リヤド最高交渉委員会所属のシャーム自由人イスラーム運動のクウェート人戦闘員とイラン陸軍特殊部隊隊員がアレッポ市南部郊外の戦闘で死亡(2016年4月11日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(4月10日付)などによると、アレッポ市南部郊外(アイス村一帯)での戦闘では、リヤド最高交渉委員会に所属するアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動のクウェート人戦闘員アブドゥッラー・ハスム氏(説教師のムハンマド・ハスム氏の息子)が死亡した。

Kull-na Shuraka', April 10, 2016

Kull-na Shuraka’, April 10, 2016

また、イランの複数メディアが伝えたところによると、アレッポ市南部郊外での戦闘でイラン陸軍特殊部隊の隊員1人を含む4人が死亡した。

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市サーリヒーン地区、マイサル地区、ブアイディーン地区、バニー・ザイド地区、シュカイイフ地区を空爆、マイサル地区で女児1人を含む2人が死亡した。

またバーブ街道地区には、シリア軍が撃った地対地ミサイルと思われる砲弾が着弾し、複数人が負傷した。

これに関して、ARA News(4月11日付)は、シャーム自由人イスラーム運動、第16師団、ファトフ旅団、「命じられるまま進め」連合、第13師団、北部師団、ヌールッディーン・ザンキー運動からなる反体制武装集団が、アレッポ市シャイフ・マクスード地区一帯(西クルディスタン移行期民政局支配地域)に対して過去最大規模の砲撃を行ったと伝えた。

他方、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターは、アレッポ市などに対する反体制武装集団の攻撃に対して、シリア軍が住宅地や生活インフラの破壊を回避するため、報復として砲撃・空爆を実施したと発表した。

同センターによると、アレッポ市ではこの1週間でヌスラ戦線の砲撃で82人が死亡、266人が負傷する一方、シリア軍はアレッポ市南部郊外で4月3日以降激化しているアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線との戦闘で、ヌスラ戦線戦闘員250人以上を殺害したという。

また、ロシア軍参謀本部機動総局のセルゲイ・ルドスコイ局長は記者会見を開き、アレッポ市南部郊外および北部郊外一帯と、ラタキア県北部でアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団が攻撃を強めていることに関して、ヌスラ戦線がアレッポ市南西部郊外に戦闘員8,000人、アレッポ市北部郊外に1,500人を集結させているとの情報が入ったと発表した。

ルドスコイ局長によると、過去24時間で、アレッポ市北部のハンダラート・キャンプ一帯に戦闘員100人以上が、またタッル・ハディーヤ村一帯に200人以上が到着したという。

ルドスコイ局長はまた、米・ロシアによる敵対行為停止合意(2月27日発効)にもかかわらず、トルコ政府がヌスラ戦線への武器、戦闘員の流入を許していると非難した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、人民防衛諸集団がクルド山、トルクメン山一帯で、「門から彼らに攻撃を仕掛けて入るがよい」作戦司令室と交戦、シリア軍が同地を砲撃、空爆した。

一方、SANA(4月11日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともに、県北部のキンサッバー町一帯に進攻したシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団を撃退した。

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ヒムス県では、クッルナー・シュラカー(4月11日付)によると、シリア軍がタルビーサ市を「樽爆弾」で空爆し、2人が死亡した。

一方、SANA(4月11日付)によると、シリア軍がティールマアッラ村でシャームの民のヌスラ戦線の司令拠点を空爆、破壊した。

ARA News(4月11日付)によると、反体制武装集団はこの攻撃への報復として、ヒムス市ザフラー地区、ナズハ地区(シリア政府支配地域)を砲撃した。

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第13師団は声明を出し、3月半ばのイドリブ県マアッラト・ヌウマーン市での抗争でシャームの民のヌスラ戦線に捕えられていたメンバー3人が釈放されたと発表した。

釈放されたのは、第56歩兵旅団のザーヒル・アフマド司令官を含む3人で、これによりヌスラ戦線は拘束していた第13師団メンバー全員を釈放した。

AFP, April 11, 2016、AP, April 11, 2016、ARA News, April 11, 2016、Champress, April 11, 2016、al-Hayat, April 12, 2016、Iraqi News, April 11, 2016、Kull-na Shuraka’, April 11, 2016、al-Mada Press, April 11, 2016、Naharnet, April 11, 2016、NNA, April 11, 2016、Reuters, April 11, 2016、SANA, April 11, 2016、UPI, April 11, 2016などをもとに作成。

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