スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表はスイスのジュネーブで記者団に対して、シリア国内各所で反体制武装集団を主導しているシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)に関して、アレッポ市東部から破壊し尽くされる前に同地から退去すべきだと呼びかけた。
デミストゥラ氏は「2ヶ月、ないしは2ヶ月半で、アレッポ市東部の街区は完全に破壊されてしまうだろう…。我々は特に、旧市街の話をしている…。あなた方(ヌスラ戦線)が武器を持ってイドリブか、彼らが行きたい場所に退去すると英断を下せば、私個人としては、あなた方に随行する用意がある」と述べた。
また「シリアとロシアが、ヌスラ戦線の戦闘員約900人を包囲されている地域を破壊するための「安易な口実」ととして利用するのであれば、歴史がシリアとロシアを裁くだろう…。あなた方(シリアとロシア)は、こヌスラ戦線の戦闘員1,000人を排除するため、うした兵器を使用してこれほどまでの戦闘を今後も本当に続け、27万5,000人も暮らしているアレッポ市東部を実質的に破壊する用意があるのか」と付言した。
なお、『ハヤート』(10月7日付)によると、デミストゥラ氏は国連安保理で、アレッポ市東部で活動する反体制武装集団戦闘員の半分がヌスラ戦線に属していると報告したことを認めた上で、その割合を「下方」修正した。
すなわち、安保理での報告で、デミストゥラ氏は、イドリブ県で活動していたヌスラ戦線の1,500人がアレッポ市南部に派遣されていたと述べていたが、7日の発言では、反体制武装集団戦闘員総数は8,000人、うちヌスラ戦線戦闘員は900人だと改めた。
AFP, October 6, 2016、AP, October 6, 2016、ARA News, October 6, 2016、Champress, October 6, 2016、al-Hayat, October 7, 2016、Iraqi News, October 6, 2016、Kull-na Shuraka’, October 6, 2016、al-Mada Press, October 6, 2016、Naharnet, October 6, 2016、NNA, October 6, 2016、Reuters, October 6, 2016、SANA, October 6, 2016、UPI, October 6, 2016などをもとに作成。
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