2011年10月20日のシリア情勢

反体制運動掃討

反体制活動家によると、複数の都市で軍・治安部隊と離反兵との間で激しい戦闘が発生し、多くの兵士が死傷したほか、民間人5人が殺害された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市近郊のブルハーニーヤ村で、軍・治安部隊と離反兵との激しい戦闘があり、兵士1人が死亡、多数が負傷し、軍の装備が破壊された。クサイル市ではライフラインが途絶えたままだという。

シリア革命総合委員会によると、同じくクサイル市近郊のニザーリーヤ村、ジュースィヤ村で兵士約50人が離反し、軍・治安部隊の装甲車1輛とシャッビーハを載せたバスを破壊した。これに関して、自由シリア軍は声明でジュースィヤ村で兵士30人が離反したと発表した。

また同総合委員会は、ジュースィヤ村で軍が住宅を攻撃し、姉妹3人を殺害したと発表した。だが、SANA(10月20日付)は、クサイル地域ジュースィヤ村で19日、「武装テロ集団」の住宅を襲撃し、女性3人を殺害したと報じた。

ヒムス市では軍・治安部隊がバイヤーダ地区、ハーリディーヤ地区、カラム・ザイトゥーン地区、ナーズィヒーン地区で反体制活動家の掃討作戦を行い、多数を逮捕した。またこの際青年1人が負傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市で軍・治安部隊と離反兵との戦闘があり、5人が負傷した。またフラーク市、ダーイル町でも戦闘があり、1人が死亡、複数が負傷した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハウワーシュ村で軍・治安部隊が住民に発砲し、1人が死亡、5人が負傷した。

自由シリア軍は声明を出し、ハマー市の中央刑務所近くでカーシューシュ大隊が「作戦」を実行し、体制支持は40人を殺害し、バス3輛を破壊したと発表した。

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ダマスカス郊外県では、ドゥマイル市で青年1人が、デモ参加者に対する治安部隊の発砲の巻き添えとなり死亡した。シリア革命総合委員会などによると、サクバー市、ハラスター市、ミスラーバー市で大規模な逮捕・追跡作戦が行われ、アルバイン市では離反兵と軍・治安部隊の戦闘があった。ドゥーマー市ではヒムス市で離反した兵士1人が殺害された。さらにアイン・タルマー村のモスクの説教師、ファーイズ・ラッバーン氏が多数の学生、友人とともに逮捕された。

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アレッポ県では、複数の活動家によると、タッル・リフアト市に武装した治安部隊の増援部隊が派遣された。またアレッポ市各所では学生による小規模な反体制デモが発生した。

反体制勢力の動き

シリア国内で活動する反体制組織のシリア国家建設潮流は声明を出し、各地の事務局長から構成される監督委員会と有識者からなる行動委員会を設置したと発表。

Kull-nā Shurakā’, October 20, 2011

Kull-nā Shurakā’, October 20, 2011

監督委員会のメンバーは以下の通り:

クタイバ・フサイニー(ハサカ市)
ズハイル・ブーシュ(カーミシュリー市)
スブヒー・ジャースィム(ダイル・ザウル市)
ファルザンド・ウマル(アレッポ市)
ルーディー・アイユー(ダマスカス県)
サミール・スアイファーン(UAE)
タラール・ムハイニー(英国)
ハッサーン・ジャマーリー(カナダ)
サアド・ルースターン(フランス)
ジハード・スィーヌー(トルコ)

行動委員会メンバーは以下の通り:

ルワイユ・フサイン(国家建設潮流代表)
ムナー・ガーニム(書記長)
バハーッディーン・ラッカード(法務担当)
リーム・トゥルクマーニー(総合関係担当)
ハサン・カーミル(運営担当)
ウンス・ジャウダ(運動担当)

http://all4syria.info/web/wp-content/uploads/2011/10/binaa-syria.pdf

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シリア国民評議会はナジーブ・ガドバーン氏らからなる使節団をリビアに派遣した。

これに関して、シリア国民評議会執行部メンバーのアブドゥルアハド・イスティーフー氏はアッシリア民主機構のサイト(ADO)で、評議会使節団のリビア訪問が、リビア暫定国民評議会がシリア国民評議会を承認したことへの謝辞を述べるためだと述べた。

アサド政権の動き

人民議会は12月12日に投票予定の統一地方選挙の日程に関して審議した。SANA(10月21日付)によると、同審議において、議員の大多数が、現在進行中の改革を定着させ、包括的公民対話会合での決定を待つためにアサド大統領に選挙日程の延期を求めた。

SANA, October 20, 2011

SANA, October 20, 2011

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ワリード・ムアッリム外務大臣はロシアの報道関係者使節団との会談で、包括的国民対話大会開催の準備が進行中であると述べた。

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アブドゥルファッターフ・アムーラ外務次官は、国民対話会合に向けた「アラブの献身的なあらゆる努力」を歓迎すると発表した。

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バアス党シリア地域のムハンマド・サイード・バヒーターン副書記長は歯科医師組合顧問委員会との会談で、「(国民)対話においてすべてのすべての社会集団、政治勢力が参加し、アサド大統領が指導する包括的改革プロジェクトを前進させることが重要」と述べた。

諸外国の動き

潘基文国連事務総長は国連安保理決議第1559号にかかる第14回目の報告書を作成し、そのなかでレバノン領内(ベカーア県カーア地区)でシリア軍が行ったとされる反体制活動家の掃討作戦に関して、レバノン領内における「あらゆる侵入行為を即時停止」するよう求めた。

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アラブ連盟事務局は、アラブ連盟外相会議での決定に基づき、連盟が10月25日(火曜日)、アラブ閣僚委員会をシリアに派遣することでアサド政権と合意したと発表した。同委員会は、カタールのハマド・ブン・ジャースィム・アール・サーニー首相兼外相を委員長とし、エジプト、オマーン、アルジェリア、スーダンの外相、そしてアラブ連盟事務局長から構成される。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリアの危機をめぐってインドとの対話を試みている、と述べた。

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レバノンのマラダ潮流のスライマーン・フランジーヤ代表はLBCのインタビューに応じ、シリア・ムスリム同胞団がシリアの政権を掌握するは「受け入れられない」と述べるとともに、「アサド大統領に対する彼(サアド・ハリーリー前首相)の嫌悪は宗派感情に根ざしており、この感情に基づいて、彼はフスニー・ムバーラク(エジプト大統領)らを支持してきた…。ハリーリー王朝は…親スンナ派的政策を押しつけようとしてきたが、それは実現不可能な計画だ」と述べた。さらに「ヒズブッラー、イラン、そしてパレスチナ人の対義を支持することを断念させようとして」アサド大統領が圧力に曝されていると述べた。

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バラク・オバマ米大統領がリビアのムアンマル・カッザーフィー大佐の死に合わせて「鉄の支配は必ず終わる」との声明を出したことに関連して、ジェイ・カーニー・ホワイトハウス報道官は記者団からアサド大統領へのメッセージかと質問され、「(米)大統領はアサドの正統性が失われたと考えている」と答えた。

AFP, October 20, 2011、Akhbār al-Sharq, October 20, 2011, October 21, 2011、al-Ḥayāt, October 21, 2011、Kull-nā Shurakā’, October 20, 2011、Naharnet, October 20, 2011、Reuters, October 20, 2011、SANA, October 21, 2011などをもとに作成。

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