2013年12月16日のシリア情勢

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月16日付)によると、「至高にして偉大なるアッラーの戦い」総司令部を名乗る武装集団がビデオ声明(http://www.youtube.com/watch?v=zaBEGoaG7eA&feature=player_embedded)を出し、ムハッラム月20日(11月23日)に開始したダマスカス郊外県グータ地方の包囲解除作戦で、東グータ地方40平方キロの地域の村々を解放し、シリア軍の第一防衛ラインを突破、シリア軍兵士や外国人戦闘員800人以上を殺害するなどの戦果をあげたと主張した。

同総司令部は、イスラーム軍、ジュンド・マラーヒム、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、ラフマーン軍団、グータの光大隊、ジュンド・ハック大隊からなるという。

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ザマーン・ワスル(12月16日付)によると、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団12団体が声明を出し、国際社会に対して同地域に人道物資の搬入を改めて求めた。

声明を出したのは、ドゥーマー殉教者旅団、アッラーの獅子大隊、革命治安部隊、シャーム旅団、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、軍警察、マルハマ・クブラー軍、グータの獅子旅団、ラフマーン軍団、アダーラ旅団、イスラーム軍、信仰者の母たち旅団など。

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バーブ・ハワー・シャリーア最高法廷は告知を出し、イドリブ県バーブ・ハワー国境通行所の動産・不動産所有者に登記関連書類を提出するよう呼びかけた。

同法廷によると、2014年1月1日に、これらの動産・不動産の再登記を行うという。

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反体制活動家のワリード・ブンニー弁護士は声明を出し、2013年3月にシリア革命反体制勢力国民連立と絶縁し、自身およびブタペストにある自身の事務所と連立は無関係だと改めて表明した。

シリア政府の動き

ウムラーン・ズウビー情報大臣はイラク・クルディスタン地方のローダーウ・ネット(12月16日付)に出演し、民主連合党が発足を進めている西クルディスタン移行期民政局評議会に関して「シリア・クルディスタンなど存在せず、シリア・クルド人に関する国民的問題があるだけだ。カーミシュリーは行政上我々に帰属し、人民防衛隊は同市を防衛するとともに、シリアを防衛している」と述べた。

SANA, December 16, 2013

SANA, December 16, 2013

ズウビー情報大臣はまた「タッル・クージャル、すなわちヤアルビーヤ国境通行所はシリア国家の支配下にあり、近く開放される。シリア政府はクルド人がジュネーブ2会議に参加することを支持する…。テロとの戦いが、ジュネーブ2で議論されねばならないもっとも重要な問題である。テロを通じて成果を得ていない反体制勢力は政治でも成果を得られないだろう。我々は現地における強者であり、権力を譲り渡すことはない」と強調した。

一方、民主連合党との関係について、ズウビー情報大臣はシリア政府との関係を否定した。

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外務在外居住者省は国連安保理議長および事務総長に宛てて書簡を送り、ダマスカス郊外県アドラー市労働者住宅地区でシャームの民のヌスラ戦線とイスラーム戦線イスラーム旅団が行った「住民虐殺」を行ったことを報告、サウジアラビア、トルコによるテロ支援を阻止するための責任を行使するよう求めた。

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クッルナー・シュラカー(12月16日付)は、ドゥルーズ派のシャイフ・アクルであるユースフ・ジャルブーア師が14日に義勇兵組織の「ムワッヒディーン軍」の車輌多数をスワイダー県のシリア軍第17師団本部に派遣するよう命じた、と報じた。

ムワッヒディーン軍は同師団の支援を行うという。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(12月17日付)などによると、軍の第156旅団、第67連隊などがアドラー市ウンマーリーヤ地区を占拠する反体制武装集団に対して激しい砲撃を加え、攻撃を続けた。

一方、SANA(12月16日付)によると、アドラー市ウンマーリーヤ地区、ドゥーマー市および同市一帯、リーマー農場、ナバク市、アーリヤ農場、アッブ農場、シャイフーニーヤ農場、バイト・サフム市南部で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(12月16日付)によると、アレッポ市のハナーヌー地区、サーフール地区、バーブ街道地区などを軍が前日に引き続き樽爆弾を投下し、民間人数十人が死傷した。

またシリア人権監視団によると、アレッポ市インザーラート地区、アンサーリー地区への軍の爆撃により、子供4人を含む20人が死亡した。

一方、SANA(12月16日付)によると、ワディーヒー村、カフルカール村、バンーン・フッス村、アルバイド村、クワイリス村、カスキース村、ナイラブ村周辺、キンディー大学病院周辺、アレッポ中央刑務所周辺、マンスーラ村、バーブ街道、ラスム・アッブード村、ハンダラート・キャンプで、軍が反体制武装集団の追撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市シャイフ・サイード地区、ラーシディーン地区、スッカリー地区、カルム・マイサル地区、カーディー・アスカル地区、ブスターン・カスル地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほかアレッポ市ハラブ・ジャディーダ地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、少女1人が死亡、3人が負傷した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、カルダーハ市周辺の農地に迫撃砲弾複数発が着弾した。死傷者は出なかった。

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ヒムス県では、SANA(12月16日付)によると、レバノン領内からタッルカラフ市郊外に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

またヒムス県サフサーファ地区、ワルシャ地区、バーブ・フード地区、ラスタン市、ドゥワイル村近郊、バルグースィーヤ村、アルシューナ村、サラーム・ガルビー村、サラーム・シャルキー村、タイバ村で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、サウジアラビア人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(12月16日付)によると、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

Kull-na Shuraka', December 16, 2013

Kull-na Shuraka’, December 16, 2013

またバーブ・トゥーマー地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾1発が着弾し、カスル・バッルール・レストラン近くの民家が被害を受けた。

このほか、SANA(12月16日付)によると、ダマスカス県の国連本部前で労働者数百名がデモを行い、ダマスカス郊外県アドラー市ウンマーリーヤ地区での「武装テロ集団」による住民「虐殺」に抗議し、国連および関連機関に対して「サウジアラビア、カタール、トルコといったテロ・傭兵支援国家に対して、迅速かつ実効的な介入」を行うよう求めた。

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ダルアー県では、SANA(12月16日付)によると、ダルアー市各所、ズィムリーン村、ジャースィム市、ブスラー・シャーム市で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

国連難民高等弁務官事務所は、レバノン(推計総人口350万人)に避難したシリア人避難民の総数が84万2,000人、パレスチナ人の数が52,000人に達していると発表した。

諸外国の動き

国連安保理で非公式会合が開かれ、シリアでの化学兵器使用・廃棄問題が審議された。

会合には、シリアの化学兵器使用に関する国連調査団のアキ・セルストロム団長が出席した。

『ハヤート』(12月17日付)によると、ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は会合で、米国をはじめとする西側諸国が「何らの証拠も示さず、シリア政府が(化学兵器を)使用したとの世論を醸成したと非難した。

チュルキン大使は「米国はシリアの反体制勢力が化学兵器を生産できることを知っていた。だから、彼らが保有する化学兵器が使用されないよう、彼らに防毒マスクを供与しなかった」と述べた。

また潘基文事務総長は、8月21日のダマスカス郊外県グータ地方以外でも化学兵器が使用されたと思うと述べたうえで「化学兵器の使用に関与した者は、法廷に立たされねばならない。適切な行動としていかなるものがあるかを踏まえたうえで、関係諸国とこの件について議論を続けるだろう」と述べた。

さらに潘基事務総長は会合後「ジュネーブでの政治的対話を開始する前にシリアで停戦に至る必要がある」と述べた。

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『ヒュッリイェト』(12月16日付)は、トルコ内外の公式文書から、トルコが2013年6月以降、シリアの反体制勢力に47トンの武器弾薬を供与していることが明らかになったと報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月16日付)によると、イラク・クルディスタン地方から国連の人道支援物資を積載して離陸した貨物機2機が、ハサカ県カーミシュリー市の空港に到着した。

AFP, December 16, 2013、al-Hayat, December 17, 2013, December 18, 2013、Hurriyet, December 16, 2013、Kull-na Shuraka’, December 16, 2013、Naharnet, December 16, 2013、Reuters, December 16, 2013、Rihab News, December 16, 2013、Rudaw.net, December 16, 2013、SANA, December 16, 2013、UPI, December 16, 2013、Zaman al-Wasl, December 16, 2013などをもとに作成。

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