シリア政府支配下のアレッポ県、ハサカ県でアラブ部族が会合を開き、シリア民主評議会によるシリア部族会合を「反逆」と非難(2019年5月3日)

アレッポ県では、北・東シリア自治局の支配下にあるラッカ県アイン・イーサー市で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会が開催したシリア部族会合に対抗して、同県の部族長と名士が会合を開き、米国およびトルコの占領を非難した。

会合に参加したのは、バカーラ部族、ブーライル部族、ドゥライム部族、ブーブナー部族、ブーアジューズ部族、アサースィナ部族など。

参加者は声明で以下の通り表明した。

「アレッポ県および同農村地域の部族は、シリアにおける米国とトルコの駐留、両国の傭兵、手先、テロ組織の存在を非難し、これを拒否する」。

「米占領軍が開催したアイン・イーサー市でのいわゆる会合なるものに出席したすべての者は、祖国、ウルーバ(アラブ性)に対する裏切り者とみなされる。彼らは自分たちすら代表していないである」。

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また、アレッポ県南部の上記のアラブ部族や名士も同様の声明を発表した。

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ハサカ県ジャルマズ村でも、アラブ部族会合が開催され、上記部族の部族長や名士がシリア分割の試みや米国の占領を拒否する姿勢を示した。

会合出席者は声明のなかで、以下の通り表明した。

「我々は、占領者である米国の支援を受ける者たちが吹聴する分離・分割の試みを断固拒否する。我々はこれからも、そして今後もシリアの領土、人民の統一を支持しており、テロおよびその支援者と対峙するシリア・アラブ軍の背後で一つの隊列をなしている」。

「別の隊列に加わり、米国によって指導されているアラブ部族に祖国の庇護のもとに復帰し、シリア・アラブ軍に従軍し、我が領土に対する攻撃、そして米国とトルコをはじめとする占領者を放逐するためにアラブ部族が行う人民抵抗に加わることを呼びかける」。

「シリア・アラブ共和国が招致しない他の旗のもとに開催されている会合、フォーラムに参加するすべての者は、裏切り者、手先である」。

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一方、外務災害居住者省の高官筋は、多くの部族がボイコットしたことで、失敗に終わったとの見方を示した。

同高官筋は以下の通り述べた。

「米国など西側諸国の配下にある武装民兵が支配するシリアのアイン・イーサー市で、シリア部族大会なる会合が開催されたが、ほとんどのアラブ部族がボイコットしたことで失敗に終わり、主催者は「大会」を「会合」に縮小し、それは手先、裏切り者、異存者の集まりにさえならなかった」。

「こうした集まりは、到底受け入れられるものではなく、主催者がいかなる政治的、民族的帰属であろうと反逆行為であり、彼らはシリア社会のいかなる成員も代弁していない…。彼らが何を試みようと…、いかなる外国の支援を受けようと、どれほど米国などに依存しようと、歴史はこうした動きが結実しないことを証明している」。

「シリア・アラブ共和国は、祖国、その利益、その現在、そして未来を理解しているとは到底思えないこうした会合に軽蔑の目を向けつつ、それを陰に陽に支援し、参加する西側諸国に対して、国連安保理の諸決議を日夜遵守するよう呼びかける」。

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SANA(5月3日付)が伝えた。

AFP, May 3, 2019、ANHA, May 3, 2019、AP, May 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 3, 2019、al-Hayat, May 3, 2019、Reuters, May 3, 2019、SANA, May 3, 2019、UPI, May 3, 2019などをもとに作成。

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