シリア軍、ダイル・ザウル市南西部で新たに「大敗」:ダーイシュは同地のアサド大学病院一帯を制圧(2016年5月14日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団、クッルナー・シュラカー(5月14日付)などによると、ダイル・ザウル市南西部(パノラマ交差点近く)のアサド大学付属病院一帯にダーイシュ(イスラーム国)が潜入し、シリア軍との激しい戦闘の末に同地を制圧した。

この戦闘で、シリア軍兵士少なくとも20人、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

ダーイシュはまた、アサド大学付属病院の医療スタッフと国防隊隊員多数はダーイシュによって拘束され、消息は今のところ不明だという。

ダーイシュとシリア軍はこれに先立ち、ブガイリーヤ村一帯、ダイル・ザウル航空基地一帯(第137連隊基地など)で早朝から交戦、この戦闘がアサド大学付属病院一帯に拡大し、同病院を包囲していたダーイシュがこれを制圧したかたちとなった。

ダーイシュはこのほかにも、ティーム油田一帯で攻勢を強め、シリア軍と交戦、これに対してシリア軍は、同地一帯、ダイル・ザウル航空基地一帯のダーイシュ拠点に対して空爆を行った。

ダーイシュはさらに、ダイル・ザウル市労働者住宅地区(タフトゥーフ地区)で、爆弾を積んだ車でシリア軍拠点に対して自爆攻撃を行い、シリア軍兵士24人が死亡したという。

自爆攻撃を行ったのは「アブー・スハイブ・ルブナーニー」を名乗るレバノン人戦闘員。

ダーイシュは12日にも、ダイル・ザウル市労働者住宅地区、ブガイリーヤ村工業地区を攻撃していた。

なお、アアマーク通信によると、パノラマ検問所、ユーフラテス大学文学部、大学寮、消火施設、穀物サイロ、自動車運転学校、SADCOPガソリン・スタンド、サルダ山のシリア軍拠点複数カ所を制圧したと発表した。

また、ダイル・ザウル市ラシュディー地区の戦闘では、ダーイシュの司令官の一人ムスタファー・ハダーウィー氏(シリア人)が戦死したという。

ARA News, May 14, 2016

ARA News, May 14, 2016

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ハサカ県では、SANA(5月14日付)によると、カーミシュリー市中心街のハラーリーヤ交差点で、爆弾を積んだ自動車が自爆し、5人が死亡、多数が重軽傷を負った。

AFP, May 14, 2016、AP, May 14, 2016、ARA News, May 14, 2016、Champress, May 14, 2016、al-Hayat, May 15, 2016、Iraqi News, May 14, 2016、Kull-na Shuraka’, May 14, 2016、al-Mada Press, May 14, 2016、Naharnet, May 14, 2016、NNA, May 14, 2016、Reuters, May 14, 2016、SANA, May 14, 2016、UPI, May 14, 2016などをもとに作成。

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