シリア革命調整連合は、首都ダマスカス中心部のウマイヤ・モスク近くのブズーリーヤ市場で昨日初めて数百人がデモを行ったと述べた。
デモにはダマスカス県内のマイダーン地区、バグダード通り、ミドハト・パーシャー通りで抗議行動を行ってきた人々が参加したと明かした。
デモはハサン・ハッラート通りに向かったが、まもなく多数の治安部隊が到着し排除された。
また同連合は、治安部隊がハミーディーヤ市場(ハミーディーヤ地区)に結集し、別の街区にデモ参加者を追い詰めたが、逮捕者が出たとの情報はない、と述べた。
一方、シリア調整連合など複数の活動家によると、イドリブ県では、軍の増援部隊がイドリブ市郊外のイフスィム村、ファクリヤー村、ラーミー村に到着したのを受け、治安維持作戦が強化され、「これらの地域では非常に激しい追跡・逮捕が行われている」という。
複数の活動家によると、軍部隊が戦車とともにイドリブ県ザーウィヤ山のサルジャ村に進入した。進入の目的は電話料金の徴収だという。
反体制勢力が呼びかけた市民的不服従の一環として、多くのシリア人が公共料金の支払いを行っていない。同活動家によると、市民が再びトルコに避難した。これは国境近くのジスル・シュグール一帯での軍の作戦に伴うものだという。
複数の活動家によると、ザバダーニー、ドゥーマー、ハマー、ヒムス、ダイル・ザウル、ラタキアでも大規模な夜間デモが行われた。ダマスカス郊外県、ヒムス、イドリブで継続される無差別逮捕と治安作戦への抗議が行われた。もっとも大規模なデモが行われたのはハマーで、数万人が参加した。
ザバダーニー市で夜間に女性がデモを行い、逮捕者の即時釈放を求めた。
同デモは治安部隊によって強制排除されたが、その後、治安部隊と軍との間で「緊張状態」が生じ、約15分にわたって激しい銃撃があったという。
複数の反体制活動家らによると、対立は、女性のデモへの対応をめぐる意見の相違が原因だったという。
ドゥーマーでも女性がデモを行い、逮捕者の釈放を求めた。治安部隊による攻撃を恐れた若者が女性たちを守るため取り囲み、市内のイマームの一人が説得し、解散した。
一方、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長が明らかにしたところによると、「装甲車、武装し、民間人の衣服をまとった兵員を乗せた車輌からなる軍・治安機関の増援部隊が目撃された。増援部隊はザバダーニー市、ムウダミーヤト・シャーム市に向かっていった」。APによると数十人が逮捕された。
同監視団はまた、治安部隊の検問所でこの2日の間に3人が殺害されたと述べ、青年1人がヒムス市バイヤーダ地区の検問所で治安部隊に銃殺されたことを明らかにした。
またイドリブの検問所を通ろうとした女性1人が殺害され、ヒムス市郊外のタルビーサ市でも検問所で青年1人が殺された、という。
複数の情報によると、アレッポ県アターリブ市でも逮捕が行われ、約50人が拘束された。
なおダマスカス県ルクンッディーン地区、バルザ区、カダム区では引き続き軍治安部隊が重点的に展開しているという。
ヒムス市のアブドゥルカーディル・ジーラーニー・モスクのイマーム、ムハンマド・ムスタファー氏がモスク前で治安機関の尋問を受け、殴打される映像がインターネット上にアップされ、政権が宗派主義的内乱を助長しようとしている、との非難が続出した。
複数のインターネット・サイトなどによると、ダイル・ザウル市でデモ参加者が、ダマスカス大学シャリーア学部長ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー氏の著書を焼いて抗議。
シリア人権国民機構のアンマール・カルビー氏は声明を出し「シリアが巨大な刑務所と化した」と述べた。
またダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県、ダルアー市、ダルアー郊外、ヒムス市、ハサカ、ラタキア、イドリブなどでの逮捕者の氏名をリストで公開。
また同氏は、アレッポで弁護士組合がデモを行い、複数の弁護士が逮捕されたことを明らかにした。
アラブ言論表現の自由擁護委員会のバヒーヤ・マールティーニー会長が声明を発表。トルコのイスタンブールで国内でもデモ調整のありようなどを協議する大会を開催すると発表。大会は26日から30日までの予定。
ルワイユ・フサイン氏のフェイスブックのページで「シリアの未来を作る大会」が呼びかけられた。大会は8月2日に開催を予定されている。
『アフバール』紙によると、反体制活動家のミシェル・キールー氏がベイルートを訪問。3月8日勢力の高官やジャーナリストと会見。
ラッカ中央刑務所に収監中の約50人が身柄拘束に抗議してハンストを開始。
アーディル・サファル内閣が閣議承認した政党法(後述)に関して、ルワイユ・フサイン氏ら反体制活動家は既存の闘争の基軸をなくそうと政権がしていることは明らかと非難し、「我々が必要としているのは政党法ではなく、自由な政治生活」と主張。そのほか、タイイブ・ティーズィーニー、ハサン・シブリー(シリア国民救済大会メンバー、アンワル・ブンニー弁護士らも非難。
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SANAによると、ダマスカス、ダルアー、ラタキア、ハサカなど各地で、バッシャール・アサド政権の改革路線を支持する集会が開催された。ダマスカス県のヒジャーズ広場、バーブ・シャルキー地区では数千人が参加。
アーディル・サファル内閣は政党法案を閣議承認。政党法案の内容については本ウェブサイト2011年8月4日を参照。
CNN(ドバイ)が複数のデモ参加者の話として報じたところによると、イランがシリアの治安部隊を直接支援している。参加者のムハンマド・アラブ氏によると「イラン製のスタンガンが使用されている」。
アレッポの宗教関係局は、アレッポ市内のアーミナ・ビント・ワフブ・モスクを閉鎖。ラマダーンを控え、反体制デモの動員場所として利用されることを警戒した措置とみられる。
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ローズマリー・ディカルロ米国連次席代表は安保理でシリア情勢に関して「シリアは新たな政治体制への途上にあり、同体制はシリア国民が描いている」とし、「民主化への移行」が始まっているとの見方をしめした。また「バッシャール・アサド大統領は、変革を遅らせようとしているが、それを止めることはできず、シリアは後戻りすることは決してない」と述べた。
米国務省報道官は声明を出し、タルハト・ダッラールくん(12歳)が23日のデモで治安部隊の発砲を受けて負傷し、死亡したとの人権団体の発表を受け、シリアでのデモ弾圧を「蛮行」と非難。
AFP, July 26,2011、Akhbar al-Sharq, July 26, 2011、al-Akhār, July 26,
2011、AP, July 26, 2011、CNN, July 26, 2011、al-Hayat, July 27, 2011、Kull-na Shurakā’, July 26, 2011、SANA, July 27, 2011などをもとに作成。
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