「反体制勢力の統一体」としてのシリア国民評議会が正式発足、議長はガルユーン氏に(2011年10月2日)

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シリア国民評議会正式発足

イスタンブールで一部の反体制勢力が開いていた会合が閉幕、シリア国民評議会を「反体制勢力の統一体」として正式発足することを宣言した。

またバッシャール・アサド政権との対話を改めて拒否し、「革命進展と現政権打倒という我らが国民の要求実現のため必要な支援を拡充する」ための活動を進めることを明言した。

シリア国民評議会発足声明はイスタンブールで会合閉幕後に開かれた記者会見で、ブルハーン・ガルユーン氏によって読み上げられた。同声明の主な内容は以下の通り。

「本声明に署名する諸勢力は、反体制勢力と平和的革命の統一体として国民評議会の発足を宣言する…。
(評議会は)シリア革命を主導する組織名であり、内外の革命を代表し、シリア国民諸集団の動員のため活動する…。それによって民族、人種、宗教的・政治的信条に基づく差別のない市民国家の建設をめざす…。それは平和的革命の原則と目的を遵守するすべてのシリア人に開かれている評議会である…。
(評議会は)反体制勢力の独立性を体現した主権と、自由実現をめざすことで体現されるシリア国民の主権を担った無所属団体である…。
国民評議会は、相互互恵と国益維持という原則のもと、アラブ世界、中東地域、国際社会のすべての団体、政府とともに活動し、国家を守る者たち権に抵触するようないかなる外国の干渉をも拒否する…。革命の要請に従い、国民評議会は、関係する国際機関・団体に対して、シリア国民に対する責任を果たし、シリア国民に対して宣言された戦争から彼らを保護し、政権による犯罪や人権侵害の停止のため、国際法の条項を駆使したあらゆる手段をもって行動することを求める…
政権が行う宗派主義的扇動は国民統合を脅かし、国を内戦と内政干渉へと向かわせている…。
国家機関、とりわけ政権によって真の任務から背かされてきた軍を保全する…」。

発足声明に署名したのは、ダマスカス国民民主宣言のサミール・ナッシャール事務局長、シリア国民評議会執行委員会のバスマ・カドマーニー報道官、ブルハーン・ガルユーン氏、シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者、クルド民族主義諸政党・組織代表のアブドゥルバースィト・スィーダー氏、アッシリア民主機構のアブドゥルアハド・サティーフー氏。

シリア国民評議会メンバーのハサン・ハーシミー氏は、同評議会の執行部が29人から構成され、以下7つの潮流が参加すると述べた。地元調整諸委員会6人、シリア・ムスリム同胞団および諸部族5人、ダマスカス国民民主宣言4人、リベラル派(ガルユーン氏ら)4人、クルド民族主義勢力およびキリスト教徒4人、無所属5人、議長1人。

「外国の干渉」を否定しつつも、「国際的な保護」を要請したことに関して、ガルユーン氏は「民間人保護に関する国連憲章の規定の適用を求めており、国家を守る者たち権を侵害しない」と答えた。そのうえで「いかなる干渉も、シリア国民を代表する国民評議会の合意のもとに行われる」と付言した。

またシリア国民評議会が国際社会の承認を受けるか否かに関して、ガルユーン氏は「もっとも困難だったのは評議会の結成だった。その承認はより容易である」と答えた。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=wN-2xYz8d0Q

なお閉幕時にガルユーン氏がシリア国民評議会の議長に選出された。

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Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

シリア国民評議会メンバーの一人でシリア・ムスリム同胞団のアフマド・リヤード・シャカファ最高監督者は、ジャズィーラのインタビューに応え、「シリア国民と我々はシリア領内への外国のいかなる軍事干渉も拒否している。しかし、もし体制が国民への殺戮を続ければ、飛行禁止空域など、それを阻止する様々な手段がある…。もし体制が迫撃砲や戦車での砲撃を続ければ、それを沈黙させるための航空機による介入はあり得る」と述べた。

シリア国民評議会メンバーの一人で、ダマスカス国民民主宣言のサミール・ナッシャール氏は、「我々は国連や国際社会の諸勢力にこの体制による殺戮行為を停止させるためにふさわしいと考えられるあらゆる措置を講じるよう求める…。金融を通じたものであれ、軍事的な方法であれ」と述べた。

これらの発言は、外国の軍事介入を否定したシリア国民評議会の基本姿勢に反するものであることは言うまでもなく、同評議会内で同問題をめぐる認識の違いがあることが早くも露呈した。

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シリア人権監視団によると、ダマスカス県のカダム区で晩、シリア国民評議会の発足を歓迎するデモが行われた。

同様の支持デモはハマー、ヒムス、イドリブ、ダルアー、ダイル・ザウルでも発生したという。またフェイスブックの「シリア革命2011」ページによると、ダマスカス郊外県ザバダーニー市でも支持デモが発生した。

その他の反体制勢力の動き

ヒムスで軍離反者たちが「シリア軍離反諸大隊軍事評議会」の発足を発表した。

同評議会は、ハーリド・ブン・ワーリド大隊、ナシャーマー大隊、ヒムス大隊、タルビーサ自由運動家大隊、ウマル・ブン・ハッターブ大隊、アリー・ブン・アビー・ターリブ大隊、アビー・ザッル・ギファーリー大隊からなる。

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

自由シリア軍を指導するリヤード・アスアド大佐によると、現在離反兵の数は10,000人以上に達し、彼らはアサド政権に忠誠を誓う秘密警察、軍事情報局、空軍情報局などを攻撃している、という。

しかし、軍離反者たちは声明を出し、「増援部隊の強化、アサドの悪党どもが用いる武器を受けて…、我々は自由のための闘争を継続するため、(ラスタン市からの)撤退を決定した」を発表した。

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シリア革命調整連合のムハンマド・ラッハール議長は『シャルク・アウサト』(10月2日付)に対して、革命暫定評議会とサラーフッディーン・アイユービー軍を発足、後者は先週から反体制武装闘争を開始したと述べた。

なお9月末に筆者がシリアのダマスカスで行った調査によると、シリア革命調整連合は地元調整委員会と対立している。またイスタンブールでの反体制勢力の会合やダマスカスでの国民民主変革諸勢力国民調整委員会の会合にも参加していない。

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政党法制定によって設置された政党問題委員会は11政党の申請書類の提出を受けた。同委員会メンバーのヤースィル・カルザリー書記が明らかにした。

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国民民主変革諸勢力国民調整委員会の総合調整役のハサン・アブドゥルアズィーム弁護士は『ハリージュ』(10月2日付)のインタビューに応え、自らが書記長を務めるアラブ社会主義連合民主党が政党法に従って政党申請を提出しないと述べた。

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カイロとモスクワのシリア大使館前でシリア人数十人が無期限の座り込みを開始し、ロシア政府によるアサド政権支持に抗議。

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作家でジャーナリストのイブラーヒーム・ジャビーン氏が10月2日、シリア・アラブ・テレビを辞職するとともに、ジャーナリスト連合、アラブ作家連合を退会。

また声明を出し、シリア・アラブ・テレビを「悪党の画面、殺戮・流血の道具」と酷評した。

反体制活動(弾圧)をめぐる動き

ヒムス県、ハマー県、イドリブ県各地では、軍・治安部隊による離反兵掃討作戦が続いた。

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イドリブ県では、軍・治安部隊がシャフシャブー山、ガザーラ村、シャフルナーズ村を戦車で攻撃し、離反兵の掃討をめざした。

SANA(10月3日付)は、共和国ムフティーのアフマド・ハッスーン師の息子サーリヤ・ハッスーン氏がイドリブ県サラーキブ市で武装集団に襲撃され、重傷を負い、サラーキブの病院に搬送されたと報じた。同氏はイドリブ県サラーキブの市立大学エブラ大学近くでアレッポ大学の歴史学の教師ムハンマド・ウマル氏とともに襲撃された。ウマル氏は死亡した。

シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市で数日前に逮捕された2人の遺体が家族に引き渡された。

SANA(10月3日付)は、イドリブ県ウービーン地域で「武装集団」が貨物列車を襲撃し、車掌、副車掌が負傷、車輌3輌が脱線した」と報じた。

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

SANA(10月3日付)は、イドリブ県バサーミス村で武装テロ集団が住民1人を誘拐、殺害した徒報じた。

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ヒムス県では、軍・治安部隊がヒムス県、ダイル・フール村を包囲。同村では若者たちが抵抗しているという。

シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ市で重傷を負っていた市民が死亡した。

『ザマーン・ワスル』(10月2日付)は、ブルハーン・ガルユーン氏の弟ムハンマド・ハイイル・ガルユーン氏と息子のムハーブ・ガルユーン氏がヒムス県で逮捕されたと報じた。

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SANA(10月3日付)は、10月1日、ハマー県カフルヌブーダ町で治安維持部隊が武装集団の襲撃を受け、5人が死亡、8人が負傷したと報じた。

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ラッカ県ではラッカ市の住宅地区で治安部隊が大規模な活動家・デモ参加者の逮捕・追跡作戦を展開。同市では早朝から市議会議事堂前で住民によるデモが行われ、抗議行動は2月23日通り、マンスール通りへと拡大したという。

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SANA(10月3日付)は、ダルアー県ジーザ町出身の指名手配者アフマド・ハーリド・イカーブ氏が、自らがオートバイで運んだ爆弾の爆発に巻き込まれて死亡したと報じた。

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3月にダマスカス県旧市街のハリーカ地区で独りシリア国旗を掲げて自由と民主主義を求め身柄拘束されていたムルーワ・グムヤーン女史の逮捕後の消息が不明に。同女史は活動家から「シリア革命の起爆剤」と讃えられている。

 

SANA, October 2, 2011

SANA, October 2, 2011

 

フェイスブックによる反体制デモの呼びかけ

『ドゥンヤー・ワタン』(10月2日付)は、フェイスブックで「シリア大学インティファーダ」が呼びかけられたことを受け、治安当局は各地の大学前で厳戒態勢を敷き、学生たちの取り調べを強化している、と報じた。

なお「シリア大学インティファーダ」の呼びかけに応じたかたちでの大学生による抗議行動が行われたとの信頼できる報道は今のこところない。

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

諸外国の動き

ニコラ・サルコジ仏大統領の妻カーラ・ブルーニ氏は世界的な心理アナリストのラファー・ナーシド女史の釈放を求める。

AFP, October 2, 2011、Akhbar al-Sharq, October 2, 2011, October 4, 2011、Aljazeera.net, October 2, 2011、AP, October 2, 2011、Dunya al-Watan, October 2, 2011、al-Hayat, October 3, 2011, October 4, 2011, October 6, 2011、al-Khalij, October 2, 2011、Kull-na Shuraka’, October 2, 2011、SANA, October 3, 2011、al-Sharq al-Awsat, October 2, 2011、Zamān al-Wasl, October 2, 2011などをもとに作成。

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