サファル内閣が総選挙法案を閣議承認、仏大統領は「シリアの体制には今や何らの希望もない」と述べる(2011年7月27日)

シリア人権国民機構のアンマール・カルビー所長によると、ダマスカス郊外県カナーキル村は早朝から村内で家宅捜索・逮捕が行われ、7歳と11歳の子供2人を含む少なくとも住民11人が殺害され、250人以上が逮捕された。またカルビー所長は「捜索活動は、カナーキル村がダルアー市に電力を供給していることに対する報復として行われた」ことを明らかにした。

シリア革命調整連合によると、カナーキル村は完全に封鎖され、負傷者数は100人を越え、「負傷者の一部は重体で、村のモスクは野戦病院と化している」という。

シリア人権監視団によると、「キスワを包囲していた軍治安部隊が早朝、カナーキル方面に向かい、激しい銃声とともに市内に突入した」。また「カナーキル住民は投石やタイヤを燃やして戦車に抵抗した」という。そして「村の西側に戦車7輌、村内には7輌、そして東側には4輌がいる」と指摘、「戦車4輌は、バリゲードを再び設置した“革命戦士たち”が投げた投石によって村の東側の入り口まで退却した」と述べた。

ザバダーニー市、バルザ市、ハジャル・アスワド市、サイイダ・ザイナブ町、キスワ市、ハラスター市など、ダマスカス郊外県の他の町でも治安作戦は続き、軍治安部隊が街路に展開し、数百人を逮捕、家々の壁を破壊し、電気、電話、インターネットは遮断された。

シリア革命調整連合は、カナーキルをはじめとするダマスカス郊外県の各都市で「集団処罰」が行われていると述べた。バルザ市では治安部隊が体制を批判することばなどが書かれた家々の壁を破壊し、200人以上を逮捕した、という。シリア人権監視団によると、バルザ区に早朝、軍・治安部隊が緑色のバス14台に乗り進入してきた、という。

一方、シリア人権連盟のアブドゥッカリーム・リーハーウィー所長はダマスカス郊外県の状況に関して、「約300人が一昨日と昨晩にサイイダ・ザイナブ町で逮捕され、ハジャル・アスワド市でも数百人が逮捕された」ことを明らかにした。

ザバダーニー市では、複数の活動家によると、治安部隊が大規模な家宅捜索を行い、井戸水汲み上げ機のバッテリーを奪い取り、農民が農地に水を与えられないようにしている。また少なくとも170人が逮捕された。

シリア人権監視団によると、「軍治安部隊の車多数がダマスカス郊外県のサブーラからザバダーニーに向かっている」。

同監視団はまた「軍治安部隊の車が途中の街路や検問所で人々を逮捕、PCを没収している。ザバダーニー市内では治安部隊の検問所の増加が顕著である」と述べた。

またダマスカス郊外県カタナー市で夜間デモが発生し、数百人が逮捕されたことを明らかにした。

このほかダマスカス県内ハーリド・ブン・ワリード通りで若者がデモを行い、マッザ区でも数百人がデモを行った。バルザ区でも同様の動きがあったという。

一方、ダルアーの複数の活動家は、ダルアー市が「沸騰状態」にあると述べた。シリア革命調整連合は、同市の「主な市場、とりわけサラーヤー広場(自由広場)で多数の治安要員が展開している」と述べた。

また治安部隊の展開は、ダルアー住民がヒムスなど軍によって包囲されている都市との連帯をめざしてゼネストを行うよう呼びかけ、市内各地区で夜間デモが発生したことを受けた措置だという。

シリア革命調整連合によると、ヒムス市では、朝、アシーラ地区で家宅捜索と逮捕が行われた。「アシーラ地区は軍・治安当局によって、早朝から閉鎖され、出入りが禁じられている」という。

また同連合は、ハサカ刑務所でゼネストが行われ、ハマーとアレッポでは弁護士と医師が座り込みを行ったと述べた。

シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市でもデモが発生、住民が複数地区でバリゲードを築き、治安部隊と対決。これにより2人が逮捕される。

アレッポ市の裁判所前で弁護し数百人が座り込み。弁護士組合の独立性を求める。

イスタンブールで反体制活動家が会合。米国、欧州、サウジなどに在住の約200人のシリア人が集まる。反体制運動の調整などをめぐって協議。

ダマスカス第1裁判所で、芸術家・有識者・活動家28人の公判が開始される。彼らは2011年7月半ばにダマスカス県マイダーン地区でデモを行い逮捕され、7月16日に保釈されていた。容疑は平和的デモ調整法違反。

シリア人権監視団によると、治安機関はダマスカスで、アドナーン・ワフバ氏、ニザール・サマーディー氏の2人の身柄を拘束した。両名はシリア国民民主変革諸勢力国民調整委員会のメンバー。

シリア・アラブ社会主義連合民主党は声明を出し、アーディル・サファル内閣による政党法案閣議承認を、全体主義体制のもとでの政党法に意味はない、と非難。治安国家の廃止、バアス党のヘゲモニー廃止、民主的新憲法の制定などを求める。

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アーディル・サファル内閣は総選挙法案を閣議承認した。来月予定の人民議会と地方自治体の選挙はこの法律に基づいて進められることになる。しかし複数の反体制活動家は同法案が「情報の浪費に過ぎない」と批判した。しかし反体制活動家らは新法に否定的で、「形式的で情報の浪費」と評している。同様の批判は2日前にも政党法案に対して行われた。

なお法律の骨子については、本ウェブサイト2011年8月4日を参照のこと。

AKIがバアス党高官筋の話しとして報じたところによると、近く開催予定のバアス党第11回地域大会において、「バアス党は社会と国家を指導する党である」という憲法第8条の改正を求める反体制勢力の圧力に対抗するため、強硬派を地域指導部副書記長に選出しようとする動きが強まっている。

『ワタン』によると、バアス党民族指導部の民族研究委員会がワークショップを行う。座長はダール・バアス総裁兼『バアス』編集長のトゥルキー・サクル氏。「国家安全保障保護のためのメディアの役割」と題したワークショップでは、バアス党および同党のメディアが、衛生テレビ放送による「扇動」などの虚偽の情報発信にいかに対処し得るかが議論された。

『ワタン』が96,000人を対象に行った世論調査によると、回答者の100%がシリアにおいて危機が存在すると回答。99%が危機の原因は腐敗にあると回答。改革を支持しないのは0.27%。98.13%が平和的な改革を支持。99%以上が憲法の改革を支持。96.8%がバッシャール・アサド大統領による改革の指導を支持。

SANAによると、スワイダー、ハサカ、アレッポ、ダマスカス、ダルアー、ダマスカス郊外、ブスラー・シャーム市など各地でアサド大統領の改革を支持する集会が実施される。

アサド大統領、サウジ在住のシリア人使節団と会談。改革の方針などをめぐり意見を交換。

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複数の信頼できる消息筋が『ハヤート』に述べたところによると、フランスのニコラ・サルコジ大統領がヨルダンのアブドゥッラー国王との電話会談で、「多数の犠牲と弾圧の継続にショック」を感じていると述べたうえで、「シリアの体制には今や何らの希望もない」と述べた。

一方、アブドゥッラー国王はシリアの体制が「真の対話」を行うことを支持し、「現状以外のオルターナティブはない」と明言した。

アル=カーイダのアイマン・ザワーヒリー氏は一昨日公開されたビデオで、シリアでのデモを賞賛。シリア政府に対するデモ参加者を「ムジャーヒドゥーン」と評する。

AFP, July 27, 2011、Akhbar al-Sharq, July 27, 2011, July 28, 2011、AKI, July 27, 2011、AP, July 27, 2011、al-Hayat, July 28, 2011, July 29, 2011、SANA, July 28, 2011、al-Waṭan, July 27, 2011などをもとに作成。

 

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