2014年2月10日のシリア情勢:ジュネーブ2会議第2ラウンド

スイスのジュネーブにある国連本部で、ジュネーブ2会議の第2ラウンドが始まった。

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は、第2ラウンドの開始にあたって、政府、シリア革命反体制勢力国民連立の代表団に覚書(『ハヤート』2月11日付が全文を掲載)を回付した。

この覚書において、ブラーヒーミー共同特別代表は、ジュネーブ合意の趣旨が改めて箇条書きしたうえで、以下の議題を提案した。

1. 暴力停止、テロとの戦い

2. 移行期統治機関の設置

3. 継続性と変化を考慮した国家機関

4. 国民対話と国民和解

ブラーヒーミー共同特別代表また、第2ラウンドの議事を政府代表団、反体制勢力代表団との個別交渉を通じて進め、前向きな成果が得られた段階で直接交渉を実施するとの方針を示した。

この覚書に従い、ブラーヒーミー共同特別代表はまず、ハーディー・バフラ氏が率いる連立代表団と会談し、次いでバッシャール・ジャアファリー国連代表大使が率いる政府代表団と会談した。

国連消息筋などによると、連立代表団との会談では、移行期統治機関の設置、「樽爆弾」などによる政権の「戦争犯罪」、「人道犯罪」について意見が交わされた。

会談で連立代表団は、国連宛文書(後述)に基づき、アサド政権による殺戮の被害を報告するとともに、アレッポ市、ダーライヤー市などへの軍の「樽爆弾」での空爆、ムウダミーヤト・シャーム市、ダマスカス県バルザ区などでの軍包囲の実態を報告、人道支援物資の配給を求めた。

そのうえで政権による暴力の停止と、移行期統治機関に必要を改めて強調したという。

一方、政府代表団との会談では、「テロとの戦い」に焦点が当てられ、SANA(2月10日付)によると、政府代表団はハマー県マアーン村での「虐殺」に対する非難声明案を文書で提出し、国連およびブラーヒーミー共同特別代表に声明の発表を求めた。

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は記者団に対し「殺戮とテロが止まなければ、真の平和的プロセスについて話すことはできない」としたと強調したうえで、「我々はジュネーブ合意に示されている議題を1項目ずつ議論しなければならないと言ってきた。議題に沿って、移行期統治機関の議論にふさわしい時が来るまで、議論を繰り返すことはないだろう。一部の参加者が押しつけようとしているねつ造された幻想の優先事項として議論することはない」と述べた。

 

SANA, February 10, 2014

SANA, February 10, 2014

 

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ロシアのミハイル・ボクダノフ外務副大臣は、ロシアが、米国、国連、シリア政府、反体制政府の各高官による会談を、ジュネーブ2会議の枠組みの中で開催することを提案したと述べた。

RIAノーヴォスチ通信(2月10日付)などが伝えた。

AFP, February 10, 2014、AP, February 10, 2014、Champress, February 10, 2014、al-Hayat, February 11, 2014、Iraqinews.com, February 10, 2014、Kull-na Shuraka’, February 10, 2014、Naharnet, February 10, 2014、NNA, February 10, 2014、Reuters, February 10, 2014、RIA Novosti, February 10, 2014、Rihab News, February 10, 2014、SANA, February 10, 2014、UPI, February 10, 2014などをもとに作成。

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