AFP(4月20日付)などによると、シリア軍の包囲下にあるザバダーニー市とマダーヤー町と、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線やシャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍の包囲下にあるイドリブ県のフーア市およびカファルヤー町の負傷者、病人の「住民交換」が開始され、双方にとどまっていた住民それぞれ約250人が避難、ザバダーニー市とマダーヤー町の住民は反体制派支配地域に、フーア市とカファルヤー町の住民はシリア政府支配地域に移送された。
ザバダーニー市とマダーヤー町は、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制武装集団が、フーア市とカファルヤー町は、シリア政府を支持する国防隊、人民諸委員会が籠城を続けている。
シリア人権監視団などによると、国連およびシリア赤新月社のチームが用意した大型バス複数台がフーア市、カファルヤー町に入り、負傷者、病院ら243人を乗せて退去、またザバダーニー市、マダーヤー町でも同様に大型バス複数台に分乗した負傷者、病人ら240人が退去した。
マナール・チャンネル(4月20日付)によると、「住民交換」の合意は20日に交わされたという。
ロイター通信(4月20日付)は、目撃者の話として、住民が退去する際、ザバダーニー市とマダーヤー町を発ったシリア赤新月社の車輌1台が何者かに狙撃されたが、死傷者はなかったという。
また、退去したザバダーニー市とマダーヤー町の負傷者、病人らは、ファトフ軍の支配下にあるイドリブ県に向かったという。
一方、フーア市とカファルヤー町を発ったバスは、ダマスカス県、ラタキア県方面に分散して向かおうとしたが、途中、反体制派によって進行を妨害され、足止めを食ったという。
AFP, April 20, 2016、AP, April 20, 2016、ARA News, April 20, 2016、Champress, April 20, 2016、al-Hayat, April 21, 2016、Iraqi News, April 20, 2016、Kull-na Shuraka’, April 20, 2016、al-Mada Press, April 20, 2016Qanat al-Manar, April 20, 2016、Naharnet, April 20, 2016、NNA, April 20, 2016、Reuters, April 20, 2016、SANA, April 20, 2016、UPI, April 20, 2016などをもとに作成。
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