ロイター通信(6月6日付)は、シリア政府を支援する域内の同盟者の外国人司令官2人(two non-Syrian officials in the regional alliance backing Damascus)の話として、ロシア軍が今週になってヒムス県のレバノン国境地帯に展開したことで、イラン・イスラーム革命防衛隊の支援を受けるヒズブッラーなどの親政権民兵と軋轢が生じていると伝えた(https://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-russia-deploymen/exclusive-in-syria-a-russian-move-causes-friction-with-iran-backed-forces-officials-idUSKCN1J125S?il=0)。
同消息筋によると、この軋轢は5日は、ロシア軍がクサイル市近郊の拠点を含む3カ所から撤退し、代わってシリア軍部隊(第11師団)が同地に展開したことで解消したという。
ロシア軍の展開は、事前の調整を経て実施された措置ではなく、「イスラエルを安心させる」ために行われたと思われるが、ヒズブッラーがシャームの民のヌスラ戦線(現シャーム解放機構)やダーイシュ(イスラーム国)に対する「テロとの戦い」の一翼を担い、シリア軍とともにシリア・レバノン国境地帯でこの二つの組織を壊滅させたという事実を踏まえると、ロシア軍のこうした行為は受け容れられるものではないという。
なお、シリア軍展開後も、同地にはヒズブッラーが各所に展開を続けているという。
AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。
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