YPG主体のシリア民主軍はアレッポ県北部のダーイシュ(イスラーム国)支配地域に接近する一方、シリア軍、ロシア軍と連携するかたちでアレッポ市内でもヌスラ戦線と「穏健な反体制派」への攻勢を強化、アレッポ市内の武装集団はシャーム自由人イスラーム運動の元指導者に忠誠を誓う(2016年2月16日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(2月15日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が革命家軍とともに主導するシリア民主軍が15日未明、アル=カーイダ系組織と「穏健な反体制派」の拠点都市の一つタッル・リフアト市およびシャイフ・ハラール村を制圧した。

また『ハヤート』(2月17日付)によると、シリア民主軍はマーリア市に向けて進軍を続け、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市の西方約10キロの距離に位置するマーリア市の名士がシリア民主軍の代表との交渉を行い、シリア民主軍の同市への無血入城についての調整が開始された。

マーリア市は、米トルコ両政府が2015年半ばに設置合意した「安全地帯」で勢力を拡大するダーイシュ(イスラーム国)が制圧をめざし、東側から攻撃を繰り返してきた。

「安全地帯」設置以前は、同地はアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線も展開していたが、ヌスラ戦線は「安全地帯」設置合意以降、米軍主導の有志連合との共闘を嫌い、同地から撤退、残されたシャーム戦線など「穏健な反体制派」は、ダーイシュとの戦いで劣勢を強いられていた。

シリア民主軍とシリア軍は、アレッポ県北部におけるアル=カーイダ系組織と「穏健な反体制派」の中心拠点であるアアザーズ市の南部および西部で勢力を拡大するなか、マーリア市はアアザーズ市と県北東部を結ぶ唯一の経由地となっている。

一方、トルコ軍は同地一帯に対して4日連続となる越境砲撃を行った。

ARA News(2月16日付)によると、トルコ軍が砲撃したのは、カフルナースィフ村、シャイフ・サイード村、カフルナーヤー村一帯と、アフリーン市近郊のキーバール村一帯。

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他方、アレッポ市、ARA News(2月16日付)によると、ロシア軍の航空支援を受けたシリア軍と国防隊がアレッポ市バニー・ザイド地区、アーミリーヤ地区、ライラムーン地区を攻撃した。

またこの動きと並行するかたちで、シリア民主軍は、反体制武装集団の支配下にあるアレッポ市ハラク地区、ブスターン・バーシャー地区に侵攻し、第16歩兵師団、スルターン・ムラード師団、シャームの民のヌスラ戦線などと交戦した。

これに対して、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるジハード主義武装集団が、西クルディスタン移行期民政局支配下のアレッポ市シャイフ・マクスード地区を砲撃した。

このほか、クッルナー・シュラカー(2月17日付)によると、シリア・ムスリム同胞団系の武装組織シャーム軍団の有力司令官の一人、アリー・アウワーシュ氏(アブー・バクル)がアレッポ市西部郊外でのシリア軍との戦闘で死亡した。

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クッルナー・シュラカー(2月16日付)によると、アレッポ県で活動する反体制武装集団9組織が、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動のハーシム・シャイフ前総司令官に忠誠を誓った。

シャイフ前司令官に忠誠を誓ったのは、シャーム自由人イスラーム運動、ヌールッディーン・ザンキー運動、「命じられるままに進め連合」、第101師団、第1中隊、第16師団、山地の鷹旅団、スルターン・ムラード旅団、ムンタスィル・ビッラー旅団。

この宣誓が、ムハンナド・ミスリー氏が総司令官が率いるシャーム自由人イスラーム運動からの離反を意味するかは不明。

これに関して、アレッポ県で活動するというワーイル・ムハンマドを名乗るメディア活動家は、ARA News(2月16日付)に対して、アレッポ市一帯で活動する主要な反体制武装集団が「アレッポ市民の要請を受け、一つの旗、一つの司令官のもとに完全統合することを決定した」と述べた。

AFP, February 16, 2016、AP, February 16, 2016、ARA News, February 16, 2016、Champress, February 16, 2016、al-Hayat, February 17, 2016、Iraqi News, February 16, 2016、Kull-na Shuraka’, February 16, 2016、February 17, 2016、al-Mada Press, February 16, 2016、Naharnet, February 16, 2016、NNA, February 16, 2016、Reuters, February 16, 2016、SANA, February 16, 2016、UPI, February 16, 2016などをもとに作成。

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