、「サウジアラビアは、ロシア軍がシリア国内で行っている航空軍事作戦に大きな懸念を表明した…。ロシア側は、この介入がテロリストであるダーイシュ(イスラーム国)との戦いを目的としているとの説明をした…。サウジアラビアは引き続きシリアの統合を維持すべくロシアとともに行動する」と述べた。

これに対して、ラブロフ外務大臣は、ジュバイル外務大臣との共同記者会見で「モスクワとリヤドは、軍事的協力を含む両国協力のための基盤があることを表明した…。プーチン大統領は、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子に、シリア情勢をめぐるリヤドの懸念への理解を表明した」と述べた。

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プーチン大統領はさらに、モスクワを訪問中のUAEのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子と会談し、シリア情勢などへの対応について協議した。

ロシアのセルゲイ・イワノフ大統領府長官は会談後、シリア国内へのロシア軍地上部隊派遣の可能性に関して「そもそも議題にあがっていない」と述べた。

またイワノフ報道官は、ロシア軍の空爆に関して「シリア軍が攻撃作戦において必要とするだけの長期にわたり、ロシア軍の空爆作戦は継続されるだろう」と付言した。

AFP, October 11, 2015、AP, October 11, 2015、ARA News, October 11, 2015、Champress, October 11, 2015、al-Hayat, October 12, 2015、Iraqi News, October 11, 2015、Kull-na Shuraka’, October 11, 2015、al-Mada Press, October 11, 2015、Naharnet, October 11, 2015、NNA, October 11, 2015、Reuters, October 11, 2015、RT, October 11, 2015、SANA, October 11, 2015、UPI, October 11, 2015などをもとに作成。

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