2011年9月23日のシリア情勢

反体制運動の規模縮小への反体制活動家、親政府顧問の評価

『ハヤート』(9月23日付)は、9月に入って以降、シリア国内での抗議行動の規模が低迷していることに関して、反体制側、政権側の見方を紹介する。

同記事によると、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長(在ロンドン)は次のように述べて、規模の縮小が逮捕・弾圧の結果であることを認めつつも、抗議行動そのものが低迷していないと主張している。

「ダルアーからカーミシュリー、イラク国境のブーカマールから海岸に至るまでデモは拡大しているが、大規模ではない…。ダイル・ザウル、ハマーは、国家の支配を脱却する段階に達していた…。両市では、数十万人が金曜日のデモで集まっていたが、現在はダイル・ザウルで数千人が集まるのみである」。

シリア革命調整連合報道官のウマル・イドリビー氏(在レバノン)は、次のように述べている。

「デモが縮小していないのは確かだ。体制による激しい弾圧がある場所での1日あたりの規模や密度を我々が縮小しているのであって、別の場所でのデモを準備している…。シリア軍がすべての地域を制圧しているなかでデモの再配置は複雑な状況下で行わざるを得ない。また数万人がこれまでに逮捕されたことでデモが妨げられていることも確かだ…。しかし運動は続いており、国民が革命の目的を実現しようとする意思は変わらない…。国際社会の対応が遅れていることが、おそらくは革命が平和的路線を逸脱する要因となっている…。むろん、このことは体制の責任だ。なぜなら体制は厳しい弾圧を行っているからだ。しかし、我々はすべてのデモが依然として平和的性格を維持していると確信している」。

一方、アサド政権に近いハーリド・アフマド氏は次のように述べている。「先週の金曜日はせいぜい25,000人から30,000人が各地でデモを行ったに過ぎない。つまり、8月の数値の10分の1に過ぎない…。抗議行動は止むことはない。しかしそれは衰退している。なぜならデモ参加者は、シリアの体制がチュニジアやエジプトとは異なり、張り子の宮殿のように崩壊しないと悟ったからだ」。

また国内の不安要因に関して、以下のように指摘する。

「4,000人の武装したサラフィー主義者がザーウィヤ山、ワアル地域に、そして2,000人がヒムスに潜伏しており、彼らを掃討するには多大な人的被害を伴うことになる…。これらの破壊分子は、武器という言葉以外理解しない」。

反体制デモ

シリア革命調整連合はフェイスブックの「シリア革命2011」ページで「反体制勢力統一の金曜日」のデモを呼びかけていたが、(この呼びかけに応じたか否かはともかく)、シリア国内でのデモは小規模・散発的なものに終わった。

複数の活動家らによると、金曜礼拝後に、ダマスカス郊外県(ハジャル・アスワド市など)、ダイル・ザウル県(約2,000人が参加)、ダルアー県、イドリブ県、ヒムス県などで体制打倒と民間人の国際的保護を求めるデモが発生したが、参加者は全国あわせて数千人に過ぎなかった。なおシリア人権監視団によると、ハサカ県のカーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市(約2,000人が参加)、ラアス・アイン市でもデモが行われたという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、バーブ・ドゥライブ地区、バイヤーダ地区で6人が殺害された。クサイル市では少女1人が、タルビーサ市では少年1人が、そしてザアファラーニーヤーでは1人が殺害された。

またシリア人権監視団によると、ヒムス市では活動家のムハンマド・サーリフ氏が空軍情報部に一時身柄を拘束されるが、まもなく釈放される。サーリフ氏はロシア連邦議会の使節団と会談した反体制活動家の一人で、身柄拘束中、この会談の内容について尋問を受けたという。また数時間にわたる尋問で暴行を受けたという。

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イドリブ県では、シリア革命調整連合によると、青年1人が重傷を負い、死亡した。

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ダマスカス郊外県では、ザバダーニー市で22日に重傷を負っていた女性が死亡した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ダルバースィーヤ市で反体制デモが発生、空軍情報部がフランス在住の反体制活動家マスウード・ハームド氏の兄弟を逮捕した。

複数の人権活動家によると、カーミシュリー市で少なくとも70人が逮捕される。治安当局はデモを強制排除するため催涙ガスを使用した他、活動家の家を捜索、逮捕を断行したという。

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SANA(9月23日付)は、ダイル・ザウル市で、武装テロ集団が治安維持部隊を要撃し、6人の兵士が負傷したと報じた。

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シリア・ムスリム同胞団シューラー会議が声明を出し、反体制勢力統一のためにすべての努力を行うことを発表した。

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ニューヨークでの国連総会出席のため、ワリード・ムアッリム外務大臣がオーストリアのウィーンを一時訪問。「アフバール・シャルク」(9月23日付)によると、宿泊先のインターコンチネンタル・ホテル前ではオーストリア在住のシリア人が抗議の座り込みを行った。ムアッリム外務大臣はEUの制裁(ビザ発給禁止)の対象となっている。

アサド政権の動き

SANA(9月23日付)は、ムハンマド・ニダール・シャッアール経済通商大臣が、「内閣は、関税率が5%を越える一部製品の輸入を、国民生活に不可欠で国内で生産されていない必需品を除き一時的に制限することを決定した」と発表したと報じた。この決定は22日になされたもので「装飾品、観光用の車輌などが対象となり、国庫を外国セクターから保護することが目的」だという。また同措置は「一時的」であることが強調された。

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『ラアユ』(9月23日付)は、8月29日に行われた在外シリア人の使節団とアサド大統領の会談での大統領の発言内容を報じる。

この会談で、アサド大統領は、湾岸諸国のシリアへの対応に関して、「矛盾した異なる姿勢で我々に対処している。第1の対応とは、高官の声明やメディアでの報道を通じた批判的なものであり、第2の対応とは、連日行われている連絡・接触を通じた改革への支持である」と述べたという。

またカタールとの関係悪化に関して、サアド・ハリーリー前首相の残留をめぐる意見の不一致と、リビアでの政変をめぐるシリアとGCCの意見の相違が根底にあると述べた。

トルコとの関係をめぐっては、「エルドアン首相、トルコ軍・治安当局は我々を支持している。唯一の反対者はアフメト・ダウトオール外務大臣で、彼はもとはというとムスリム同胞団のメンバーでその後サラフィー主義者になった」と非難した。

国内での反体制運動弾圧をめぐっては、一部の兵士がアサド大統領やマーヒル・アサド大佐を神聖視するような言動を行ったことを「誤り」と率直に認めたうえで、彼らがアル=カーイダ掃討のために訓練されており、そのことがデモ弾圧時にこのような行動を招いたと述べた。

またマーヒル・アサド大佐が「ジャージ姿」で国内での治安回復作戦を指揮していたとの噂に関しては、強く否定した。

諸外国の動き

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、フランスのテレビのインタビューに対して「我々はすべての場所で(リビアで行ったような)戦争を行う意思はない」とつつ、シリアで「キリスト教徒対アラウィー派、スンナ派といったようにあたかも宗派どうしが殺し合っているようである。そして内戦になるという恐怖が高まっている。それゆえに断固たる行動が不可欠だ」と述べた。また「一部の学校で子供たちが抗議行動を行い…軍が学校に介入している」と述べ、バッシャール・アサド政権の弾圧を非難した。だが学校で具体的にどのような弾圧がなされているかについては詳述しなかった。

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スイスはEUによる制裁強化に追随するかたちで、シリアの石油部門に対する経済強化に踏み切った。経済省が発表した。

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国連人権高等弁務官報道官は、記者会見で、シリアでのデモ弾圧に関して懸念を表明、とりわけ国内外の反体制活動家の家族らが治安当局の弾圧の標的となっていることに警鐘を鳴らした。

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ファイサル・ミクダード外務次官は北朝鮮の朴吉淵(パク・キルヨン)外務次官とニューヨークで会談。シリア情勢に関して、朴外務次官は外国の陰謀に対抗するシリア政府の姿勢への支持を表明した。

AFP, September 22, 2011, September 23, 2011、Akhbār al-Sharq, September 23, 2011、al-Ḥayāt, September 23, 2011, September 24, 2011、Kull-nā Shurakā’, September 23,
2011, September 24, 2011、al-Ra’y, September 23, 2011、Reuters, September 22, 2011, September 23, 2011、SANA,
September 24, 2011などをもとに作成。

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