2011年10月26日のシリア情勢

SANA, October 26, 2011

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アラブ連盟外交使節団のシリア訪問

バッシャール・アサド大統領はアラブ連盟外相使節団と会談し、アラブ連盟外相会議での決議(連盟本部での政府と反対勢力との国民対話などを骨子)やシリア情勢に関して意見が交わされた。

同使節団は、カタールのハマド・ブン・シャイフ・ジャースィム・アール・サーニー首相兼外務大臣を団長とし、オマーン、エジプト、スーダン、アルジェリア各国外相およびナビール・アラビー連盟事務局長からなる。

使節団はアサド大統領との会談後、反体制勢力などと一切会談せずダマスカスを去った。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は10月26日(水曜日)のシリア訪問に先立って、『ハヤート』(10月26日付)の取材に答え、アラブ外相団が「発砲停止、逮捕者釈放、包括的政治対話の開始」をめざしていると述べていた。

またカイロでシリア国民評議会の使節団と会談したことに関して、「このことが私とシリア政府である種の不一致をもたらしている」としたうえで、「反体制勢力が平和的である限り、会談を行うことはアラブ連盟事務局長の権限の一つだと考える」と自己弁護した。

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アラブ連盟外相使節団の団長としてシリアを訪問したカタールのハマド首相兼外務大臣は、会談後ジャズィーラのインタビューに応じ、「外国の当事者が干渉しないかたちでのシリアの危機解決をめざそうとする意思がアラブ側に明確にある」としつつ、バッシャール・アサド政権が「我々が提示したすべてに同意しなかった」と述べ、政権と反体制運動の連盟本部での対話をめざす使節団の試みが失敗したことを示唆した。

反体制勢力のゼネスト

 

シリア国民評議会は、アラブ連盟外相団の訪問に合わせて10月26日にゼネストを行うよう呼びかけ、暴力停止、軍・治安部隊の都市・村からの撤退、政治犯釈放、失踪者の行方調査、被害者の遺体返還を主唱、これらの実現を通じて対話にふさわしい雰囲気を醸成するよう求めた。そのうえで、「民間人の殺戮が続く限り」アサド政権との対話を拒否するとの意思を示すとともに、同政権の弾圧が続くなかでの対話を求めるアラブ連盟外相会議のイニシアチブを暗に批判した。

またフェイスブックの「シリア革命2011」も、ハウラーン地方との連帯のためのゼネストを呼びかけた。

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この呼びかけに呼応するかたちで、地元調整諸委員会などによると、ダルアー県のダルアー市およびその郊外(フラーク市、タッル・シハーブ町、ブスラー・シャーム市)、ダマスカス県のカーブーン区、バルザ区、ダマスカス郊外県(ドゥーマー市)、イドリブ県のイドリブ市およびその郊外、ジャルジャナーズ町、タルトゥース県のバーニヤース市、ハマー県のハマー市およびその郊外、ヒムス県のヒムス市およびその郊外(ハウラ地方)、ダイル・ザウル県のダイル・ザウル市およびその郊外、アレッポ県のアレッポ市及びその郊外、ハサカ県アームーダー市、ダマスカス県:カーブーン区などゼネストが実施された。

ダルアー市の住民の一人によると、普段閉められることのない薬局や肉屋も閉められ、人通りもまったくなかったという。

アサド政権の動き

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しかし反体制勢力がゼネストの実施を訴えたにもかかわらず、ダマスカス県ウマウィーイーン広場では、数十万の市民が大規模集会に参加し、アサド政権の改革路線への支持が表明された。

この集会は「シリアの家族の木」を名乗る青年グループによって呼びかけられ。同グループは「挙国一致支持」を表明するため、木が描かれた全長500メートルの布を掲揚し、反体制勢力のゼネストの呼びかけを無視して会場に集まった。

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同様の大規模集会は、ハサカ県のハサカ市でも行われた。10月に入って、ダマスカス県サブウ・バフラート広場とアレッポ市で同様の大規模集会が実施されており、近くラタキア県ラタキア市でも同様の集会が予定されている。

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SANA(10月26日付)は、ダマスカスで10月30日、31日に経済対話国民大会が開催されると報じた。同報道によると、この大会には約300人が参加し、改革プロセスと枠組みと対話の基礎新がの原則に基づき、経済社会改革のための共通のビジョンを構築することを目的としている。

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『ワタン』(10月26日付)は、シリア中央銀行のアディーブ・マイヤーラ総裁が、ユーロ二加えてロシア・ルーブルと中国元を貿易決済通貨に加えると発表したと報じた。

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アラブ連盟で開催されたアラブ諸国運輸大臣会合で、シリアの使節団は西側の経済制裁に対抗するため航空貨物分野で協力体制を構築するよう求めた。

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『サウラ』(10月26日付)は、ロバート・フォード米大使の米本国への召還に関して「フォード大使のダマスカスでの(任務の)失敗が、ワシントンへの召還の理由である」と報じ、国内の反体制勢力などとの接触を続け、抗議行動を「扇動」していた米国の外交政策を改めて批判した。

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『クッルナー・シュラカー』(10月26日付)は、ヒムス市の民間紙などで務めていたジャーナリストたちがデモ弾圧やデモ参加者の逮捕に参加・荷担していると報じた。同記事によると、こうしたジャーナリストの多くは治安機関の元要員で、反体制抗議運動発生以後、「復職」して弾圧にあたっている、という。

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保健省は声明を出し、アムネスティ・インターナショナルの報告書の内容が事実に反すると非難した。

反体制運動掃討(軍・治安部隊と離反兵の戦闘)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハムラ市で、軍・治安部隊と離反兵が交戦し、前者に11人の犠牲者が出た。また軍・治安部隊による逮捕・追跡作戦で市民11人(子供2人を含む)が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サラーキブ市で軍の検問所からの発砲で、市民1人が射殺され、3人が負傷した。

またマアッラト・ニウマーン市ではデモを解除しようとした治安部隊が発砲し、5人が負傷した。

カフルルーマー村ではデモを解除しようとした治安部隊が発砲し3人が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、男性1人が治安部隊の発砲により射殺された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市カラム・ザイトゥーン地区で男性1人が治安部隊の発砲により射殺された。またバイヤーダ地区では少女1人が治安部隊の砲撃に巻き込まれ死亡し、バーブ・ドゥライブ地区でも男性1人が射殺された。

ガースィビーヤ村(ラスタン市郊外)では、シリア人権監視団によると、治安部隊の発砲で民間人1人が射殺された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市での治安機関による捜索中に子供が撃たれて死亡した。

反体制勢力のその他の動き

ハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役はAP(10月26日付)に、ロバート・フォード米大使が自身の事務所を訪問した際、タマゴやトマトを投げつけられたと語った。

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『クッルナー・シュラカー』(10月26日付)は、ハサカ県のカーミシュリー市で、シリア・クルド国民大会が開始されたと報じた。同大会には様々な政党・政治組織に属するシリアのクルド人が会し、クルド人の活動統一、シリア国民評議会への政治的立場の決定などが審議・決定される予定だという。

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国内各地で活動する「人民運動指導部」などを名のる18の反体制組織の代表が、変革解放国民戦線事務所で記者会見を開き、声明を発表した。同声明で指導者らは、現下の危機打開のために、すべての政治犯の釈放、暴力停止、国内外の弁護士から構成される委員会による国内での殺戮・弾圧の調査、汚職撲滅、平和的な運動などを要求した。

記者会見に参加した代表者の所属は以下の通り:

ドゥーマー人民運動指導部
バルザ人民運動指導部
カーブーン人民運動指導部
ハラスター人民運動指導部
マイダーン人民運動指導部
カフルスーサ人民運動指導部
タッル改革変革人民戦線委員会
ルクンッディーン・サーリヒーヤ・ムハージリーン国民イニシアチブ委員会
スワイダー人民運動3月26日連合
人民運動諸委員会(アームーダ各地区クルド青年)
ブーカマール市民平和委員会
マヤーディーン市民平和委員会
ラタキア・クドゥス委員会
人民諸委員会(ダイル・ザウル各地区)

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シリア国民協会を名のる組織が10月26日に声明を出し、11月5日にゼネストを行うよう呼びかけた。

諸外国の動き

イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、『シャルク・アウサト』(10月26日付)のインタビューに対して、「シリア政府は国民の要求に応えなければならないが、外国の介入があってはならない…。バッシャール(アサド大統領)は改革(案)を示し、最近では新憲法について検討していると発表した。我々は彼ら(シリア政府)にチャンスを与えねばならない」と述べるとともに、「外国の支援を受けた集団がことを荒立てようとしているが、我々はこうしたことを望んでいない」と反体制勢力を批判した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリアでの抗議行動や制裁が「アサド政権の崩壊を持って終わり、このことはほぼ避けることができないだろう。しかし残念ながら、シリア国内の諸勢力の内戦の危険があり、近隣諸国が我々の介入を望んでいないなど、状況が複雑であるため、時間を要するだろう」と述べた。

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デヴィッド・コーエン米財務次官補は、『ハヤート』(10月26日付)の取材に対して、米国のシリアに対する制裁が、アサド大統領退任を目的としていると述べるとともに、米国とEUによる経済制裁によって、シリア経済が大きく後退していると語った。

米民主党のリチャード・ダービン上院議員ら複数の議員がスーザン・ライス米国連代表に書簡を提出、そのなかでアサド政権による民間人への虐殺を人道に対する罪と断じ、国際刑事裁判所に起訴するよう求めた。

米国務省のビクトリア・ヌーランド報道官は、ロバート・フォード米大使が11月24日にシリアに戻る予定だと述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は訪問先のヨルダンの首都アンマンでヨルダン外相と共同記者会見を行い、「我々は(シリアで)起きていることが非常に痛ましく、非人道的で、民間人殺害はきわめて遺憾である」と述べるとともに、「シリア政府は何一つ(国民の)要求に応えず、国民に対して厳しい方法で対処し続けている」と批判した。

AFP, October 26, 2011、Akhbār al-Sharq, October 26, 2011, October 27, 2011、Aljazeera.net, October 26, 2011、AP, October 26, 2011、al-Ḥayāt, October 26, 2011, October 27, 2011, October 28, 2011, October 29, 2011、Kull-nā Shurakā’, October 26, 2011, October 28, 2011, October 29, 2011、Reuters, October 26, 2011、Qāsiyūn, October 27, 2011、SANA, October 26, 2011、Sham Press, October 26, 2011、al-Sharq al-Awsaṭ, October 26, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

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