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反体制勢力の動き
国内で活動する反体制活動家約50人は共同声明を出し、16日にダマスカス県で「救国内閣」発足に向けた会合を開催すると発表、参加を呼びかけた。
声明のなかで彼らは「治安・軍事的解決以外受け入れようとしない体制のもと、この文書は、過渡期を通じて現下の危機を脱するためヴィジョンの一般原則を示すことをめざしている。この原則に関して、シリア人がコンセンサスに達し、大衆運動がこれを遵守し、新憲法制定、近代的市民国家建設、国会選挙と大統領選挙の指定期間内の実施を行う救国内閣がこの原則を指導する」と発表した。
同声明には、クルド人指導者のミシュアル・タンムー氏(シリア・クルド・ムスタクバル潮流)、反体制活動家のハイサム・マーリフ氏、アーリフ・ダリーラ氏、ワリード・ブンニー氏が名を連ねている。
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シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表は、7月1日の反体制デモに関して、「デモ参加者の数、実施範囲において最大規模だった。デモ実施カ所は先週がシリア各都市202カ所だったのに対して、約268カ所だった」と発表した。
カルビー代表によると、しかし、このデモで28人が殺害されたという。
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シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャファカ最高監督者は『クドス・アラビー(7月2日付』に、アサド政権との対話を拒否すると明言した。
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アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領は『シャルク・アウサト』(7月2日付)に、シリア国内で軍事クーデタが起きる可能性は少ないが、軍は解体しつつある、との見方を示した。
シリア政府の動き
SANA(7月2日付)は、アサド大統領が、ハマー県のアフマド・ハーリド・アブドゥルアズィーズ知事を解任した、と報じた。
アブドゥルアズィーズ知事解任に関して、『ハヤート』(7月3日付)は、1日のハマー市での大規模デモ発生を受けた引責解任だと見方を示した。
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SANA(7月2日付)によると、ダマスカス県タダームン区、ワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプ(ダマスカス郊外県)、ワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプ、バーブ市(アレッポ県)、アターリブ市(アレッポ市)、ハサカ市、ダイル・ザウル市、タルトゥース市で、アサド大統領の包括的改革プログラムを支持するデモが行われ、それぞれの会場に住民数千人が集まった。
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Syria-News(7月5日付)は、アスマー・アフラス大統領夫人がアレッポ県郊外の「再貧困地域」を慰問し、住民らと懇談したと報じた。
国内の暴力
イドリブ県では、シリア人権監視団によると、早朝に軍・治安部隊がバーラ村に突入し、カビール・モスクのイマームや村の名士など数十人を逮捕した。
またイフスィム村でも、軍・治安部隊は18人を逮捕したという。
これに関連して、『サウラ』(7月2日付)は、ザーウィヤ山で、軍特殊部隊による「特殊作戦で、武装組織に拘束されていた複数の将兵が解放されたと報じた。
諸外国の動き
ヒューマン・ライツ・ウォッチは声明を発表し、シリアの治安機関によるデモ弾圧を非難し、「複数政党制を許可し、より広範な政治参加を認めるとのアサド大統領の約束は、治安機関があらゆる場所に展開するなかでは何の意味もない」と指摘した。
AFP, July 2, 2011、Akhbar al-Sharq, July 2, 2011、al-Hayat, July 3, 2011、Kull-na Shuraka’, July 2, 2011、Naharnet, July 2, 2011、al-Quds
al-‘Arabi, July 2, 2011、Reuters, July 2, 2011、SANA, July 2, 2011、al-Sharq al-Awsat, July 2, 2011、Syria News, July 5, 2011、al-Thawra, July 2, 2011などをもとに作成。
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