リヤド最高交渉委員会はロシアが「テロ組織」とみなすイスラーム軍幹部をジュネーブ3会議の反体制派代表団メンバーに選出、PYDの参加、ロシアの介入を改めて拒否(2016年1月20日)

リヤドでのシリア反体制派合同会合で設置された最高交渉委員会の委員長を務めるリヤード・ヒジャーブ元首相はリヤドで記者会見を開き、1月25日開催予定のジュネーブ3会議における反体制派の統一代表団の人選に関して、アスアド・アワド・ズウビー准将を団長に、ジョルジュ・サブラー氏を副代表、イスラーム軍幹部のムハンマド・アッルーシュ氏を交渉責任者に指名したと発表するとともに、委員会が選出した代表団17人(うち5人は武装集団メンバー)の氏名を発表した。

ARA News, January 20, 2016

ARA News, January 20, 2016

最高交渉委員会が決定した17人は以下の通り:

ズウビー准将:元シリア軍事高等アカデミー空軍学科長で、ヨルダンで逃亡生活を送る離反士官。

サブラー氏:シリア人民民主党(共産党政治局)の元幹部で、シリア革命反体制勢力国民連立元代表。

ムハンマド・アッルーシュ氏:イスラーム軍幹部。12月にシリア国内での空爆で殺害されたザフラーン・アッルーシュ前司令官のいとこ。

アフマド・ハリーリー:武装集団メンバー。

アブドゥルバースィト・タウィール:武装集団メンバー。

ムハンマド・アッブード:武装集団メンバー。

スハイル・アタースィー:シリア革命反体制勢力国民連立

ハイサム・マーリフ:シリア革命反体制勢力国民連立

ハルフ・ダーウード:民主的変革諸勢力国民調整委員会

アブドゥルマジード・ハンムー:民主的変革諸勢力国民調整委員会

イリヤース・ファラジュ:民主的変革諸勢力国民調整委員会

ジャマール・スライマーン:カイロ宣言グループ(ただし参加を拒否)

フアード・アリークー:シリア・クルド国民評議会

ムハンマド・アトゥール:無所属

バスマ・カドマーニー:無所属

ナズィール・ハキーム:無所属

ムハンマド・サブラー:無所属

ヒジャーブ元首相は、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表との会談で代表団の名簿を提出したことを明らかにするとともに、この人選がリヤドでの合同会議での自らの決定、そして国連安保理決議2254号などといった諸決議に沿ったものだと強調した。

ヒジャーブ元首相はまた、「最高交渉委員会は、シリアの反体制派を広く含んでいる。また穏健な武装勢力も初めてこの委員会に参加している」としたうえで「我々は、もしいかなるかたちであれ、第3の代表団、ないしは人物が加えられれば、交渉に行くことを受け入れない」と述べ、ロシアが米国との調整のもと、西クルディスタン移行期民政局が主導するシリア民主評議会を反体制派の代表に加えようとしている動きを拒否する姿勢を明示し、ロシアが「交渉の障害」を作ろうとしていると批判した。

ヒジャーブ元首相は「交渉団結成に際して公式に任命された者が交渉を行うのであり、(国連からの会議への)招聘は、最高交渉委員会に対してなされなければならない。我々はデミストゥラ氏とこのことについて話し合った。こうならなければ我々は交渉には赴かない」と強調した。

一方、シリア政府については「正統性を失っており、シリア全土の17%も支配していない。戦争と平和を決定する力もない…。シリア軍は現地の戦力の10%も締めておらず、ロシア、イラン、民兵、傭兵が90%を占めている」と批判、「我々は交渉に行くにあたって、前提条件を設けていないが、国際社会は(シリア国民に対する犯罪停止のとりきめを)遵守しなければならない…すべての当事者は、包囲解除であれ、逮捕者釈放であれ、支援搬入であれ、砲撃停止であれ、人道問題に対して義務を果たさねばならない」と強調、シリア政府による攻撃を停止させるよう国際社会に呼びかけた。


AFP, January 20, 2016、AP, January 20, 2016、ARA News, January 20, 2016、Champress, January 20, 2016、al-Hayat, January 21, 2016、Iraqi News, January 20, 2016、Kull-na Shuraka’, January 20, 2016、al-Mada Press, January 20, 2016、Naharnet, January 20, 2016、NNA, January 20, 2016、Reuters, January 20, 2016、SANA, January 20, 2016、UPI, January 20, 2016などをもとに作成。

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