2011年8月13日のシリア情勢

バッシャール・アサド政権はラタキア市に対する大規模な治安回復作戦を開始した。一方、反体制デモを組織・指導する(と考えられる)反体制勢力がアサド政権との対話を拒否し、示威行動を継続するなか、国内の無所属・反体制活動家が政党法に基づき活動申請を行った。他方、バラク・オバマ米大統領とサウジアラビアのアブドゥッラー国王は電話会談でシリア情勢を協議、アサド政権の「野蛮な暴力行為の即時停止」の必要を強調した。

反体制デモをめぐる動き

シリア人権監視団、BBCなどによると、軍・治安部隊は早朝、ラタキア市で大規模な治安回復作戦を開始した。複数の活動家、目撃者によると、ラムル地区に戦車など20輛が進入。一方、オガレット・ニュースによると、軍・治安部隊はラムル地区に20000人以上の兵士、軍車輌数十輛、治安機関の車輌約50台、戦車15輛を投入、無差別発砲を行い、2人を殺害した。ラタキア市ラムル地区は電話、インターネットが遮断されている。

オガレット・ニュースによると、ラタキア市ではラムル地区以外にもスライバ地区、ウワイナ地区、アシュラフィーヤ地区に軍・治安部隊が進入し、市民に無差別発砲、逮捕。

SANAによると、ヒムス市郊外フーラで武装テロ集団が市民1人を襲撃、死亡。またシリア人権監視団によると、クサイル市にも、兵員車輌10台、ムハーバラートの車輌7台、シャッビーハの車輌15台が突入。

AKIにハマー市住民が電話で語ったところによると、ハマー市制圧時の犠牲者は、複数の人権団体が発表している数(約300人)よりもさらに多く、900人から1000人におよぶという。

政党法に基づき、ムハンマド・マルムー人民議会議員、ザーヒル・サアドッディーン氏(ビジネスマン)、『ティシュリーン』前編集長のサミーラ・ムサーラマ女史、ジャーナリストのアクラム・フザーム氏ら、国内の無所属・反体制活動が「民主社会党」の名で活動申請を行う。政党法制定後初となる申請。民主社会党は、「自由、公正、開発」をスローガンとし、「民主的な雰囲気のもとでの国民的政治活動に寄与するべく、愛国的、野心的、文明的な活動」を行うことをめざす。

ドイツのベルリンで民主的変革諸勢力国民調整委員会在外事務局の第1回会合が開催され、シリア情勢、委員会の組織に関する問題などが審議され、シリア革命を支援するための在外国民発足委員会の設置を宣言した。ソルボンヌ大学のブルハーン・ガルユーン教授、アムステルダム大学のサラーム・カワーキビーの研究員、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長、シリア・アラブ人権機構のハイサム・マンナーア代表、『ル・モンド・ディプロマティーク』アラビア語版のサミール・イータ所長、ムハンマド・ザカリヤー・サッカール氏らが参加した同会合では、外国による干渉への強い反対の意思が示された。

諸外国の動き

オバマ米大統領とサウジアラビアのアブドゥッラー国王は電話会談でシリア情勢を協議、シリア政府が国民に対して暴力を行使することに「共同で深い懸念」を表明し、「野蛮な暴力行為の即時停止」の必要を強調した。

エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は「シリアで軍事的解決はないだろう」との見方を示した。

OICのアクマルッディーン・イフサーン・ウグロ事務局長が声明を出し、アサド政権に対して民間人への暴力行使の即時停止を求めた。

『デイリー・テレグラフ』(13日付)によると、イランは、ラタキア空港に軍事複合施設建設のための資金援助に合意。数百万ドル供出する予定だという。

カナダは、アサド政権に対する制裁強化を決定。制裁対象リストに、ムハンマド・フムリフ氏、タウフィーク・ユーニス氏、ムハンマド・マフルーフ氏、アイマン・ジャービル氏、シリア商業銀行氏、シリアテル氏を追加。米国に追随する動き。

一方、カナダ国籍を持つシリア人アブドゥッラー・マーリキー氏は、カナダ政府がアサド政権を「間接的に資金援助している」と非難。オタワでの反体制デモ参加後にCBSのインタビューに応じた同氏は、カナダの企業のシリアの石油・ガス部門での活動による収益が、シリア国民ではなく、アサド政権にもたらされ、それが弾圧、政権延命のための資金となっていると指摘した。マーリキー市は2002年にカナダ当局の情報提供に基づき、シリアでテロ容疑で身柄拘束されたが、その後無罪が立証され、釈放、カナダ政府は彼に謝罪していた。

フランス、イタリアは、アラブ人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィーリーハーウィー所長の逮捕を求める。

レバノンのワーディー・ハーリドでシリア人避難民は、デモ参加者に対する国内での治安部隊による身柄拘束・拷問の実態について語る。(証言映像

AFP, August 13, 2011、AKI, August 13, 2011、Akhbār al-Sharq, August 13, 2011、BBC, August 13, 2011、Daily Telegraph, August 13, 2011、al-Ḥayāt, August 14, 2011, August 15, 2011、Kull-na Shuraka’ Suriya, August 13, 2011, August 14, 2011、August 15, 2011、Reuters, August 13, 2011、SANA 2011_0814、Ugarit News Network, August 13, 2011、UPI, August 13, 2011などをもとに作成。

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