2011年8月14日のシリア情勢

バッシャール・アサド政権によるラタキア市での治安回復作戦が激化、シリア海軍が初めて投入された。こうしたなか、ダマスカス郊外県ドゥーマー市では住民がアサド大統領の「処刑」を求めた。

反体制デモをめぐる動き

複数の人権活動家や目撃者によると、シリア軍艦艇が海岸のラタキア市ラムル地区に艦砲射撃を行った。シリア海軍がデモ弾圧に参加するのはこれが初めて。ロイター通信がラタキア市住民の話として伝えたところによると、2隻の灰色の艦船が、ラムル地区、シャアブ地区に艦砲射撃を行った。ラムル地区は3月以来反体制デモが続いており、この金曜日には20000人がデモを行った。パレスチナ人難民キャンプがある。SANAはシリア海軍によるラタキア市への艦砲射撃を否定した。

またラタキア市内では、戦車、兵員輸送車輌、治安要員数千人、シャッビーハが治安回復作戦を行い、市民への無差別発砲、逮捕を行った。シリア人権監視団によると、ラムル地区以外でも同地区周辺のアイン・タムラ地区、ブスターン・サマカ地区、ブスターン・フマイミー地区、ブスターン・サイダーウィー地区でも軍・治安部隊による激しい発砲があった。またシリア革命調整連合によると、カルア地区、スライバ地区でも発砲があった。これに対抗するかたちでアシュラフィーヤ地区で反体制デモが断行されたという。

ラタキア市への大規模な作戦により、23人が軍・治安部隊によって殺害された。シリア人権監視団によると、その内訳は以下の通り。ラムル地区21人、クナイニス地区2人。

ダマスカス郊外県の2カ所でも大規模な逮捕、発砲が行われ、通信が遮断された。ドゥーマ市では12日(金曜日)の反体制デモでの犠牲者の葬儀が行われ、参列者が、アサド大統領の「処刑」を要求。

 

Kull-nā Shurakā', August 14, 2011

Kull-nā Shurakā’, August 14, 2011


シリア革命調整連合によると、ヒムス市では女性が反体制デモを行った。

イドリブ県のザーウィヤ山、サルジャ市、ハマー県、ダイル・ザウル県で軍・治安部隊により大規模な治安回復作戦が行われ、多数が逮捕された。またシリア人権委員会が発表した声明によると、イドリブ県サムリーン村の家族を乗せた車がトルコに避難しようとした途中で、治安部隊の銃撃を受け、運転手、家族1人(妊婦)が殺害された。

アサド政権の動き

SANAによると、ダマスカス大学の学生が、シリア国旗を14日、掲揚し、アサド大統領の改革、内政干渉と破壊反対。国旗旗は全長3キロで、10万人の学生が署名した。

SANAによると、トルコに避難していたジスル・シュグールの避難民のうち129人が13、14日に帰国した。

諸外国の動き

イランのアーヤトッラーの一人、ナーセル・マカーレム・シーラーズィーはシリア政府を支援するよう呼びかけ、「シリアの安定回復は宗教的義務であり、米国とイスラエルが地域において行っている犯罪的な計略を挫折させることになる」と述べた。

SANA, August 14, 2011

SANA, August 14, 2011

 

『ヒュッリーイェト』(14日付)がトルコ高官の話として伝えたところによると、トルコ政府はシリアへの国際社会の介入を完全に否定してはいない。

ラーマッラー市では、パレスチナ人約300人が14日晩にシリア国民との連帯を求めるデモ行進を断行。参加者の多くはフェイスブックでの呼びかけに応じて参加したという。「アッラー、シリア、自由のみ」、「バッシャールよ、臆病者よ、おまえの兵士をゴランに派遣しろ、バッシャールよ、マーヒルを連れて、我々のもとを去れ」といったシュプレヒコールを連呼するだけでなく、アサド政権によるヒズブッラー支援をも非難、「殺人者の体制を擁護するレジスタンスは信用を失っている」と叫んだ。

AFP, August 14, 2011、Akhbār al-Sharq, August 14, 2011, August 15, 2011、Aljazeera.net,
August 15, 2011、Hurriyet, August 14, 2011、al-Jarīda, August 14, 2011、Kull-nā Shurakā’, August 14, 2011、al-Ḥayāt, August 15, 2011, August 16, 2011、Reuters, August 14, 2011、SANA, August 15, 2011、UPI, August 14, 2011などをもとに作成。

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