ダマスカス県で人民議会議員らも参加する「シリアの未来のための国民イニシアチブ」が開催(2011年7月3日)

al-Hayat, July 4, 2011

al-Hayat, July 4, 2011

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反体制勢力の動き

ダマスカス県セミラミス・ホテルで、ムハンマド・ハバシュ人民議会議員、ズハイル・ガンヌーム人民議会議員、フサイン・ハンマーシュ博士の呼びかけのもと、「シリアの未来のための国民イニシアチブ」が開催され、無所属活動家数十人が参加した。

大会は、シリアの「サイレント・マジョリティ」を代表し、彼らと国家の「橋渡し役」となることを目標としているという。

当初は2日の開催を予定していたが、ホテルの運営者から「開催許可が下りていない」と告げられたことで開始が遅れていた。

ハバシュ議員は、「我々が来たのは、対話を強化し、アサド大統領の改革を支持し、全世界に対話の機会があると告知するためだ」と述べた。

出席者は、国民統合の維持、言論犯の逮捕停止、政治犯の即時釈放、平和的デモの保障といった問題を議論した。

また「民主的市民国家への平和的移行の仕組み」、「祖国の枠組みのもと、すべての政治的動向を包摂するような法律(制定)を通じて複数政党制を保障する」政党法の制定を検討した。

大会運営者らによると、議論の結果は、アサド政権が準備している国民対話委員会に提言として示され、外国の干渉拒否という姿勢も伝えられるという。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前総合監督者は、AKI(7月3日付)に、同胞団が民主的変革諸勢力調整委員会に対する姿勢を決するため、同委員会の方針を精査していることを明らかにした。

シリア政府の動き

SANA(7月3日付)によると、アサド大統領が在米シリア人使節団と会談し、シリア情勢や在外シリア人の支援のありようなどについて協議した。

国内の暴力

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市入り口に戦車複数輌が展開し、治安部隊が市内各所で数十人を逮捕した。

また複数の市民によると、ハマー市内の通信回線が不通となった。

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イドリブ県では、複数の活動家によると、戦車97輌がカフルルーマー村に向かった。

シリア人権監視団によると、これを受け、「村人数百人が夜間、抵抗するために村を離れ、装備の補給を断とうとしたが、戦車は進軍を続け、同地区での軍事作戦を行った」という。

また同監視団によると、軍はバーラ村を制圧、またザーウィヤ山の複数の村で治安機関が住民の逮捕摘発を行った。

ある女性活動家によると、バーラ村への軍の包囲を解除するために、カフルナブル市の住民が入ろうとしたが、軍によって阻まれ、同村は終結したシリア軍部隊の「基地と化している」という。

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ダマスカス郊外県では、BBC(7月3日付)によると、ハジャル・アスワド市で夜間デモが行われ、治安部隊の発砲により2人が死亡した。

諸外国の動き

スイス経済省は、シリア現政権と関係のあるスイス国内の口座に預金されている3,180万ドルを凍結したと発表した。

スイスのATS通信(7月3日付)によると、「この措置はアサド大統領の口座を対象としているかどうかは今のところ明らかでない」。

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アナトリア通信(7月3日付)によると、トルコの内閣非常事態災害局は、トルコ領内に避難したの数1万5,205人のうち、4,658人が2日までに帰国、また2~3日にかけて、131人がシリアに帰国、81人がトルコに避難し、3日現在のシリア人避難民の数が1万547人になると発表した。

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『ハヤート』(7月4日付)は、カイロのアラブ連盟正門前で、アサド政権の弾圧や連盟の消極的対応を批判するシリア人らデモ参加者の抗議行動により、ナビール・アラビー事務総長が登庁できなかったと報じた。

AFP, July 3, 2011、Akhbar al-Sharq, July 3, 2011、AKI, July 3, 2011、BBC, July 4, 2011、al-Hayat, July 4, 2011、Kull-na Shuraka’, July 3, 2011、July 4, 2011、Naharnet, July 3, 2011、Reuters, July 3, 2011、SANA, July 3, 2011などをもとに作成。

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