『ハヤート』(6月3日付)は、シリア南部(ダルアー県、クナイトラ県)の反体制武装集団支配地域の処遇をめぐるロシア、英国、ヨルダン、そしてイスラエルの折衝にイランが前向きな姿勢を示すなか、アレッポ県タッル・リフアト市一帯の西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)支配地域やラタキア県北部の反体制武装集団の支配地域の処遇をめぐるロシアとトルコの取引にイランが反発を強めていると伝えた。
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シリア南部の反体制武装集団の処遇をめぐっては、イラン・イスラーム革命防衛隊やその支援を受ける民兵、そしてレバノンのヒズブッラーをイスラエル占領下のゴラン高原一帯から撤退させること、シリア軍部隊を同地に展開させること、ナスィーブ国境通行所をシリア政府と反体制武装集団の共同管理下に置き開放することなどで、ロシア、米国、ヨルダンが原則合意に至っている。
これに関して、ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は、「関係当時国はイランの部隊をシリア南西部から退去させることで合意した…。たとえこの合意が今実施されないとしても、近い将来実施されるだろう」と述べた。
また、イランのアリー・シャムハーニー国家安全保障最高評議会事務局長は、シリア国内に進駐するイランの部隊が軍事顧問であり、シリア政府の要請を受けた正当なものだと改めて主張しつつも、「イランの顧問団はシリア南部での軍事作戦において役割を担わない」と述べた。
そのうえで「シリア・ヨルダン国境からテロリストを掃討し、シリア軍による同地域の制圧を後押しするロシアの取り組みを支持する」と強調した。
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なお、イスラエルは、シリア領内全域からイランの部隊を撤退させることを迫っている。
イスラエルのチャンネル10(6月2日付)は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が米国のマイク・ポンペオ国務長官と電話会談に関して、シリア情勢、とりわけシリア南部の処遇をめぐって意見を交わした。
この会談で、ネタニヤフ首相は、イランの部隊がシリア全土から撤退しない限り、シリア政府軍がシリア南部に展開することに反対するとの意向を伝えたという。
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一方、シリア北部をめぐって、ロシアとトルコは、タッル・リフアト市一帯のロジャヴァ支配地域を、トルコが支援する反体制武装集団に引き渡すこと、これを条件にシャーム解放機構や新興のアル=カーイダ系組織であるフッラース・ディーンなどの反体制武装集団がラタキア県北部やイドリブ県北西部から撤退することで決着したという。
反体制武装集団の撤退が計画されているのは、イドリブ県のジスル・シュグール市、ガーブ平原、そしてラタキア県北部を結ぶ三角地帯。
この合意は、シリア駐留ロシア軍司令部に設置されているラタキア県フマイミーム航空基地に対する無人航空機(ドゥローン)を用いた空爆未遂事件が頻発していることを受けたもので、ロシアはこうした攻撃を回避したい意向を持っていた。
また、トルコは、アフリーン郡に続いて、アレッポ県に残存するロジャヴァの「飛び地」の掌握を狙っていた。
タッル・リフアト市には、シリア軍第4師団、共和国護衛隊が、ロシア憲兵隊に代わって、今年2月以降進駐している。
だが、12イマーム派が住むヌッブル市、ザフラー町を囲むかたちで拡がるタッル・リフアト市一帯のロジャヴァ支配地域をトルコ側に引き渡すことにイランは反発を強めているという。
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ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月2日付)によると、サフワ村で1日夜から2日見目にかけて、住民や戦闘員合わせて数十人がシリア政府との和解に反対するデモを行った。
こうしたなか、シリア政府との和解交渉を行う反体制派側の和解委員会のメンバー3人がムサイフラ町と東ガーリヤ村を結ぶ街道に何者かによって襲撃され、死亡した。
AFP, June 2, 2018、ANHA, June 2, 2018、AP, June 2, 2018、Channel 10, June 2, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 2, 2018、al-Hayat, June 3, 2018、Reuters, June 2, 2018、SANA, June 2, 2018、UPI, June 2, 2018などをもとに作成。
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