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反体制勢力の動き
AKI(12月10日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立の幹部筋の話として、アフマド・トゥウマ暫定内閣(ガズィアンテップ)は…各省に合わせて約400人のスタッフを雇用しようとしたが、必要な資金がなく、最低限の政務も行えていない、と報じた。
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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は、クウェートで開催されたGCC首脳会議で、「シリア政府は過激派集団のなかに道を踏み外した者を探し出し、刑務所から出所させ、武装させた」と主張、アサド政権がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を作り出したと主張した。
ジャルバー議長はまた、「シリアの戦争に宗派主義的なスローガンのもとにヒズブッラーが参加したことで過激派の怒りを激化させた」との持論を展開した。
そのうえで、シリア国民を救済・支援するための基金の設立と、連立によるその運営を求めた。
ロイター通信(12月10日付)が伝えた。
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シリア人権監視団は、12月7日のイスラーム戦線による自由シリア軍参謀委員会の武器庫掌握に関して、アレッポ県アターリブ市の活動家からの情報として、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)ではなく、シャームの民のヌスラ戦線が6日深夜に参謀委員会武器庫を制圧、自走式高射機関砲(シルカ)数十輌を捕獲、その後、7日早朝にイスラーム戦線が同武器庫を掌握し、対空ロケット、対戦車ロケットを捕獲した、との追加情報を発表した。
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ダマスカス郊外県革命調整連合のユースフ・ブスターニー報道官は、クッルナー・シュラカー(12月10日付)に、アサド政権が、イスラエルとの連絡調整のもと、ゴラン高原の兵力引き離し地域(AOS)に隣接する地域に爆撃を行っていることを複数の消息筋が確認したと主張した。
ブスターニー報道官によると、クナイトラ県のムムティナ村、ハワーリド村、アイン・アブド村などがイスラエルとの連絡調整のもとに爆撃されたという。
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ラッカ国境なき記者団は声明を出し、ラッカ県で避難生活を続ける市民への人道支援を呼びかけた。
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イスラーム軍のムハンマド・アッルーシュ司令官は声明を出し、ダマスカス郊外県ドゥーマー市でのラッザーナ・ザイトゥーナ女史の拉致への関与を否定し、犯人の公正な裁判を望んでいると発表した。
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シリア民主主義者連合、自由シリア女性連合、自由シリア弁護士連合は相次いで声明を出し、ダマスカス郊外県ドゥーマー市で拉致されたラッザーナ・ザイトゥーナ女史、サミーラ・ハリール女史、ワール・ハマーダ氏、ナーディム・ハマーディー氏の4人の即時釈放を求めた。
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ヨルダンを拠点とする反体制系NGOのシリア研究世論調査センターは、自由シリア軍参謀委員会に関する世論調査を実施、その結果(http://all4syria.info/wp-content/uploads/2013/12/هيئة-الاركان-التقرير-المختصر.pdf)を発表した。
調査は、活動家を対象にインターネットを通じて実施した。サンプル数は165人、うち男性90%、女性10%、61%が高等教育修了者、21%が国内居住者、79%が国外居住者だった。
質問と結果は以下の通り:
1. 参謀委員会は軍事的な運動の必要性を代表していると感じていますか?はい54%、いいえ43%
2. 参謀委員会の活動に満足していますか?はい90.5%、いいえ5%
3. 参謀委員会は再編されるべきだと考えますか?はい73%、いいえ21.4%
4. 参謀委員会は役割を終え、解体されるべきと考えますか?はい41%、いいえ50%
国内の暴力
ダマスカス郊外県では、ドゥーマ地元評議会が声明を出し、ラッザーン・ザイトゥーナ女史とその同僚3人がドゥーマ-市で誘拐されたと発表、「シリア政府の行為に似た卑劣な行為」と非難、反体制武装集団による犯行を示唆した。
一方、シャーム・イフバーリーヤ・ネット(12月10日付)によると、軍がムウダミーヤト・シャーム市、リーマー農場、バービッラー市、ヤブルード市、ランクース市、ザバダーニー市、ダーライヤー市、アドラー市を爆撃・砲撃、リーマー農場で軍と反体制武装集団が交戦した。
また同ネットによると、ヒズブッラーとズー・フィカール旅団の支援を受けた軍部隊が、奪還したナブク市の民家を放火するなど「新たな虐殺」を働いたと主張した。
シリア人権監視団は、軍がナブク市とヤブルード市を結ぶ農場地帯で軍事作戦を集中的に行い、カラムーン地方最後の反体制武装集団の拠点であるヤブルード市攻略の準備を進めている、との見方を示した。
他方、SANA(12月10日付)によると、リーマー農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、カッサース・アーディル連隊司令官ら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またアーリヤ農場、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市、ドゥマイル市北東部の丘陵地、ルハイバ市東部の山間部、アドラー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で軍と反体制武装集団が交戦する一方、シャーグール区で治安部隊が活動家の逮捕摘発活動を行った。
一方、SANA(12月10日付)によると、ジャウバル区、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、マスカナ市で9日から、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャーム自由人運動が指名手配者の処遇などをめぐって衝突し、シリア人権監視団によると、この戦闘で、ダーイシュの戦闘員5人とシャーム自由人運動の戦闘員7人が死亡した。
これに関して、Champress(12月10日付)は、マスカナ市でシャーム自由人運動と対立・交戦していたイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、同運動に属すマスアブ・ビン・ズバイル旅団を放逐し、同市を完全制圧したと報じた。
複数の消息筋によると、交戦に先だって、同運動に属すマスアブ・ブン・ウマイル旅団のムハンマド・ナッブー司令官、「アブー・ジャアファル」を名乗る副司令官を含む旅団幹部を逮捕していたという。
事態悪化を受け、イスラーム戦線は声明を出し、アレッポ県マスカナ市でシャーム自由人運動と対立を深めるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に対して、第三者の仲裁のもと司法の判断に服し、対立を解消するよう呼びかけた。
一方、シリア人権監視団によると、キンディー大学病院周辺で、軍が反体制武装集団と交戦した。
また、アレッポ市では、軍が、マサーキン・ハナーヌー地区、カーディー・アスカル地区、カラム・トゥラーブ地区、ダフラト・アワード地区に対して爆撃を、スッカリー地区、シャッアール地区に対して砲撃を行う一方、ハーリディーヤ地区、シャイフ・サイード地区、シャイフ・サイード地区で反体制武装集団と交戦した。
他方、SANA(12月10日付)によると、アブタイン市、アッザーン市、ハーン・トゥーマーン村、ワディーヒー村、アレッポ中央刑務所周辺、キンディー大学病院近く、ズィルバ村、ダイル・ハーフィル市、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、ムスリミーヤ村北部、マーリア市南部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またキンディー大学病院周辺の戦闘で、シャーム自由人運動の司令官の一人「アブー・ダルダー・カタリー」が軍の爆撃により死亡した。
さらに、アレッポ市では、スッカリー地区、ザバディーヤ地区、サラーフッディーン地区、ハイダリーヤ地区、アシュラフィーヤ地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
このほか、アレッポ市内の複数カ所に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民12人が死亡した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イスラーム戦線が、バーブ・ハワー国境通行所の別の反体制武装集団の拠点を制圧し、同通行所を封鎖・制圧した。
これに関して、クッルナー・シュラカー(12月10日付)は、複数の消息筋の話として、イスラーム戦線がバーブ・ハワー国境通行所を占拠していたファールーク大隊を放逐し、同地を制圧するとともに、一部医療関係者以外の同通行所通行を一時禁止することを決定した、と報じた。
一方、SANA(12月10日付)によると、サルミーン市、ナフラ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラタキア県では、SANA(12月10日付)によると、シブル・クブーア村、サーキヤト・クルト村、カンタラ村、ダッラ村、カルマリーヤ村、ラビーア町、サルマー町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国員戦闘員30人以上を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(12月10日付)によると、ヒムス市旧市街、カラービース地区、バーブ・フード地区、カフルラーター市、タッルドゥー市、ラスタン市、ザアフラーナ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(12月10日付)によると、フラーク市、アドワーン村、ナワー市、アービディーン村、シャジャラ町、インヒル市、アトマーン村、ダーイル町郊外、タファス市、ダルアー市旧税関地区など、タスィール町、ムザイリーブ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
レバノンの動き
『ナハール』(12月10日付)は、シリア国内での戦闘で死亡したとされるヒズブッラーのアリー・バッズィー司令官に関して、レバノン国内のヒズブッラーの軍事教練キャンプで射撃訓練中に誤って撃たれて死亡した、と報じた。
諸外国の動き
国連は、シリア政府およびイラク政府と、イラク・クルディスタン地方のエルビルからハサカ県への人道支援物資の空輸を行うことで合意した。
UNHCRのアミーン・アワド中東北アフリカ局長によると、支援活動は12日から開始され、15日まで4回にわたりイリューシン76による搬入作業を行う予定だという。
ロイター通信(12月10日付)が伝えた。
AFP, December 10, 2013、AKI, December 10, 2013、Champress, December 10, 2013、al-Hayat, December 10, 2013、Kull-na Shuraka’, December 10, 2013, December 11, 2013、al-Nahar, December 10, 2013、Naharnet, December 10, 2013、Reuters, December 10, 2013、Rihab News, December 10, 2013、SANA, December 10, 2013、UPI, December 10, 2013などをもとに作成。
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