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アサド政権の動き
ダマスカス県旧市街のバーブ・トゥーマで、青年グループがバッシャール・アサド政権の改革支持、外国の干渉反対を訴える集会を行った。
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『クッルナー・シュラカー』(10月25日付)は、ダマスカス県とアレッポ市で行われたアサド政権の改革支持集会の参加者のなかに、在ダマスカス米仏大使館前で抗議行動を行った若者がいたことを示す写真を公開した。
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リフアト・アサド前副大統領がサウジアラビアのスルターン・ブン・アブドゥルアズィーズ皇太子の葬儀に参列するためにリヤドを訪問した。
サウジアラビア国営通信によると、R・アサド前副大統領は、アブドゥッラー国王、ナーイフ第2首相らを弔問した。
なおシリア政府はファールーク・シャルア副大統領を葬儀に参列させるためリヤドに派遣した。
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イエメン南部の空軍基地でイエメンの戦闘機が着陸に失敗し、シリア軍「技術者」8人を含む9人が死亡した。
シリア軍「技術者」はイエメン国軍の飛行訓練の任務についていたとされる。同「技術者」がアリー・サーリフ政権による反体制抗議運動の弾圧に直接関与していたかは不明。
反体制勢力掃討
ヒムス市で武装集団に誘拐されたのち、シリア当局が奪還・解放したバアス大学石油化学工学部のムハンマド・ハッドゥール学長がシリア・アラブ・テレビに出演し、自らの解放に尽力したシリアの治安当局、そして当局に協力したヒムス市住民への謝辞を述べた。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のインシャーアート地区で老人(ムアッズィン)の遺体が発見された。この老人は早朝にシャッビーハに誘拐されたという。また市内各所では銃声が聞こえたという。
フーラ村に治安機関の増援部隊が到着し、シリア人権監視団によると重火器での攻撃を行ったという。
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イドリブ県では、マアッラト・ヌウマーン市入り口の検問所で軍・治安部隊と離反兵の戦闘が発生した。
これに関して、シリア人権監視団は、離反兵と思われる武装集団が治安部隊の兵員輸送車を襲撃し、士官1人を含む7人のシリア軍兵士が殺害され、1人が負傷したと発表した。
同監視団によると、この兵員輸送車は、40輌から編成される治安部隊の「テロ掃討」部隊に所属しているという。
反体制勢力の動き
10月26日のアラブ連盟外相団の訪問に先立って、シリア国内で活動する反体制勢力の活動が活発化した。
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国家建設潮流(ルワイユ・フサイン代表)は声明を出し、アラブ連盟のイニシアチブと外相団の訪問を歓迎するとともに、「(アラブ連盟のイニシアチブ)が意図する対話のプロジェクトは、単なる議論や意見交換、そしてシリア政府による提案にとどまるべきではない。政府と反体制勢力の間の責任ある交渉でなければならない」と述べた。
そのうえで「合意内容の実行をフォローアップを目的とするアラブ連盟使節団の常駐事務所を設置する必要があると考える」との意向を示した。
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国民民主諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役は、外相団を構成する各国大使に対して、同国民調整委員会との会談をアレンジするよう求めた。
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国内の無所属青年活動家が、「祖国シリア」の名で政治・社会運動を発足した。
同運動はマジド・タッバーア女史を代表とし、「シリアへの忠誠心に基づく国民的な政治・社会組織」をめざすという。
同運動の発足を発表する記者会見にはタッバーア女史の他、俳優のドゥライド・ラッハーム氏、変革解放人民戦線のカドリー・ジャミール代表も同席した。
タッバーア女史によると、同組織は50人の発足メンバーと650人の参加メンバーを擁し、「シリアの国土、国民の統一、抵触してはならないレッドラインとしての国民平和、政治的、経済的、社会的な危機の抜本解決、社会の軍事化拒否、外国の干渉拒否、国民対話大会準備に向けた迅速な行動、政治犯釈放」などを基本原則としている、という。
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なおこのほか、ビジネスマンのザーヒル・サアドゥッディーン氏がフェイスブック上で、政党法に基づきシリア開発党を発足すると発表している。
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在米の反体制活動家ラドワーン・ズィヤーダ氏(ダマスカス人権センター)は、米国内で記者会見を行い、3月以降、当局が3,000人以上逮捕したと述べた。
諸外国の動き
中国外交部の姜瑜報道官は記者会見で「我々はシリアのすべての当事者が何よりもまず国益を優先し、暴力、流血、衝突を止めて、平和的な対話を通じて意見の相違を解消できると考えている」と述べた。
また「我々はシリア政府が自由への約束を早く履行し、国民の正当な要求に応えねばならないと思う…。呉思科中東問題特使を10月26日から30日にかけてシリアに派遣する」と述べた。
AFP, October 25, 2011、Akhbar al-Sharq, October 25, 2011、al-Hayat, October 26, 2011、Kull-na Shuraka’, October 25, 2011、Reuters, October 25, 2011、SANA, October 25, 2011などをもとに作成。
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