アサド大統領「穏健な反体制派」とは神話に過ぎない。政治的解決に至るにはまず「テロとの戦い」が必要だ。テロリストがシリア国内一部であっても支配することは受け入れられない」(2016年10月6日)

アサド大統領はデンマークのTV2のインタビューに応じた。

インタビューは英語で行われ、SANAがその映像(http://www.sana.sy/?p=440153)、英語全文(http://sana.sy/en/?p=89763)、アラビア語訳全文(http://www.sana.sy/?p=440096)を公開した。

インタビューにおけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:

SANA, October 6, 2016

SANA, October 6, 2016

 

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「アレッポ市東部の惨状について話したいというのなら、それは政府ではなく、テロリストが原因だ。しかし、彼らが同地に何年もいたが、「惨状」という言葉は、最近になって西側メディアで耳にするようになっただけだ…。現地の状況について話したいというのなら、我々は医療物資、食糧物資などがアレッポ市東部に搬入するのを阻止したことなどない。「禁輸措置」など科してはない…。我々政府の役割はアレッポ市全土を解放するためにテロリストを包囲することだ」。

「政治的プロパガンダにふさわしい子供たちの(悲惨な)写真数枚が、シリア政府を非難することが目的の西側メディアで…取り上げられているだけだ…。しかし彼ら(テロリスト)は毎日アレッポ市東部から砲撃を行い、アレッポ市西部で殺戮と破壊を行っている…・しかし西側はそのことには一切触れない」。

「(病院への空爆に関して)どの病院について話しているのかということへの答えを持ち合わせていない。なぜなら、我々は事実を把握しているのではなく、そうして主張がなされているということを把握しているだけだからだ…。写真は物語を語ってはいない。ビデオさえもだ。すべてが最近では操作されている。そうした攻撃が行われていないなどとは言わないが、政府として言うのなら、我々は病院や学校といった施設を破壊する政策を打つことはない…。なぜなら、何よりもまず道徳的な理由でだ。また、もしそのようなことをすれば、武装集団に温床を与えることになるからだ…。それは自分で自分の足を撃つようなものだ…。(病院を攻撃しても)ロシアは何も得られない…。軍が意図的に病院を攻撃するという発想は危うい論理に基づいている」。

「犠牲となった子供たちを見るときに、その理由を考えるだろう。なぜテロリストがそんなことをしたのか、なっぜカタール、サウジアラビア、トルコはこうした罪を犯したのか、ということをだ。私も、なぜ米国や欧州諸国がシリアで罪を犯すテロリストを支援してきたのかと考えている…。また大統領として、どのようにシリア国民、そしてシリアの子供たちを守ろうかと考えている」。

「過去2ヶ月の間にアレッポ市で何人の子供が殺されたか知っていますか? 数百人の子供が反体制派に殺されたのだ。問題は、なぜ西側メディアでそのことを耳にすることはないのかということだ…。民間人が犠牲になっていないなどと言うつもりはない。しかし、反体制派が意図的に砲撃を行うとき、我々はその罪についても言及しなければならない」。

「(アレッポ市東部の住民を退去させるための人道回廊を設置しようとしているのかとの問いに対して)その通りだ…。なぜなら我々は市民がテロリストのもとから退去することを望んでいるからだ…。我々は市民を守るため、テロリストがその地域から去ることを許してきた…。もちろん、彼ら(テロリスト)が従わなければ、我々は市民にこの地域での攻撃を行うと告げ、彼らがそこから避難できるようにする。しかし最善策はテロリストに退去させることだ」。
「反体制派がアレッポから去るまで、戦い続ける。それ以外に選択肢はない。我々はテロリストがアレッポだけでなく、シリアの一部であっても支配すること受け入れない。これが我々の任務であり、目標であり、次のステップだ」。

「もし、他の地域で和解などの選択肢が用意されれば、それこそが最善の策だ…。だから我々は、彼ら(テロリスト)に、和解に応じ、恩赦を受けるか、武器をもってアレッポ市外に退去し、市民の安全を保障するかのいずれかを認めている」。

「(米国とロシアが和平プロセスをめぐる二国間協議を停止したことについて)遺憾だ。しかし、それがうまくいかないと以前から分かっていた。なぜなら…、米国にはいかなる合意をも行う意思がないことを知っていたからだ。(9月9日の)停戦合意の主眼は、米国や国連がテロ組織に指定するシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)への攻撃を行うことにある。しかし、シリアの紛争においてヌスラ戦線は米国のカードだ。ヌスラ戦線なしに、米国はシリアという場において、いかなる具体的且つ効果的なカードを持っていない」。

「穏健な反体制派」とは神話だ。存在しないものと存在するものを区別などできない。それらすべては、4、5年前から「自由シリア軍」と呼ばれてきた同根の組織で、ヌスラ戦線になり、ダーイシュ(イスラーム国)になっただけだ。同根の組織があるグループから別のグループになっただけであるがゆえに、区別など出来ない。しかも米国はそれすらも望んでない…。米国が「穏健な反体制派」が存在すると主張し続けたので、ロシアは「分かった、もし「穏健な反体制派」がいるのなら、彼らと過激派を区別しよう」と言ったが、それはうまく行かなかった。なぜなら存在しないからだ」。

「(あなたは現下の戦争の原因の一つだと思うか、との問いに対して)いいえ、私はこの戦争の原因ではない。もし原因だったら、戦争は2011年ではなく、私が大統領になった2000年に起こっていたはずだ。2011年に、カタールから資金が注ぎ込まれ、米国は自分たちに合わない政府や大統領を転覆させることを決心したのだ…。テロリストには責任がなく、平和的な人々だということになるのか。カタール、サウジアラビア、トルコからの資金は合法的で当然なのか」。

「犠牲者の大多数は…反体制派ではなく政府を支持していた」。

「もし、私が政治的解決の実現を信じているのに、テロに直面していれば、政治的解決を実現できない。なぜなら混乱がもたらされているからだ…。つまり、政治的解決に至るためには、まずテロとの戦いが必要となる。現実において、二つの方法をとらねばならない。一つは軍事的な方法、そしてもう一つは外交、ないしは政治的方法だ…。テロリストについてだが、軍事的解決だけではなく…、西側諸国が彼らへの支援を止めるかどうかにかかわっている。もし、欧米諸国がテロリストの支援を止めれば、軍事的解決は周縁化する…。欧米諸国が支援を増やせば、逆のことが起こり、政治的解決は…周縁に追いやられるだろう。私はすべてが政治的に解決できることを望んでいるし、私の考えが適切であることを願っている。だが、私が何を願おうと、問題は現場で起こっている事実にかかわっている」。

AFP, October 6, 2016、AP, October 6, 2016、ARA News, October 6, 2016、Champress, October 6, 2016、al-Hayat, October 7, 2016、Iraqi News, October 6, 2016、Kull-na Shuraka’, October 6, 2016、al-Mada Press, October 6, 2016、Naharnet, October 6, 2016、NNA, October 6, 2016、Reuters, October 6, 2016、SANA, October 6, 2016、UPI, October 6, 2016などをもとに作成。

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